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    ファーツ教国

 国境の町を出て、二週間近くが経とうとしていた頃、ようやく教国の首都が見えてきた。

 教国は宗教や神の直接的な干渉の影響で発言力は大きいが、領土としてみればそれ程広くないので、通常の馬車でも国境を越えて一週間程で首都の近くまで来る事ができる。


 とは言えここまで早く着いたのは、レオのある発見のお陰だった。


 魔力の持続回復は他人には使えなかったのだが、SP(スタミナ)の持続回復は、他人にも効果があることが解ったのだ。

 というのも、人間相手に試すとリサの時のように問題が起きる事がある為、馬にかけたのが功を奏し、荷馬車を引く馬が殆ど疲れなくなったのだ。

 黙っていた為に最初の内は首を捻っていた仲間達も、効果を確認したレオが説明すると感嘆の声を上げていた。


 ただし、疲れないといっても、足や身体に疲労のダメージは蓄積される。

 疲労骨折などされてはたまらないので、ある程度は休ませる必要があるが、それでも馬の体力が無限に沸いてくると言うのはとんでもないスピードアップに繋がった。

 盗賊に襲われてからまた少し元気のなかったレオだったが、馬の回復に荷馬車を移動しつつ、足にも気を配ったりと忙しくなく働くうちに徐々に調子を取り戻し、教国に着く頃には殆ど元に戻っていた。


 教国に入ってまず目に付くのは、彼方此方にある古ぼけた塹壕やバリケードだ。

 それらは数十年程度の年季ではなく、数百、或いは数千年という長い月日をかけて、地元の人々が少しずつ作っていった物のようで、大小さまざまな石で出来た壁からは、細い木が生えている所まであった。

 首都に着く途中の小さな村でもあったのだから、恐らくは教国全体にあると考えた方がいいだろう。


 ギルによれば、教国では昔から何時か来る魔物の軍に備えて、そういった物を作って置くようにと、恒例のように各国に求めていたらしい。

 ただ、数千年の長きに渡り魔界から軍が来ると言う事は無かった為に、他の国家は頷くだけ頷いて、何もしないのが当たり前だったようだが……。


「教国以外で真面目に作ってたのは、魔術帝国と共和国の国境辺りだけだと思うぞ。といっても、あの辺りは小競り合いが多いから、戦争の準備だったのかもしれんがな」


「へぇ……」


 隣でギルの講釈が続いているが、綱を握ったレオはそれ所ではない。

 昨日大ぽかをやらかして馬を怒らせ、アルザダが買った酒瓶の2割を割ってしまったのだ。二の舞を避けるためにも、細心の注意を払わねばならない。

 因みに先頭の馬車に乗っているのが、指導役のギルとレオだけなのもそれが原因である。


「おいおい、そんなにガチガチで大丈夫かよ。また昨日みたいに怒らせるんじゃねぇぞ」


「わ、解ってるよ……クソ、馬を洗脳する魔法とか使えればな……」


 顔を顰めて馬を凝視するレオに、ギルは頭を抱えて溜息をついた。

 全く上手くいっていないレオと違い、後続の車両を操作しているリサはまだまだぎこちないながらも、きちんと操作できている。


「エルフは動物と仲良くなるのが上手いって聞いてたのに、こりゃ思ったより骨が折れそうだ」


「お、俺は普通のエルフとは違うんだ、ハイエルフだから──」


「いや、そこはハイエルフなら余計に早く仲良くなれるんじゃねぇか……?」


「……」


 ぐうの音も出ないとはこの事である。

 もっと反論したい所ではあるが、余り気を逸らすとと昨日のように何かミスをしでかしてしまうかも知れない。これ以上酒瓶を壊すわけには行かないし……と、心中で言い訳をしたレオは、何も言わずに馬を見つめた。

