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ファインド・アイズ (探し屋と女子高生)  作者: てんまる99
銀の糸編

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20/24

紙探し

主人公、神島譲は術を学ぶため、ある屋敷に逗留していた

翌日の早朝、俺は微かな気配に目を覚ました。

目を開くと、目前には風香ちゃんの寝顔があった。

床は畳張り‥そうだ、昨晩は風香ちゃんを‥。

あれ?

と、気が付けば、寝ている間にお互いに布団の中でしっかり抱き合う形になっていた。

‥どうりで温かい訳だ。


俺の気配に風香ちゃんもぱっと目を覚ます。

「あれ‥神‥島‥さん」

むにゃむにゃと言いながら再び俺の胸に顔を埋めようとして‥はっと顔を上げた。


「かか、か、神島さんっ?」

風香ちゃんは慌てて飛び起きる。

顔がみるみる真っ赤になってゆく。


「ご、ごめんなさい! わ、私とんだ失礼をっ」

風香ちゃんは布団の上に正座し、頭を下げる。


「おはよう。俺の方こそごめん。目が覚めたらこうなってた」

言いながら俺も身体を起こした。


「これって、私達、昨晩‥その‥」

「あ、いやいや大丈夫、何も無いよ」

「そ、そうですよね‥」

言いながら風香ちゃんは寝乱れた髪と浴衣を整える。


「まぁ、これで真礼さんに言われた事は守ったんだし、気にしないで‥忘れて」

「わ、忘れませんっ、絶対」

「え?」

「あ‥その‥失礼しますっ!」

風香ちゃんは部屋から走って出て行った。

もうちょっと上手く対応すれば良かったかな‥少し申し訳ない俺だった。



その後、準備を整え庭に出ると、真礼さんが待っていた。

俺の顔を一見し、

「どうやら風香とは上手く行ったようだね」

と笑った。


「‥言っとくが何もしてないぞ」

「分かっておる。ああでもしないとあの娘もなかなか本音を明かさんからの」

「それが狙いか」

「お互い、本音を明かす所からじゃよ」

真礼さんはそう言ってカラカラと笑った。


「さて、最初の課題じゃ」

真礼さんはそう言って白い折り紙の様な紙を取り出した。

「これと同じ物がこの辺りに10枚撒いてある。それを日没までに持ってくれば合格じゃ」

「紙か‥」

普通に紙が置いてあるだけならば俺の“目”で探せる。

だが、そんな事は真礼さんも承知だろう。


「一つ確認だが、スマホを使っても良いのか?」

「個人で持ち運べる範囲の道具は使って構わん」

「なるほど‥」

つまり、その程度で何とかなる課題では無い、ということか。


「では、期待しておるぞ」

言うと真礼さんは屋敷に戻って行った。


俺はさっき見た紙のイメージを忘れないうちに、地図アプリで場所を確認する。


俺の“目”に反応した地点はおよそ30ヶ所。

つまり、10枚の本物以外に20枚のダミーが一緒に撒かれていると言うことだ。

勿論、どれがダミーかは見つけるまで分からない。


「やってくれる‥」

昨日、辺りを歩いて地形を把握しておいたのは無駄にはならなかったようだ。

俺は部屋からリュックサックを取ると、屋敷を出た。


とりあえず近場から目的の紙を回収する事にした。


屋敷を出て、暫く歩いた木の枝に結ばれで1枚目を発見する。

取り上げて開いてみるが、特に何も無い白い紙だ。

これが正解の10枚かも分からない。

背負ったリュックに入れ、次の紙に向う。


それから少し離れた高い枝に2枚目を発見。

これは木に登るか、棒などを使わないと無理そうだ。

一瞬迷ったが、木を途中まで登り、枝を足を伸ばして蹴る事で紙を落下させ、回収した。

だが、これも別段変化のない紙だ。


「このままだと30枚全部回収しないと駄目か‥?」

俺は少し焦り始めている。

最も遠く離れた紙は、6キロほど離れた山中にある。

あそこまで行くのはかなり大変だろう。

だが、だからこそ、そこに当たりの紙があるのかも知れない。


「やってやるっ!」

俺は気合を入れなおし、山中に向かった。


獣道を踏み分けながら山中を歩き、2時間程で3枚の紙を回収した。

未だに正解の紙とダミーの紙の見分けが付かない。


次の紙は断崖絶壁の中程の岩の割れ目にあった。

崖の高さは20m近い。

途中で落下すれば命も危ないだろう。

こんな事も想定してリュックの中には10m程のロープがいれてあるが‥。


結局、ロープの先に木の枝を縛り付け、投げて崖の途中に生えた枝に引っ掛ける手段を取った。

崖を迂回して上に登ってからロープで降りるには時間がかかりすぎる。


ロープと僅かな凹凸を手掛かりに崖を登る。

何とか中腹まで登ったが、紙には僅かに手が届かない。

「あと少し‥」

右手をかなり無理な姿勢で伸ばす。

「‥‥届いた」

指先で何とか紙を挟んだと同時だった。


“ガラガラッ!”

足場の岩が崩れた。


「うぉっ!」

必死にロープに捕まるも、無理な姿勢が祟って体重を支えられない。

そのまま崖を数回バウンドして、転げ落ちた。


“ガツッ”

地面に落ち、岩に背中を打ち付けた。


「ぐはっ」

激痛と共に衝撃で息が止まりそうになる。

痛みで身動きが取れず、倒れ込んだ。


暫くして、何とか身体を動かしてみる。

不幸中の幸いか、骨折はしていない。

打ち身と細かい切傷多数‥。


落下の途中で岩に激突しなかったのは運が良かったとしか思えない。

下手すればここで死んでいた‥。


「く、くそっ」

全身の痛みを堪えて立ち上がる。

目的の紙は何とか離さずに掴んでいた。

が、紙を見ても今までの物と相違が無い。


‥わざわざ外れの紙をあんな険しい崖に?

普通に考えて、置く方だってリスクが高すぎでは‥?


いや、それ以前に。

「どうやって紙をあそこに置いたんだ?」

一人呟く。


改めて目前の崖を見る。

俺以外に崖を登った痕跡が無い。

紙を投げて、あそこに‥‥?


「分かった!」

改めて、今手に入れた紙を“目”で見てみる。

紙に文字が薄っすらと発光しているように見える‥これは‥式、か?


ようやく、真礼さんが短時間に紙を各地にばら撒いた方法を理解した。

紙を置いたのではない。

紙が式神となって、自らここに飛んで来たのだ。


改めて今までに入手した紙を“見て”みると、2枚ほど薄っすらと霊力の文字が刻まれている。


つまり‥つまり、これが正解の紙と言うことか。

正解は最初から紙自体に刻まれていたのだ。

俺が確認を怠り、気が付かなかっただけ。

自分の注意力不足を激しく後悔した。


「くそっ!」

思わず目前の崖を殴る。

怪我をした全身に激痛が走った。

「ってえ!」

だが、おかげで少し気合が入った‥気がする。


仕掛けが分かれば、所在地は把握出来る。

俺は痛む身体を引きずって、再び山中に分け入った。


それから数時間‥山道から転落し、川に溺れ‥何とか10枚の紙を集めて屋敷に戻った頃にはすっかり暗く成っていた。

もちろん、日没までがリミットの試練は失敗だった。


モチベーション維持のためにもぜひぜひ感想とか教えて下さいませ。

また、連載形式でアップしますので読み逃し無いよう、お気に入り登録も宜しくです。

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