表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12/14

第10話 夜明けの救助隊

「お~い、誰かそこにいるのか」


その声が聞こえた瞬間、反射的に叫んだ。


「助けてください!!」


「今どんな状態なんだ?」


「腰がヤバいです!」


そう答えると、発見してくれた人はすぐに救急車を呼んでくれた。


約5時間、激痛と死の恐怖に耐え続け、ついに救助の瞬間が訪れたのだった。


救急車が到着し、状況を把握していたのか警察や消防隊も出動していた。


現場は想像以上に厳しいものだった。

高低差5メートル以上の下り坂、大破した車体。

救護者である僕はほとんど動けず、さらに車のドアはどちらも使用不能。


助手席側のドアは車体が大きく歪んでいて完全に開かない。

運転席側のドアは、本来ならわずかに開く余裕があったはずだが……


車が止まった位置に、コンクリート資材がドアのすぐ横、わずか20〜30センチの位置に食い込むように立ちはだかり、結果として左右どちらのドアも全く開けない状態になっていた。


進入口は後方のみ。

しかし助手席側の後ろ部分は大きく潰れ、隊員が一人入れるかどうかの狭さしかない。

雨はいつの間にか止んでいたが、僕の状態は悪化する一方で、まさに一刻を争う状況だった。


バックガラスを割り、なんとか脱出経路を作るものの、重症者を安全に引き出すには、あまりに狭すぎた。


車のピラーを切断する案も出たが、

「患者の状態が持たない」と判断され、すぐに却下された。


隊員たちの切迫したやり取りが聞こえる…

別の隊員から何度も状況を説明してくれたが、 伝えられたのは「このままでは救出が難しい」という非情な現実だった。


そこで僕はある決断をする。


「状況は理解しました。なら、僕がなんとか後方まで這い上がりますので、あとはお願いします。」


自力で這い上がり、脱出を試みるしかなかったのだ。


腕で掴める場所を必死に探し、腰の激痛で意識が白く飛びそうになりながらも、腕だけで身体を引き寄せ、少しずつ全身を引き上げていく。


「うああああああぁぁぁぁぁーーー!」


叫ばずにはいられなかった。


涙が勝手に流れ、激痛で息も途切れながらも腕を伸ばす…


わずか数十センチが永遠のように遠かった。


それでも残された最後の力をすべて指先に込め、リアドアのフレームを掴んで強引に体を引き上げ、ようやく上半身が車内から外へと解放された。


すぐに隊員たちの腕が伸び、僕を引き上げながら身体を支えてくれた。


「よく頑張った!」

「もう大丈夫だ、助かったぞ」

「すごいぞ!ほんとに」


励ましの声に包まれながら、気絶寸前の状態で担架に乗せられる。

救急車へ運ばれる間、見上げた朝方の空が、滲んだ涙の向こうで白く輝いて見えた。

《次回予告》


病院に向かった先にあったのは

死神との最後の攻防だった。

はたして生き残る事はできるのか…


次回 『第11話 生と死の境界線』


生か死か、運命がここで決まる。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