 教師役という立場の為か、何とか笑いを堪えた(が、目が笑っている)ギルが気を使って話題を変える。


「ところで、馬にかけた回復魔法、そろそろ切れる頃じゃねぇのか」


 本来魔法の効果時間は身体に染み付いているレオだったが、手綱を握る事に集中していたせいか、時間の感覚が麻痺していたようだ。

 軽く相槌を打ち、手綱をギルに渡すと、荷馬車を引く二頭の馬にSP持続回復の魔法をかけた。


 荷馬車の後部へ移動し、後続の馬への魔法の継続と体調のチェックを終えたレオが元の席へ戻ろうとすると、ギルは手綱を握ったまま隣の席を指した。


「教国に来たのは初めてなんだろ、景色でも眺めてろよ。この国は町並みが整ってる事で結構有名なんだぞ、折角だし見て置け」


 本音を言えば、差し迫る手紙の内容に対する緊張から逃れる為に、荷馬車の操作にでも集中していたかったレオだったが、好意で言ってもらっている手前断りきれなかった。

 ギルの隣に座ったレオは、背凭れに身体を預け、暫し外の景色を眺める。


 実際良く見てみると、教国の風景は中々見ごたえがあった。

 塹壕や壁は一見目立つが、明らかに長い歳月をかけて作られたそれらは、所々苔むし、草木と一体となって完全に風景の一部になっている。

 更に城壁や石造りの家々はダールなどと違い、この地方特有の真っ白な石で作られ、それが碁盤目状に並ぶ十字路は、絵の中に居る様な錯覚さえ覚える。


「確かに、良く見ると凄いな」


 純粋な驚きと、それすら気付かない程馬に集中していた自分への呆れを含んだのレオの声に、ギルは苦笑する。


「だろ。この国は出来た当時から支配構造がしっかりしてるんで、町並みは世界一だって評判なんだ。ま、その分狂信的なトコもあるから、迂闊な事は言えないって面もあるがな」


 ギルの言葉で、レオにも何となくこの国の構造が少し理解できた気がした。

 元の世界でも、見たことの無い神様を熱心に信仰する人は多く居た。

 それがこちらの世界では現実に干渉して来たり、或いは巫女を通して擬似的に実物と会う事さえ可能なのだ。その影響力は計り知れない。

 レオは元の世界は特に宗教等はやっていなかったし、正直こちらの世界の神もどこまで本当かと思う位だが、この国でそれを口に出すのは止めた方が良いだろう。


 壕と低い壁が目立つ農民向けの町並みを過ぎると、いよいよ中心部の高い塀の前に行き着いた。

 大小様々な門の中で、一際大きな門の前で一旦止まると、アルザダと最もランクの高いゲオルグが降りて簡単な手続きを済ませ、門をくぐる。


 塀の中は流石は首都と言うべきか、この世界に来てから始めての人ごみがレオを出迎えた。

 道には人が溢れており、初心者のレオには絶対に無理だと言えるほど、荷馬車の操作も大変そうだ。

 そんな中、門の近くに停められた一台の荷馬車がレオの目に留まった。


「おいギル、あの荷馬車──」


 レオが指差した先には、始めて見る鉄製の荷馬車があった。


「ああ、ありゃ北方から来た荷馬車だろう。魔法を付与しやすい鉄で彼方此方工夫したとかで何年か前に帝国辺りで流行ったんだが、値も張るし整備も大変だってんで、直ぐ廃れたらしい。まだ持ってる奴居たんだな」


 鉄で出来た荷馬車など、この世界にしては画期的じゃないかと思ったレオだったが、考えてみれば動力は馬が精々なのだ。弓矢や盗賊の使うちょっとした魔法には強いかもしれないが、移動効率が落ちて商品価値が下がってしまってはは元も子もない。

 元の世界の技術については、車やバイクの詳しい仕組みなど元から知らないので元々諦めていたが、目の前の鉄の荷馬車を見て、レオは改めて自分には無理だろうと再認識した。


「確かアルザダが北に行く商人に、珍しい石を売りたいとか言ってたな。後で知らせてやるか」


 視線を向けたギルに釣られてレオが荷馬車を見ると、二週間程前に話題に上った木箱が変らず置いてあった。

 今の今まで忘れていたが、売ってしまうと言われるとレオの忘れかけていたゲーマー魂が疼き、売られる前に一目見てみたいと言う衝動に駆られた。

 しかし、流石に勝手に箱を開けるのは不味い。後で売りに行く時にでも付いて行けば良いだろう。


「よっし、小屋付きだ。レオ、宿は此処にしようぜ。帰りもあるし、これ以上奥には行きたくねぇ」


 レオの知る限り最も荷馬車の操作が上手いギルも、流石に人ごみの中を突っ切るのには慣れていないのか、切羽詰った声を上げてきた。

 この状況で宿の贅沢を言っても仕方が無いので、レオも特に反論も無く頷き、荷馬車はギルの操作ですぐさま宿の隣の小屋へと向う。




 結果的に宿は当たりだった。と言っても、宿の主の話では、教国は巡礼客用に国が定めた基準がある為、そもそも宿のハズレは殆ど無いらしい。

 宿に入るとアルザダに先ほどの商人の話をした。

 手紙は何時でも渡せるが、門の前に居た商人はもうすぐ国を出るかもしれない。長旅の疲れもあるだろうと女性陣に休憩を取らせ、箱の中身が気になるレオと、いつも一緒に品物を卸しに行くギルとアルザダで、先ほどの鉄の荷馬車の元へと向った。

