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ファインド・アイズ (探し屋と女子高生)  作者: てんまる99


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9/9

晴れのち曇り(インターミッション2+)

探し屋の主人公は、女子高生の涼花と負傷しながらも事件を解決した。

事件後、主人公は傷が悪化してしまい‥

「ありゃー、目茶苦茶腫れてるじゃん」

金髪の娘、田中麒麟たなか きりんがベッドに座る俺の足を見て、目を丸くした。

そろそろと指を伸ばし、腫れている所を突こうとする。

「おい、こら、突くな」

「うじゃ?」

「痛いんだからヤメロ」

「はーい」


ここは俺のアパート。

何故か女子高生が3人も押し掛け、かなり手狭な状況に陥っている。


「なぜにウチのアパートへ?」

「いやー、涼花を行かせた手前、ヤバい事有ったらまずいから、様子を見に‥」

麒麟は言った。


今度はショートヘアの娘、御津御美波みつみみなみが俺の髪を横から引っ張る。

「いたた、な、何だ?」

「綺麗な黒髪だから〜」

「いや分からん。黒髪引っ張りたければ、お菊人形にやれ」

「お菊人形って?」

「自動で髪がのびる人形だ」

「おお、ハイテクぅ〜。どこに売ってるん?」

‥呪われるぞ?


こちらで話している隙に、麒麟は再びそろそろと俺の足に手を伸ばす。

「おいー」

「触るだけ、触るだけだからっ!」

「どうして人の傷をそんなに触りたがる‥」

「だって、こんなに腫れてるの珍しい‥」

言いながら触れるか触れない位のタッチで俺の足を触りはじめる。

「ん‥硬くて熱い‥す‥凄い」

切なそうに吐息を漏らす。

「なぜに人の怪我で発情してるんだお前‥」

「えへへ」

全くわるびれる様子もなかった。


「はあぁ‥」

思わず溜め息をつく。

怪我で体調不良の身にこの2人は手に余る‥。

「す、涼花‥助けてくれ‥‥あ‥」

つい、2人で居るときの調子でキッチンに立つ涼花に声をかけてしまった。


「「キャーーーッ」」


女子高生2人が黄色い声を上げる。


「聞いた、“涼花”、だって!」

「これはもう、確定じゃない?」

「だよね、だよね!」

「既成事実なんて要らなかったんじゃ?」

「確かに! これはもう‥」

「「予定日決めなきゃ!」」

ハイテンションで手を握り合う2人。


駄目だ‥3人寄ればかしましいとは言うが、2人で俺は既にキャパオーバーだった。


と、そこに涼花がお粥が入った鍋を持って入って来る。

「一応、怪我人なんだから‥あんた達もペース落としなさいよ‥」

そう言って嘆息する。


「だって‥涼花だけズルいよ‥」

麒麟が溢す。

「な、何が?」

「こんなところで二人の愛の巣とか‥」

「ここに来るのは今日が始めてよ! アンタだって知ってるでしょ」

「でも、これからは〜?」

「え、そりゃたまには‥まぁ来れれば毎日でも‥」

「ひゅーひゅー、やるぇ涼花」

「あの、家主の俺の意見は‥?」


「あ、アンタはお粥食べて! ほらっ」

涼花は照れ隠しなのか、大さじに山盛りのあつあつお粥を俺の口に無理やり押し込む。

「あじぃーー!」

「あ、ごめん」

「ほら、涼花これこれ」

美波がコップに入ったジュースを渡す。

受け取った涼花は慌てて俺に渡した。

「うん、これ飲んで」

俺は急いでそれを口に含む。

“ごくごくこくこく‥”


飲むと、口の中いっぱいに薬臭い様な生臭い様な、何とも言えない味が広がった。

「な、なんだこれ‥ひどい味だ」

「これ、ここに有ったから‥」

美波は空になったガラス瓶を見せる。


“マムシ一番”?!


