詩 技術の時間、彼の元に行く
技術の時間、皆、木材を使って作品を作ることになった。
私は先生をじっと見つめ、ふうとため息を吐く。
何か作るのって、苦手なのよねと、自分の不器用さを呪う。
彼はどうしているかしらと思い、席を眺めると、1人で頭の後ろに手を組んでいた。
皆、バラバラになり始めたので、私はチャンスと思い、彼に近づく。
「何を作る?」
聞いてみると、彼が手を組むのをやめ、私を見てくる。
「何を作ろうかな? 椅子とか」
「椅子じゃ大き過ぎるわよ、もう」
肘で彼の肩を小突くと、彼が真剣な面持ちとなる。
「そうだな…。マンガが好きだから、マンガを入れる棚でも作ろうかな」
「あ! それ、いいかも!! 私も本が好きだし」
私は手を合わせ、喜びの声をあげる。
まるで神様と出会ったみたいな、そんな感じで興奮していると、彼に隣に座るように指示される。
「座ってもいいの?」
「いいだろ。どうせ奴は…あ、大丈夫だ。ばれないから、座れってば」
「うん」
周りを気にしながら、椅子に慎重に座る。
まるで着物を身に着けたみたいに、動作が緩やかだった。
「俺が手伝ってやろうか?」
「駄目だよ。自分で作らないと意味ないでしょう」
はっきり断ったものの、すぐにしゅんと小さくなる。
まるで子どもがいじけたみたいに、そわそわし出す。
「あの、その、実は作品を作るのって、苦手なのよね。イラストを描くとか、そういうのならまだいいんだけど…」
「ほら、やっぱり苦手なんじゃん。素直になれよ」
彼の指が伸びてきて、私の額をデコピンする。
軽くだったので、痛くはないのだが、その箇所を押さえる。
「どんなものが作りたいのか、描いてみろ」
紙とシャーペンを渡され、私は恐る恐る、描き始める。難しくなく、また楽なものではなく、頭に浮かべながら、描いていく。
「はい。できた!!」
「どれどれ」
彼が紙を覗き込み、じっと見つめる。
もう1人の先生に見てもらっているようで、若干、緊張する。
「これなら手伝えるかも」
「本当に!? やった!!」
嬉しくなってガッツポーズをするが、周りの人間はもう動き始めていて、カンナなどの道具を使っている。
速いなと思いつつ、彼に聞いてみる。
「あなたは何を作るの?」
「そうだな…。ちょっと、シャーペンを貸して」
借りたものを返すと、彼は男らしく大胆に描いていく。そのスビードは、もう頭の中で完成しているようだった。
「うわ…。すごい。これを作るの?」
「おう。先生に見せに行こうぜ」
彼に誘われ、私は後について行く。
不器用な私だけど、よろしくね。