 魔術帝国から来たと思しき商人は、最初突然声を掛けたアルザダに懐疑的だったが、品物を見て目の色を変えた。


「おお、透貫石ですか……これは助かる。丁度お得意様から、探して欲しいと頼まれていたのでね。良かったら全部売って欲しい」


 傍らに立ったレオが、開けられた木箱の中を見ると、そこには青みがかった半透明な鉱石がキラキラと輝いていた。

 といっても、透明度はさほど高くない。宝石としての価値はそれほど無いだろう。


「有難う御座います。教国内での取引ですので、念のため此方の書類にサインを──」


 取り引きの方は上手く行っているようだ。品物は小さな木箱一つなので、護衛と荷物運びが役目のレオは、追加の注文がない限り特に用事はない。

 手持ち無沙汰に鉄の荷馬車を眺めていると、相手の商人が苦笑しながら話しかけてきた。


「この荷馬車が気に入ったなら、喜んでお売りしますよ」


 非難された訳でもないが、盗み見ているのがバレたような気分になったレオは、反射的に顔を向ける。


「あ、いえ、単に珍しいと思っただけで……俺はアルザダさんに雇われてる身なので、荷馬車はあまり……」


 と言うよりレオの場合、一人で行動するのなら空を走った方が速いのだ。

 勿論テント等は持ち歩かなければならないが、魔界に潜入するのでなければ収納袋に入れるだけで事足りる。


「ふふ、まぁ冗談ですよ。本音を言えば売りたいですが、今時こんな物を買う物好きは居ませんから」


 自嘲気味に笑った商人は、鉄の荷馬車に手を掛ける。


「流行と言うのは怖いもので、得意先の技術者に熱弁を振るわれた時は、とてもいい物だと思ったんですが、もう少し慎重になるべきでした……。

 まぁ、耐魔コーティングなんかもあって、高級品を入れる分には安心できていいのですが、荷馬車一杯の高級品なぞ、滅多に仕入れる事はありませんから」


 彼にとっては一世一代の買い物だったのだろう、それが失敗だったと解ったときにはショックだったに違いない。

 肩を竦める商人に、同じく商人のアルザダは同情するような視線を向けた。

 商人は少しの間荷馬車を眺めていたが、気を取り直したのかアルザダに向き直った。


「さて、では商売の続きを──」


 結局その後幾つか商品を売買した後、ある程度時間も過ぎたので一旦宿に戻る事になった。

 去り際、これまで見たことがない程真剣な表情で、先ほどの商人の方を見るレオを不審に思ったギルが声をかける。


「どうした、何か気になることでもあったのか?」


 問いかけにも答えず、暫し無言を貫いていたレオは、やがて独り言のように囁いた。


「なぁ、あれって何だか──……」


 だが、途中まで言って頭を振り「なんでもない」と言うと、レオはそれっきり黙り込んでしまう。

 ギルもアルザダも気にはなったが、難しい顔で悩むレオの様子を見て、それ以上は聞けなかった。




 宿に戻ると、丁度リサとゲオルグがロビーから出る所だった。


「お、戻ってきたか。なぁレオ、手紙はいつ渡しに行くんだ」


 気楽な調子で聞いてくるゲオルグに、レオは緊張で喉を鳴らした。

 だが、その為に教国まで来たのは確かだ。未だ心中は期待と不安がせめぎあっているが、待った所で答えが変るものでもない。


「あぁ、取り合えず普段着に着替えてから、その辺の教会に当たるつもりだ。手紙を見せれば、取り次いでもらえるだろう」


「アタシ等も付いてっていいかい?どうせ買い物くらいしかやる事無いしね」


 軽い口調を貫くゲオルグだが、以前苦言を言われた事もある。裏には、レオの正体を見定めると言う意味合いもあるのだろう。

 後に続くリサも、心なしか控えめな様子で頷く。


「私も……出来れば行きたいです」


 直接本人に会えると決まった訳ではないので、全員で行っても仕方ない気もするが、正直レオも心細い面もあるので、断る気にはならなかった。


「解った、一緒に来てくれ。ギルもアルザダさんも、良かったら来て欲しい」


 二人は何も答えなかったが、黙って頷いてレオの準備を待った。


 一行は宿の主に近場の教会を聞き、歩いて数分程の教会へ向かう事にした

 どこと無く緊張した空気の中、聞いていた通りの道順を歩いていたのだが、曲がり角に差し掛かった時、先頭のレオがみすぼらしい身なりの中年男とぶつかった。

 レオのすぐ後ろに居たギルやゲオルグは、その瞬間にニヤリとしたのだが──


「おっとご免よ」


「すいません」


 ──と言ったまま当たり前のように歩き続けるレオに、困惑したような声をかける。


「お、おい……レオ……?」


「え、良いのか?」


 二人の混乱したような声に、レオを含む他三人が疑問の視線を送る。


「いや、だってお前今──スられただろ?」


 何で追わないんだと言いたげなゲオルグの様子に、血の気が引いたレオは懐を探る。


 案の定、入れておいた財布と手紙が無くなっていた。


 慌てて振り返ると、先ほどの男は今まさに駆け出し、曲がり角を曲がる所だった。

 場所が人の多い大通りなので、テレポートはできれば使いたくなかったが、逃げられては元も子もない。


 角へ向って走りつつ、人の合間を縫って着地点を指定すると、テレポートを使い、スリの後を追う。

 背後でレオのテレポートに驚く声や、ギルやゲオルグが人ごみを掻き分けて走る気配が伝わってきた。

 後で愚痴られるだろうなぁと思いつつ、レオを振り返って驚愕の表情を浮かべるスリに怒鳴りつける。


「手紙を返せ!」


 サイフの中身も惜しいが、今は手紙の方が先だ。だがスリの方も突然距離を詰めたレオにパニックを起こしているらしく、無視して走り出してしまう。

 舌打ちしつつ追いかけるレオだったが、如何せん人が多くテレポートが使えない。


 万一他人が居る場所にテレポートしたらどうなるのかなど、レオには解らない。だが、勢いだけでそれを試す気にはなれなかった。

 逃げるスリを追いかけつつ、空を飛ぼうかと仰ぎ見たが、流石に大通りには無いものの、脇道には洗濯物を干したロープが張られていて、突っ込んでしまうと時間を食いそうだった。