「けっはっ」

思わずむせる俺。

「ちょっと、汚い‥」

「そ、それはっ‥」

「元気、出るって」

美波はにこやかに笑った。

いや‥どうするんだこれ‥。

俺は火照ってくる体の熱を感じながら、もう一度嘆息した。



それから数日。

涼花の看病のおかげもあり、杖で歩ける程度に回復した俺は警察署で事情聴取を受けていた。


担当はあの時の初老の刑事、大西巌おおにしいわおだった。


「探し屋の噂は俺も聞いたこと有ったが‥まさかこんなに若いとは」

一通り聴取が終わった刑事は姿勢を崩しながら言った。

「こういう事にあまり年齢は関係ないからな」

「だが、トラブルへの対応には経験も必要だろう? 今回みたいにな」

「認めるよ。もっと早く気が付けば、涼花を危険な目に合わすこともなかった」

「涼花ちゃんは‥いい娘だな」

「ああ」

「だが、未成年に手を出すのはだめだぞ」

「ゲホッ」

先日の事を思い出して思わず咳き込んでしまう。


「! おい、まさかもう?」

「ち、違う。ただ、周りからも冷やかされてて‥」

「まぁ、どこから見ても分かりやすいからな」

「そ、そんなにか?」

「ああ、そうだな‥あの娘、大事にしろよ」


言いながら刑事は写真を机に置いた。

「お前、写真だけで人の居場所が分かるんだってな?」

「だけって訳じゃ無いが‥」

「この女性の居場所、分かるか」


「刑事さん、俺は“探し屋”だ。仕事ならちゃんと料金払ってくれないと。だが‥」

「だが?」

「あの時に肩を借りた恩もあるから、今回はサービスだ。ただし、この事は他言無用だ‥例え刑事仲間だろうと」

「わかった。約束する」

「‥その人はもうこの世には居ない」

「!」

ぎょっとした顔をあげる大西刑事。

「当たりだよな?」

「あ、ああ。‥本当にか‥」

刑事は本心で驚いた様だ。

女性が亡くなっている事を確信できなければ、こうは答えられない。

そしてもう死亡したと分かっている人を探すのは不自然だ。


「俺を試したのか?」

「まぁな‥本当に探して欲しいのはこの娘だ」

刑事はもう一枚写真を机に置く。

そこには幼い少女が写っていた。

「これは‥何年か前の写真か」

「4年ほど前だ」

「子供は容姿がどんどん変わるから‥難しいな」

「それじゃ、これはどうだ? その子と一緒にある可能性が高い」

もう一枚は日本人形の写真だった。

ただあまり鮮明ではない。

「画質が悪いが‥いくつか候補はあるな」

「探せないか?」

「不可能では無いが、俺に捜査を手伝えと?」

俺は警察から依頼を受けた事は無い。

捜査情報を第三者に漏らす事は守秘義務に反するし、俺もトラブルに巻き込まれるのは御免だ。



「これは捜査じゃない。俺の個人的な‥依頼だ」

刑事はそう言って銀行の通帳を俺に渡す。

「そこの金全部が依頼料だ」

俺は通帳を確認した。

結構な金額が入っている。


「見つけられれば、印鑑とカードも渡す」

「多すぎるな。これの一部だけでいい」

「なら必要な額だけ下ろして、後は返してくれれば良い」

「なぜそこまでする? この娘は‥?」

「孫だ。ある事件で行方不明になった。さっきの女がその母親‥俺の娘だ」

大西刑事は椅子にもたれかかり、天井を見上げた。


「その子もな‥“見える”子だったんだ」

と、言った。

ここから数日また書き溜め予定です。

形に成りましたら公開しますので、ブックマーク等よろしくお願いします。


モチベーション維持のためにもぜひぜひ感想とか教えて下さいませ。

また、連載形式でアップしますので読み逃し無いよう、お気に入り登録も宜しくです。

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