風香願望
主人公の譲は無事に鍛錬を終えたが‥。
「んっ‥‥そこ‥いい‥」
ベッドに横たわった涼花が吐息を漏らした。
灯りを落とした俺のアパート。
カーテンも閉めて室内は薄暗い。
ぴくり、と涼花の睫毛が震える。
「ここ? この、コリコリしてる所か?」
俺は少しだけ力を込め、親指を涼花に押し付けた。
「そう‥もっと‥」
「ふう、随分と溜まってたんだな‥」
「だって、こんなの始めてで‥んっ‥」
再び涼花は身体を震わせた。
「駄目ですよ、譲さん。焦りすぎです」
傍らの風香ちゃんが俺を諌める。
「女の子は敏感なんですから‥もっと優しく‥」
言われ、おれは力を微調整した。
「こ、この位か?」
「ん‥良い感じ‥だよ」
「そうそう、そのままゆっくりと‥」
「んっん~~っ!」
涼花が軽く身体を反らせる‥‥。
「ちょ、ちょっと、ストップ!」
俺は思わず部屋を出て、深呼吸した。
駄目だ、こんな密室で美少女2人とマッサージ練習なんて。
俺の理性が崩壊してしまう‥。
「もう、良いところだったのに‥」
「護さん、鍛錬はまだ終わってませんよ?」
室内から2人が声をかける。
そう、俺は部屋で風香ちゃんから気のコントロールを学ぶべく、涼花にマッサージを試していた。
つまるところ、屋敷で風香ちゃんにしてもらった事の簡易版と言った所だ。
涼花が俺と風香ちゃんの関係を疑っているので、実際どんな事があったか、実施してみるという理由もあった。
「これは‥かなり気持ち良いわね‥」
頬を紅潮させた制服姿の涼花がベッドから身を起こした。
「術の中でも秘伝なんですよ、これ」
「わかるわ〜、これ続けたら辞められなく成りそう‥はっ!」
涼花は何かに気が付いたらしく俺を見た。
「ん、どうした?」
「ま、まさかアンタ、今でも風香ちゃんにこれを‥?」
ジロリ、と俺を睨む。
「ま、まさか‥」
「ホントに?」
「た、たまに‥少しだけ」
涼花の顔が今度は怒りで真っ赤になる。
「ちょっ! 未成年にナニさせてるのっ!」
「ご、誤解だ。まだ傷が痛む時があって‥それで」
「ダメダメダメダメー!」
本気で反発する涼花。
「もう、涼花さん。私、別に護さんを取ろうとかそんな事は‥」
そう言う風香ちゃんに涼花は振り返る。
「取ろうとは思って無くても‥‥ちょっと深い関係に成りたいとかは思ってるでしょ?」
「えうっ?」
今度は風香ちゃんが図星を差されて息を呑んだ。
涼花、お前はエスパーか?
どうしてそこまで他人の心理が読める‥。
「そ、それは‥ちょっと‥だけ」
風香ちゃんは俯きながら答えた。
「具体的には?」
更に追及する涼花。
「わ、私あと何年かしたら家を継がなくちゃならなくて‥」
「ふむふむ、それで?」
「その為には婿を取らないと‥」
「確かにね。で?」
「どうせ結婚するなら相手は‥譲さんが良い‥とか?」
「それだけ?」
「こ、子供は1男1女がいいな‥とか」
「いや、家族計画まで決めてるんかい!」
遂に涼花のつっこみが入った。
「ご、誤解しないで下さい、これは私の願望と言うか、妄想でっ!」
ふるふると首を振る風香ちゃん。
「分かったわ。想像は誰でも自由だもの」
「は、はい‥」
風香ちゃんは緊張からか、息が荒い。
「でも、最低限これは叶えたいってライン、あるじゃない?」
「そ、そうですね」
「最低でも‥?」
「最低でも‥」
「言ってみたら? ‥護は聞いてくれるかもよ?」
涼花が悪魔の様に囁く。
‥涼花の心理誘導、巧みすぎる。
「護さんのあ、赤ちゃん、欲しいかなって」
風香ちゃんは真赤な顔を手で押さえた。
衝撃の発言に俺と涼花は立ち尽くした。
「え‥ま、護、どうするのこれ‥」
「涼花が言わせたんだろ‥」
「だってまさかこんな‥」
衝撃と混乱で涼花は二の句が継げない。
恐らく、涼花はデートしたいとか、そういう返事を考えていたのだろう。
「最低でも‥赤ちゃん‥って」
「ま、まぁ、あくまで願望だから‥」
「いや、でもさ‥」
涼花は何かを思案しているようだ。
「これはマズいな‥」
俺は思わずこぼした。
風香ちゃんの願望を知った涼花。
行動をエスカレートさせなきゃ良いが‥。
しばらく平穏に暮らすのは無理かも知れない。
俺は溜め息をついた。
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