「ああもう、これだから外国は……」


 焦りの為か自分でも良く解らない愚痴を言いつつ、走り続けるスリを追う。

 しかし、幾ら地の利があると言っても所詮は街のスリ。テレポートを切り札に追い縋るレオを相手に、十分程全力で走り続けた所で体力の限界が来てしまった。


 路地裏に入り、最後の足掻きに手近にある物を放り投げつつ、よろよろとへたり込んだスリの前に、レオが仁王立ちする。


「はぁ……ひぃ……す、すいませんでした……」


 精根尽き果てた様子の中年のスリは、盗んだ手紙と財布を呼吸すら乱れていないレオの前に差し出し、その場に仰向けに倒れこんでしまった。

 特に逃げる様子もないスリに溜息で答えたレオは、彼が差し出した手紙と財布を確認する。

 手紙は封にも傷は付いていないし、財布の中身もそのままだ。確認を終えたレオがほっと胸をなでおろした頃、ようやくゲオルグとギルが追いついた。


「はぁ、はぁ──ったく、何やってんのさ。スリに財布取られるアサシンなんて、聞いたこと無いよ」


 走る途中で考えたのであろうゲオルグの的確な指摘に、返す言葉も無いレオは「す、すまん」と小さな声で謝る。

 幾らレオがスリに会ったのが初めてとは言え、動体視力や感覚等は常人の数倍研ぎ澄まされている。平時ならば、盗られた瞬間に気付いていただろう。


「すまんじゃないよ全く……もし逃げられてたら、この国に来た意味がなくなっちまう所だったんだよっ」


「は、はい。注意力が足りませんでした……」


 流石に頭にきたのか、珍しく説教口調のゲオルグに終始平謝りするレオを、スリを縛り上げるギルは苦笑交じりに眺めた。

 幾らか呼吸の落ち着いたスリを立ち上がらせると、怒り続けるゲオルグから逃げるようにレオが聞く。


「そう言えば、ソイツこれからどうするんだ?」


 スリを結んだロープの端を持ったギルが、思い出すように宙を見上げながら答える。


「確か、最寄の教会に連れて行くんじゃなかったかな。まぁどうせ近場の教会にいくつもりだったんだ、ついでに行ってみれば良いだろ」


 いつもながら、聞いた事にすらすらと答えるギルに、レオは改めて関心した。


「相変わらず何でも知ってるなぁ」


「別に何でも知ってるって訳じゃないぞ。商談に同行するからには、知っておかなきゃならん事が多いってだけで──」


「スリの今後の話より、今はアタシの話を聞きなさいよ」


 何事も無かったかのように大通りへ歩き出そうとするレオの背中に、放置されたゲオルグが恨みの篭った視線を向ける。


「もうその辺にしといてやれよ。レオだって緊張してたんだ、調子が出ない時もあるだろ」


 お目付け役のギルに窘められ、そっぽを向いたゲオルグをなるべく視界から外し、レオは近くに教会が無いかと周囲を見渡した。

 すると屋根の向こうに、鐘の付いた一際大きな建物があるのが見えた。

 方角的にも、レオ達が走ってきた方向にある。途中でリサ達にも合流できるだろう。


 暫くそちらへ向って歩いていると、案の定途中まで追いかけていたアルザダとリサを見つけた。


「あ、レオさん、手紙は大丈夫でしたか?」


 不安そうに聞くリサに手紙を出して見せると、レオは捕まえたスリを指して言った。


「大丈夫だ。後は取り合えず、近くの教会にコイツを引き渡さなきゃならないらしいから、そこでついでに手紙の事も聞こうと思ってる」


 こうして合流した一行は、目的の教会へ向った──のだが、ようやく疲れや抜けてきたスリがその教会を見た瞬間、恐怖に顔を歪めてレオに縋りついてきた。


「ちょ、ちょっと待ってくれ、俺をこの教会へ入れるつもりなのかッ」


 スリの突然の豹変振りに多少面食らったレオだったが、否定する要素が無いので頷く。

 そのレオの答えに、更に顔を蒼ざめさせるスリを見て、何事かと思ったレオが、事情を知って居そうなギルやアルザダに視線を向けるが、二人も困惑しているようだった。


「頼む、後生だからあの教会は……あの教会だけは止めてくれっ。金なら、財布に入ってた額の倍払う、お願いだから!」


「いや、金は要らないんだけど」


