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第4話 桜の木の奇跡 ― 衝突までの一瞬 ―
まばらに立つ街灯、その光に照らされ迫り来る桜の木…
浮かび上がった黒い幹は、まるで“壁”そのものだった。
恐怖で体は凍りつきそうになったが、それでも死の影に飲まれまいと、僕は必死にハンドルを握りしめた。
ブレーキを踏み込みながら、ただ一心に叫ぶ。
「くっ……頼む! もってくれ、俺の車……そして、俺の身体!!」
握った手に、今まで感じたことのない力がこもる。
そして衝撃の瞬間が来る――
……はずだった。
車は右に回転しながら滑り続けていたが、その軌道のズレが幸いして、車体は“紙一重”で桜の木を掠めるように、激突を避けたのだった。
しかし、その裏側は──急な下り坂。
車体がふわりと浮いたような感覚。その直後、運命の一撃が訪れる。
ドゴォォォォォォォォォォォォンッ!!!
天地がひっくり返るような衝撃が、全身を容赦なく打ち抜く…
その暴力的な衝撃の中で、最悪の事実がその一瞬で理解できた。
――そうだ。
この時の僕は、シートベルトをしていなかったんだ。
《次回予告》
静寂の夜、破壊の爪が車体を襲う。
衝撃の瞬間に身体は宙へと放り出され、 迫る危機をどう乗り越えるのか。
次回『第5話 暗闇の中で始まる痛み』




