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第7話 痛みと恐怖と絶望の中で 

「痛い痛い痛い、なんだこれはーーー」


運転席に戻った瞬間、腰から突き抜けた激痛が全身を貫いた。


そのあとに襲ってきた下半身の感覚はなんと言えばいいのか……

まるで上半身だけが、冷えたゲル状の物体の上に置き去りにされたような、得体の知れない気持ち悪さだった。

焼けつくように熱いのに、氷を押しつけられるように冷たい。相反する感覚が同時に襲ってくる。


わかっていたのは、事故の衝撃で腰の骨が折れ、さらに運転席側へ戻ったときに大きな血管と神経が損傷したということだった。


大量の内出血によって下半身は一回り、二回りも膨れ上がり、まったく動かすことができなかった。


車内を見渡すと、助手席側のフロントガラスはひび割れて前方が見えづらくなっていたが、運転席側はなんとか視界を保っていた。

どうやら車体は、助手席側の窓から見える建物の角辺りで止まっていた。


痛みに耐えながら周囲を見て、少しずつ状況が飲み込めていく。


特に恐怖を覚えたのは、運転席側の窓周辺に立っていた巨大なコンクリート資材だった。

もしも激突したのがこちら側だったら……間違いなく、命はなかった。


それでも何もしなければ、今ここで死んでしまう。


「くっ、このままじゃ…誰も気づいてくれない……」


激痛に震えながら、どうすれば助けを呼べるか必死で考える。


時刻は深夜の2時半。

小雨の降る土曜日で、川の土手沿いの道には車なんてほとんど通らない。


車は奇跡的に炎上を免れたものの、動かすことは不可能だ。


脱出しようにも、身体は言うことを聞かない。


携帯電話は事故の衝撃でどこかに飛んでいき、手の届く範囲には見当たらなかった。


せめて、クラクションを鳴らして居場所を知らせようとした。だが、それさえも絶望的だった。


運転席側へ戻った際、のたうち回るような痛みを少しでも軽くしようと、座席を倒しすぎてしまったのだ。


激痛で動けなくなってしまった身体では、腕を伸ばしたところで、ステアリングには届かない。


指先が空を切るばかりで、必死に手を伸ばしても全く届くことはなかった。


ならば発煙筒、と一瞬考えたが……

やはり身体は動かず、手を伸ばすことさえ叶わない。


続く激痛、助けを呼べない現実、静まり返った夜の道路。


すべてを理解した瞬間、胸の奥が崩れ落ちた。


――助からないかもしれない。


絶望がゆっくりと広がっていった。


《次回予告》


助からない現実、どうしようもない現状、失意のどん底に落ちた先にある小さな希望に全てを込める。


次回 『第8話 小さな希望の光と、生死を分けた行動』


絶望の底にあった小さな光の行方は…


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