 この国の法律が良く解らないレオは、判断を仰ぐ為にギルを見ると、どこと無く渋い顔をしていた。


「悪いけどな、俺達教会に用があるんだ。何でそんなに嫌がるのか知らないが、問題起こす訳にはいかん」


 するとスリは、この世の終わりを見たかのような顔で膝を付き、傍目にも解るほどに震えだした。


「そうだ、隣の……五分くらい歩いた所に、話のわかる司祭が居る教会があるんだ。アイツならきっと丸く治めてくれるっ、案内もするから、頼むよ!」


 必死の形相で縋られ、どうした物かと考えていたレオだったが、スリの背後に居たゲオルグが彼の尻を蹴飛ばし、ギルからロープを奪って無理矢理引き摺り始める。


「結局、自分が楽したいだけじゃないか。こんな奴の言う事聞く必要無いよレオ、ほら、皆もさっさといくよ」


「こ、この教会には……悪魔が、悪魔が居るんだ──ッ!」


「教会に悪魔なんて居る訳無いじゃない、何言ってんだか」


 妄言にしては鬼気迫る勢いで暴れるスリに、他の仲間達は顔を見合わせたのだが、ゲオルグは特に気にする事も無く目の前の大きな教会へと入ってしまった。




 大通りの近くの大きな教会だと言うのに、聖堂は無人かと思われるほどに静まり返っていた。

 宗教が盛んな国だと聞いていただけに、レオはその雰囲気に違和感を覚える。

 だが当のゲオルグは特に気にならなかったようで、そのまま震え続けるスリを引き摺って奥へと入っていく。

 続くレオが聖堂の奥を見ると、書物から顔を上げた司祭らしき男と目が合う。


 その男は、あまりにも異様な姿をしていた。

 年齢は二十台前半くらいだろうか、整った顔立ちに、ラメでも入っているのではないかと思うほど煌く金髪をした白人風の彫りの深い男だ。

 ここまでは普通なのだが、問題は服装である。


 全身ピンク一色のローブを纏い、薔薇をモチーフにした模様が刻まれた真っ赤な帽子を被っていたのだ。


 なんて格好してんだと言いたくなったレオだったが、ひょっとしたらアレがこの世界の僧侶の一般的な格好なのかも知れないと思い、慌てて仲間の表情を伺う。

 すると案の定、全員が何度も目を瞬いて目の前の光景に呆然としているようだったので、何となく安心したレオは一足先に冷静さを取り戻す事が出来た。


 混乱している仲間を他所に、取り合えず深呼吸をしたレオは服装については見なかったことすると、極力普段通りを装い彼に声をかけた。


「えぇと……街でスリに遭って捕まえたので、引渡しに来たんですが」


「おや、それは災難でしたね。係りの者を呼びますので、少々お待ちください」


 至極真っ当な返事をされて、ようやく現実に戻ったゲオルグが生返事をしてロープの端を差し出す。


「あ、ああ、後は任せた」


 ピンク色の僧侶がスリを引き摺り、聖堂の奥の扉を開けて数人のシスターを呼ぶと、彼女達はロープを受け取って元の扉の向こうへと去っていった。

 連れ去られるスリから恨みの篭った視線を向けられたり、目の前の男への突っ込みを我慢したりと気になることは多いが、目下の優先事項は手紙の事だ。


「あの、ところでちょっとお話したい事が──」


「まぁまぁ、ともかくお座りになってください。ちなみに、財布を盗られたのはどなたですか?」


 質問に答えるようにレオが手を上げると、最前列の席を勧められ、他のメンバーはその後ろの席に着いた。

 どうやら先に事情を聞かれるようだ。と察したレオが身構えていると、いささかオーバーリアクション気味の僧侶が両手を広げ「さて……」と切り出した。


「本日は教国にて災難に遭われたようで、司祭たる私……アルバート・フラメルも大変遺憾に思っております。

 まぁ、始まりは災難だったとは言え、ここでお会いできたのも何かのご縁です。折角なので、詳しい話を聞く前に、この教会についてご説明しましょう。

 この教会は皆様もご存知の通り、この世界で唯一人間と直接対話することの出来る至上最高の女神様、イシス様を信望する為に作られた教会の一つで、この都市の中には同じくイシス様を奉る為の教会が二百以上あるのです。

