その辺の大学生がバイクに出会った話
これは、何も特徴の無い一人の男子大学生がバイクに出会うまでの壮大なお話。ではなく、ただの日常日記である。
時は大学一年生の6月。一般受験を乗り越え念願?の大学生となった私は時間を持て余していた。
決してやることが無いわけではない。むしろ溢れている。勉強やバイト、その他にも、、、いや、それぐらいしかやることが無い。暇ではないが退屈。死んだ魚のような目をしながら日々を過ごしていた。
大学生ってこんなもんなのか。と思いながらSNSを開くと高校時代の友人らが「大学生」をやっている写真が上がっている。羨ましい。俺にはこういう生活をするセンスが無かったらしい。
「なんか面白いことしたいな」
そんな一人の大学生の言葉は誰の耳にも届くことなく雲一つない青空に消えていく。
勉強とバイトがない時は基本的に家でダラダラと過ごしていた。高校時代こそは毎日のように野球に勤しんでいたが大学生になった今はもうグローブすら触れていない。別に嫌いなわけではない。なんか違うのだ。なんか。
「アニメでも見るか」
最近の楽しみといえば、アニメを見ることぐらいになっている。これに不満があるわけでは無いが去年まで白球を追いかけてグラウンドを駆け回っていたことを思い出すとどうも刺激が足りない。
ただまあ、このアニメがバイクと出会うきっかけとやらになったのも事実である。
そのアニメは女子高校生たちが様々な写真や動画を撮るためにさまざまな場所に行く様子が描かれた日常系アニメ。そこに出てくる女子高校生たちの保護者的存在の友達がバイクに乗っていた。
「あ、バイク面白そう」
それだけである。何か運命的な出会いがあったとかそう言うわけでは無い。一人のオタクの興味からこのちっぽけで壮大な物語が始まった。
とは言っても、知識ゼロの私は文字通り何も分からない。知ってるのは免許が必要なことぐらいだ。
「バイク 種類」で調べてみると、さまざまな形があるらしい。
ネイキッドやらアメリカンやらオフロードやら沢山あるが形以外で何が違うのかさっぱり分からない。トルクやら排気量やら国土交通省届出値やら一体何を言っているのだろう。呪文なのか?
動画サイト等で色々なバイクの説明動画、いわゆるインプレッション動画を見ていて分かったのは、バイクの選び方は自分が何をしたいかで変わるらしい。
「あたしゃ、何がしたいのかしら」
ここでまた過去に見た一つのアニメを思い出す。バイクに興味を持った理由のアニメと同じ作者の作品だ。その作品は一人の山梨の女子高校生が原付でキャンプをしていた。
「あ、キャンプしてえ」
これでまた、一つのアニメによって何となくの方向性が決まる。これまた単純な男である。
しかし、どれだけバイクに関する知識が増えていっても、乗る資格がないならどうしようもない。ここまで来たらやらなくてはいけない事は明確なのだ。
「じゃ、免許取るか」
そして2ヶ月後の8月。私は免許合宿で新潟に新幹線で向かっていた。




