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第3話 運命のカーブと制御喪失の車
カーブが目前に迫った瞬間、胸の奥で警鐘が鳴った。
――ヤバい、曲がりきれない!
とっさに右へハンドルを切った途端、車の挙動がおかしくなる。
雨で濡れた路面、すり減ったタイヤ、そして速度は80km以上。
車体は横滑りしながら右方向へと流れていく。
「止まれ……止まってくれ!」
ブレーキを踏む足に力が入るが、効いている感覚はほとんどなく、路面を掴むはずの手応えはどこにもなかった。
滑る視界の先。今度は、逆方向の左カーブが容赦なく迫る。
「ちくしょう……死にたくねぇよ!」
必死に左へ切り返すが逆に車は大きく傾き、さらに不安定になる。
焦りの中で再び右へハンドルを切ると、車体は横向きのままドリフト状態で滑り始めた。
その瞬間だった。
闇の中、濡れたアスファルトの向こうに――
黒々とした桜の木が、壁のように立ちはだかっていた。
《次回予告》
闇に揺れる桜の影。
横滑りする車は、まだ答えを出せない。
迫るのは偶然か、それとも運命か——。
次回『第4話 桜の木の奇跡 ― 衝突までの一瞬 ―』
決死の覚悟の中、僕は何を見るのか。