 この数は他の神々を奉る教会に比べて類を見ない多さであり、二番目に多い知識の神トート様の教会と比べても優に六十以上の差をつけて上回っています。

 と言うのも、イシス様は非常に慈悲深い事で知られる愛の女神であり、始まりとなる五万年前の伝説からして─────」


 止まることなく動き続けるピンクの司祭──アルバート──の口に呆気にとられ、レオ達は五分ほど黙って聞いてしまった。

 我に返ったレオが、同じく危険に気付いた仲間達と何とか話を止めようと声をかけるも、何度声をかけても──


「もう少しですから、待って下さい」


 ──と言われ、取り合ってもらえなかった。

 諦めて終るのを待っていたレオだったが、もう少しもう少しと何時までも引き伸ばすアルバートに、一時間程経過した所で限界が来た。


「いい加減にしてくれッ、いつになったらその話は終るんだ!」


「いつと言われましても、事情聴取をする上で双方に誤解があってはいけませんから。まずはこの教会に関して理解して頂かないと……」


 滅茶苦茶な理由をさも当然のように言うアルバートに、頭痛を感じ始めたレオは更に怒りの声を上げる。


「俺は話を聞きに来たんじゃなくて、聞いてもらいに来たんだ。話がしたいなら、礼拝に来た奴にすれば良いだろっ」


 米神に青筋を浮かせながら叫ぶレオに、アルバートはやれやれと両手を挙げて頭を振った。


「全く……いいですか、会話がしたいと言うのなら、まずは相手の話をきちんと聞かなければなりません」


「貴ッ様が言うなァッ!」


 渾身の怒鳴り声でも一切怯まないアルバートに脱力したレオは、一旦冷静になって説得するしかないという結論に至った。

 眉間を揉みほぐしながら、何とか声のトーンを落とす。


「アンタだってずっと話してたら疲れるだろ、ちょっと休んでこっちの話を──」


「ハッハッハ、大丈夫ですよ。なんと言っても、私は牢に入れられた皆様を改心させる為に、毎日二十時間程説法を説いていますから。

 その甲斐あってか、この教会に来た犯罪者の再犯率は殆どゼロなのですよ」


 瞬間、レオの背中に戦慄が走る。


 この世界の一日は元の世界と変らない──二十四時間程だ。その内の二十時間話していると言う事は、睡眠やその他に割り当てられる時間が、たった四時間しかないと言う事になる。

 そんな非現実的な事実を、さも当然の事のように微笑みながら語るアルバートを見て、レオは先ほどのスリの冥福を祈った。


「ち、因みにその……牢に入れられた人間と言うのは、生きて帰れるのか……?」


 止せばいいのに、つい興味本位で聞いてしまったレオに教会の悪魔は変らない笑顔で答える。


「勿論です。何故か自分から壁に頭をぶつけて怪我をしてしまう方も居ますが、私が即座に治癒しますので」


 アルバートの回答と、レオの脳内で撤退を決める採決が下されたのは同時だった。

 決断と共に仲間に逃げろと言おうと、レオは勢い良く振り返る




 ──が、振り返った聖堂には、レオとアルバート以外の人間は一人も居なかった。




 今思えば三十分程経過した辺りから、仲間達の制止の声は止んでいた。

 恐らく、その頃に全員が逃げていたのだろう。彼らをアルバートが止めなかったのは、初めからスリ事件の関係者だったレオに的を絞って最前列に座らせていた為だ。

 だが、気付いた頃には最早遅い。レオが誰もいない事に焦っている内に、彼方に見える聖堂の出口は、独りでに閉まり初めていた。


「さぁ席について下さい。私の話は、まだまだこれからですよ」


 クツクツと肩を揺らして哂うアルバートに、最早待ったなしと悟ったレオが出口へ駆け込もうとした時、不意に聖堂全体を小さな光が埋め尽す。

 レオが構わず進もうとすると、体に当たった光の粒が突如凄まじい光を発した。余りの眩しさに堪らず目を瞑ると、風のような弱い力に押され、元居た席へと強制的に戻されてしまう。


「なっ……」


 再びの戦慄を持ってアルバートを見ると、彼は実に楽しそうに哂いながら、両手を広げてゆっくりと中空に浮かび始めていた。


「クックック……如何ですか、私が十年の歳月をかけて編み出した、対逃亡信者用無血拘束魔法──スターダストノヴァの威力は!」


「な、なんて無駄な努力を……」


 風に揺られて漂う光の粒は、屋外では飛ばされて無意味だろうが室内では別だ。

 それでも流石に高度な演算が必要なのか、アルバート自身は浮き上がったまま目を瞑っているが、リサの氷球と同じく維持にはそう魔力を使わないようで、表情は涼しげだ。

 何とかテレポートで逃げられないかとレオが目を凝らしても、光の粒は聖堂全体を覆っていてどこに飛んでも直ぐに捕らえられてしまいそうだった。


 いっそ椅子を投げ飛ばして道を作ろうかと手を掛けたが、したり顔のアルバートに制止された。


「それは止めた方が宜しいですよ。理由はどうあれ、教国内で教会を破壊すると、大変面倒な事になりますから」


「くっ……」


 レオの悔しげな声に満足したアルバートは、広げていた両手を更に高く掲げて語り始める。



「さて、どこからお話しましょうか。そうですねぇ……では、まずはイシス様が地上で──『どォリャァア』──ガッハアッ」



 今まさに話が再開されるかに思われた時、聖堂奥の扉が勢い良く開かれ、同時に弾丸のような速度で飛んできたモーニングスターがアルバートに直撃し、真横に五メートル程吹き飛んでいった。

