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ファインド・アイズ (探し屋と女子高生)  作者: てんまる99


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3/9

依頼人の女性

猫探しを請け負った主人公だが、これまでの経験から、既に猫が死んでいる可能性が高いと判断し、依頼主に連絡することにした。

涼花にパフェを奢った日の夜、俺は依頼人の女性に電話をする事にした。

こういう感情が絡む話題は、メール等より肉声の方が適切だろう。


依頼人の女性は数回のコールで出た。

俺は簡潔に、依頼された猫が死亡している可能性が高い事を伝えた。


「そうですか‥“チャオ”はもう‥」

電話口の向こうの女性は残念そうに答える。


「このまま捜索を続ける事は勿論可能だが‥当初話しただけの費用が掛かる。どうする?」

「引き続きお願いします。例え遺体だとしても見つけてあげたいので‥」


依頼の時から感じていたが、どうもこの依頼主はかなり裕福な家庭の様だ。


このまま捜索を続けると言うことは、猫の死骸に相当の金を払う事になる。

もちろん、家族同然に可愛がっていた猫ならその気持ちも分かる。

が、先程猫が死亡している事を話しても、さほどの動揺は感じられなかった。


「分かった。あと、追加で写真が欲しい」

「はい、どのような写真を?」

「捜索対象の特徴が分かるような‥首輪の写真とかはあるか? 何枚か有るとより確実なんだが」

「分かりました、明日の閉店後にお持ちしますね」

「手間をかけてすまない」


ちょうど明日は仕事がある。

写真が手に入れば、より確実に探索出来るだろう。

気持ちを入れ直す俺だった。



そして翌日、俺は店のカウンターにいた。

時間はそろそろ夕方、いつもなら涼花が来る頃合いだが‥。


“カランカラン”

ドアに付けたカウベルが鳴った。

来店したのは女子高生が2人。


少し小柄のショートヘアと金髪ロングの娘だった。

制服を見ると、涼花と同じ学校の様だ。


「いらっしゃいませ」

出迎えた俺を見て、2人は少し驚いた様なリアクションをした。

『ちょっと、意外とまともそうじゃん』

『涼花はだらしないって‥』

ひそひそ話しているが‥丸聞こえなんだが‥。


「テーブル席で宜しいでしょうか?」

ここはビジネススマイルで対応する。


「あ、はい」

「あの、涼花がいつも座ってる所って‥?」

「こちらにどうぞ」

いつもは涼花が座る店の奥のテーブルに案内する。

「涼花さんのお友達ですか?」

メニューを渡しながら、さりげなく尋ねた。

「はい、涼花は今日は用事で来れないんで」

「私たちが代わりに、かん‥様子を見に」


‥今、『監視』と云わなかったか?

まぁいい。

客には余計な詮索をしないのが前提だ。

「ご注文がお決まりに成りましたら、お呼びください」

一礼してテーブルを離れた。

彼女達はこちらをチラチラ見ながら、何かを話し合っているようだった。


‥本当に監視されている?

少し気になった。


それから数時間が経ち、彼女達も帰った。

既に店内に客は居ない。

そろそろ閉店の時間だ。


“カロン‥”


カウベルが鳴り、このタイミングで来店客が。

「申し訳ありません、閉店‥」

言いかけて止める。

来店したのは依頼人の女性だった。


「少し、早かったかしら‥」

「大丈夫。少しまっていてくれ」

彼女にカウンターに座ってもらい、手早く閉店作業をする。


その間に彼女は何枚かの写真をカウンターに並べていた。

例の猫が写っている写真が何枚か。

中には姉妹と思わしき少女と2人で猫を抱いているものもある。

彼氏だろうか、若い男性も写っている。

それと、首輪が写っている写真が数枚。

どれも綺麗に首輪が写っているが‥。


「これは、商品写真?」

「はい、購入する時に使った販売店のホームページから‥」


確かに鮮明だが、これでは意味がない。

必要なのは現物の写真だからだ。


「説明が足らなくてすまない。実際に使用していた、首輪の写真が欲しいんだ」

彼女は一瞬、戸惑った様な表情を浮かべた。なぜ現物の写真でなければ成らないかが分からなかったのだろう。


「確か、“チャオ”が着けている写真が何枚か‥明日持ってきます」

「申し訳ない。明日、閉店後でなくとも、店のポストに投函して貰えれば‥」

「分かりました。近くまで来る用事が有るのでその際にでも‥」

「助かる」


女性は帰り支度をしながら尋ねた。

「少し、伺いたいのですが‥」

「なにか?」

「譲さんは発見率100%と伺っております。今までで一番長くてどれくらい日にちが掛かったのでしょうか?」

「最長で3週間だったな」


彼女は嬉しそうな、驚いた様な顔をした。


「優秀なのですね‥引き続きお願い致します」

そう言って店を出る。

俺はその後ろ姿を見送ってから残りの閉店作業を片付けた。


何故か、最後の女性の表情が気になる。

猫探しに3週間は早い訳では無いと思うが‥。


それは胸につかえたトゲの様に俺の中に残った。

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