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雪解けにはまだ遠い
下校途中の景色は、既に私の知る物でない。
悲鳴。
スタンド前で燃える車。
絶叫。
血の海。
暴徒。
世界は南極培養の奇跡の水で成り立つ。
でもそれが汚染されたとして、これ程の混乱は想像していなかった。
鈍い音。
私は崩れる。
永遠の冬に。
「以上が水投影モニタの記録映像です」
訪れた闇の中、
「代替資源と海上に避難した私達と、持たざる者の戦争は今尚続いています」
講師が締め括る。
僕はゴーグルを外した。
――雪解けにはまだ遠い。
どうでも良いことですが、第二話、サイレントワールドのオチは、拙作『アナガユ』のクイズの解答だったりします。震災後の風景も今や昔。今更ながら、の話ではありますが……。