 自らの血の海でもがくアルバートを完全に無視し、投げた本人である背の低い女性司祭はレオの前に来て頭を下げる。


「申し訳ありません、話はシスター達から聞きました。私が留守にしている間に、こんな事になっていたなんて」


 そんな事よりアルバートは大丈夫なのかと焦るレオだったが、たった今大怪我をしたはずのアルバートは既に立ち上がり、何事も無かったかのように頬に付いた血を拭き取っていた。

 変わった所と言えば、邪魔をされたせいか若干不機嫌そうに顔を歪めているくらいだ。


「全く、何をするんですか。私の大切な法衣がまた血塗れになってしまったでしょう」


「いっそ真っ赤に染めてしまえばいいと思います。今の色よりずっと常識的ですよ、アルバート大司教様」


 視界にアルバートを入れもせずに答える女司祭に、先ほどと同じように肩を竦めてオーバーリアクション気味のアルバートが苦言を呈する。


「やれやれ、大司教たる私に危害を加えて平然としているなど……貴方の方が、ずっと常識が無いでしょう。それにこの法衣の色は、イシス様の髪飾りの色と同じです。お揃いです。信仰の証しなのです」


「私は特別に大司教様には何をしても良いと、イシス様よりお許しを頂いていますので。それとその法衣はお揃いでも信仰の証でもなく、あなたが女神様の変態ストーカーである証です」


 呆気にとられるレオの前で、二人の司祭の舌戦が繰り広げられている。

 アルバートの方はまだ話足りない様子だが、女司祭の方はこれ以上話す気は無いようで一瞬背後へ視線を向け、アルバートを指差した。


「相変わらず一方的に全否定とは、貴方には会話をする能力が──ってちょっと待ちたまえ君達、私の話はまだ終って無いんだぞ」


 女司祭に続いて現れたシスター達数人に両脇を抱えられ、先ほどのスリと同じように、アルバートは扉の奥へと連れ去られていく。

 両脇を抱えられたアルバートは、それでも必死にレオに向って手を伸ばした。


「ま、待て、まだ入信申請にサインを貰ってな───……」


 手馴れた様子でアルバートを連れ去っていった彼女達をレオがぼんやりと見つめていると、先ほどの背の低い女性司祭が話しかけてきた。


「本当に御免なさい。彼のせいで、最近は滅多に礼拝に来る人が居なかったので、少しくらい留守にしても大丈夫かと……」


 謝られた方が気の毒になるような女性司祭の謝罪に、最早怒る気も失せたレオは曖昧に相槌を打った。


「はぁ、えぇと」


 途中レオが詰まった事で、未だ自分が名乗っていない事に気付いた女司祭は頭を下げた。


「ああ、申し遅れました。私はアメリアと言います」


「俺はレオ、冒険者です。ところで、さっきのは──」


 アルバートが連行されて行った扉をみながら呟いたレオに、アメリアが答える。


「彼は……その、昔とある街に疫病が蔓延した折に、数千人の命を救った功績で大聖堂就きの大司教になった方なのですが……本来見えない筈の、霊体の愛の女神イシス様を直接目で見てしまってから、あの調子で女神様にアタックを続けた為に……」


「なるほど」


 やっている事はとんでも無いが、神様の能力のせいだとしたら、情状酌量の余地はあるかもしれない。と、思いかけたレオだったが──


「まぁ、その前から大体あんな感じだったらしいのですが」


 ──どうやら同情は必要なさそうであった。


 世間話を終えた後、レオは簡単にここに来た経緯を伝える。

 捕まえたギルやゲオルグは今は居ないが、軽犯罪でもあるのでレオの証言だけで特に問題ないと言うことだった。


「ところで其方のご用件と言うのは……」


 ようやく本題に入れたことに安堵しつつ、レオは懐から一枚の黒い便箋を出した。

 差出人の名前は勿論、ホワイトパールだ。


「この手紙をカークスという人に届けに来たんです。少々事情があって、出来れば直接渡したいのですが」


 手紙を見たアメリアは目を見張った。

 世界に五人しか居ないSランク冒険者と、教国では知らぬものは居ない、依り代の巫女の世話役の名前が書かれた手紙だ。驚くのも当然だろう。

 数秒悩んだ末、アメリアは躊躇いがちに答えた。


「すみませんが、彼もこの国の要人ですので、今すぐ返答する事はできません。

 ただ、会いたいという旨は伝えておきますので、恐らく問題が無ければ明日にでも宿に迎えが行くかと思います。それで宜しいでしょうか」


「はい、宿は南の大きな門の──」


 詳しい場所と宿の名前を伝え、手紙をアメリアに渡す事で、ようやくレオは教会を出る事が出来た。

 用件が終った事で、忘れかけていた長旅の疲れが顔を出し、教会での一見も重なってめっきり老け込んでしまったレオが大通りにでると、丁度他の四人が楽しそうに買い物をしている所に出くわした。


