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その辺の大学生がバイクの免許を取る話  作者: 今和泉 響己


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3/3

その辺の大学生が初めてバイクに触った話

 新潟駅から在来線に乗り換えて集合場所に向かう。


 周りを見ると自分のように大きなカバンやキャリーケースを持っている人がちらほらといる。自分と同じように免許合宿に向かっているのだろうか。そう考えているうちに目的の駅に着く。


 普段住んでいる場所周辺では見かけないボタンでの開閉式のドアに新鮮味を覚えながら駅のホームに降りる。


 全く馴染みのない景色や空気、匂いに同じ日本のはずなのに外国に来たかのような緊張感と爽快感が湧く。いよいよ新潟の地に足を踏み入れたのかと実感すると感慨深くなり頬が緩む。


 ホームの階段を上がり改札を出る。集合場所は改札前と連絡が来ていたので、端の方で運転免許試験対策のアプリを開く。普段なら勉強など反吐が出るほどやりたくないが今回ばかりは違う。一刻も早くバイクに乗りたいという気持ちがやる気を漲らせている。我ながら現金な男だ。


 15分程待つと教習所の送迎車がやってくる。そこから約10分弱車に揺られ教習所の敷地内に入っていく。


 送迎車を降りると教習車が敷地内を走っている。天気は生憎の雨だがその光景を見るだけで自分の心を晴れていくのを感じた。


 オリエンテーションをやるという事なので、トイレを済ませ一つの教室で待機する。その教室には自分を含め、行きの送迎車に乗っていた5人がいる。しかしまあ、気味が悪いレベルに静かだ。


 オリエンテーションまでは10分ほど時間があるのだがあまりに静かすぎて物音の一つすら気になってしまう。絶妙に神経を使うのは好きじゃないので若干息が詰まる。当然教習所は仲良しこよしをする場所じゃないのは分かっているのだけれど。


 そんなことを考えていると、在来線で一緒だった一人の男性を見かける。声をかけようと思ったのだが生まれてこの方コミュ障の自分にそんなことが出来るのだろうか。


 いや、これ自分で動かないと何も始まらない。一週間以上孤独は精神的にきついのではないか。


 2、3分の葛藤を得て勇気を出して話しかけることにした。


「今日から合宿ですか?」


 なぜそんな当然なこと聞いたのかはよく分からないが、その当時の自分にはそれが限界だった。よくやったほうだ。


 軽いパニックに陥っているとその相手は驚いた顔で口を開いた。


「あ、はい。バイクの教習で」


「そうなんですね、僕もなんですよ」


 奇遇にも、その人は大型二輪の免許を取得するためにやってきたらしい。中型と大型という違いはあるものの、バイクに乗りたいという共通の目標を持つ人間となると話も弾んだ。


 その人は自分より二つ年上の二十歳で中国からの留学生らしく普段は東京に住んでいるらしい。話をしていると行きの新幹線も同じものに乗っていたらしい。


 小声で会話をしているとオリエンテーション開始の時間を迎えた。


 オリエンテーションでは教習を受ける上での注意事項や寮内でのルールから視力検査や色覚検査、写真撮影を行った。色覚検査は信号機の色を見分けるものだった。視力検査は両目1.5の俺にとっては朝飯前だぜ。


 そしてオリエンテーションが終わり、いよいよ教習が始まろうとしていた。最初の教習は学科だったのでバイクに乗りたい気持ちを抑え睡魔と戦うことにした。


 そして2時間後、学科の睡魔を乗り越えて、待ちに待ったその時がやってきた。


 初の技能教習。二輪のコースに行くとそこには動画や写真で何度も見たバイクがたくさん並んでおり、思わず笑みが溢れる。そのまま目の前のバイクに飛び乗りたい気分だが教官に叱られる未来しか見えないため何とか自分を制し待機室に向かった。


 待機室にはたくさんのヘルメットが並んでいる。その他にもバイク用ブーツやプロテクター雨具などが大量に置いてあり、いかにも教習所という感じだ。


 教習開始前にプロテクターを装着し、靴はブーツに履き替え、ゼッケンを着用しヘルメットを被る。いかにもバイカーのような格好にこれまた口角が上がる。


 数分待つと教官が待機室に入ってくる。準備体操をしていよいよ教習が始まる。


 念願のバイク!と言っても最初から乗るわけではなく、まずは倒れた車体を起こす練習。バイクに触れられる喜びが湧いてくる。


 意気揚々とバイクを起こそうと車体に手をかける。そして歓喜の第一声。


「おっっっっっっっも!!!!」

 

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