「お前ら……」


「ん、なんだもう終ったのか。どうだった?」


 何事も無かったかのように聞くゲオルグに、レオは殺意の篭った視線を向ける。

 元はと言えばレオが財布を盗られた事が原因ではあるが、余りのも冷たい仕打ちではないだろうか。


 だがリサやアルザダは「ゲ、ゲオルグさんが……」等と言い訳しているし、スリの件では迷惑をかけたのも確かだ。

 それに何だかどっと疲れが出たレオには、これ以上怒る気力も沸いてこなかった。


「……話は通してもらった、明日には迎えが来るだろうってさ」


 怒りを納めたレオが経過を報告すると、それまで露天の商品を眺めて風景に溶け込んでいたギルが、ひょっこりと顔を出した。


「それじゃ、俺とアルザダは商売の続きをしにいくぞ。ゲオルグはどうする」


 相変わらず要領の良いギルに、巻き込まれ体質のレオは関心すら覚えてしまう。


「暫く居る事になりそうだし、アタシはギルドの依頼でも見てくるかね」


 夕飯までには戻ると言う三人と別れ、レオとリサは一足先に宿へと戻る事になった。





 ところがその道中、流石に悪い事をしたと思ったのか、リサが気を使って無言になってしまったので、何となく気まずくなったレオは、雰囲気を変える為自分から話しかける事にした。

 何か話題は無いかとリサを見て、ダールから先送りにして来た問題に気付いた。


「そういえば、余裕が出来たら、俺が前に使ってたローブをリサ用に仕立て直してもらおうと思ってたんだった。時間も掛かるらしいし、明日辺り頼みに行ってみようか」


 唐突に声をかけられたリサは、一瞬意外そうにレオを見て頷いた。


「でも、良いんですか。この盾といいレオさんが渡す物は、どれも凄い物ばかりな気がするんですが……」


 確かにそれらの装備品はゲームとは言えレオが苦労して手に入れた物なのだが、職業を変える方法が無くなってしまった今、後衛用のローブ等は完全に宝の持ち腐れだ。

 装備制限等も無いので、鎧や盾や剣と言った物は使う機会もあるかもしれないが、最強の装備が使えているので、それすら使う時が来るかどうかは怪しいものである。

 売って金に換えようにも、出所が明かせないのでそう易々とは売れない。それで無くとも貴金属があるので、当分は金にも困らないのだ。

 よって現状一番の使い道は、仲間に使ってもらう事だ。刻印が消えて事情が話せるようになれば、幾つかギルやゲオルグに渡そうと思っている品もある。


「まぁ、凄すぎるのが問題と言うか……俺としても考えた末の使い道だから、気にしなくていいよ」


 本当に何でもない事のように言うレオに、急に難しい顔になったリサが躊躇いがちに言った。


「助けてもらっている私が言うのもなんですけど、幾らなんでもレオさんはお人好し過ぎです。もう少し慎重に判断しないと、いつか狡賢い人に足元を掬われてしまいますよ」


「う……」


 レオに出会うまで、人間関係でのトラブルが多かったリサだけに心配になってしまったのだろうが、痛いところを通り越して完全に図星なレオにはその言葉が鋭く突き刺さった。

 胸に刻まれたリスィの刻印の件があったのに、レオの危機感にはあまり変化がないのだ。心配するなと言う方が難しいだろう。

 とは言え、仲間と共にまったりとゲームをして、バイトの延長で寂れかけたホームセンターの平社員になっていたレオにとって、生存競争のような生き方などそう簡単に出来るものでは無い。


「それに関しては、その……追々慣れて行くと思うから、暫くは手を貸して貰えると助かる」


「勿論そのつもりですけど、レオさん一人の時はどうにもできませんからね」



 呆れたような視線を胸の刻印に向けられ、反論の余地が無くなったレオは黙って宿屋へ入っていった。









 おはよう御座います。



 どうも、作者です。


 間が開いたせいか前の話で使うはずだった話を忘れたりしてこっちに来てしまい、ちょっと場面の切り替えが多くなってしまいました。

 ようやく勘も戻ってきたのですが、虫食いのように忘れてる部分があって、確認の為にこれまでの話を読み返す作業が多く、相変わらずの牛歩執筆です。

 手紙の方は次話でようやく片付きます。長かったですね。


 最後に間開いてたにも関わらず、感想寄せてくれた皆様に感謝を。

 それでは今日はこの辺で。また次回、近いうちにお会いしましょう。




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