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「おい、あそこに何者かが…」
「何だこの魔力は!?」
闇魔術師たちはノルンに気づくと、一斉にどよめき、お互いに念話を飛ばしはじめた。
(おい、あの長い黒髪…)
(しかし、まさか!!)
(いや、この魔力だ。間違いあるまい)
(今までまったく気づけないとは…)
(ええい、落ち着かんか!!)
一同の中で、代表者らしき禿頭に口のまわりに黒髭をたくわえた男が皆を一喝する。
(もはや、術の完成は間近だ!!誰であろうと邪魔をさせるわけにはいかん!!)
(うむ……確かに)
(偶数位置にいる者は術の維持を、奇数位置の者はすぐに「闇の雷」を奴に撃つのだ!!)
男の言葉と共に、半数の闇魔術師の手から、黒いエネルギーの塊が空中にいる大公に向けて放たれた!!
しかしノルンが、にこやか額をひとなですると、闇の雷は彼に届くことなくきれいに消え去った。
「馬鹿なっ!!」
禿魔術師の口から、驚愕の叫びが漏れる。
(ガバス殿、これは退散すべきでは!!)
(魔道大公が相手では、体がいくつあっても足りませぬぞ!!)
(待て!!いま少し、いま少し辛抱するのだ!!この術さえ完成すれば…)
一方ノルンは、その顔に冷たい笑みを浮かべていた。
「有無を言わず撃ってきたね。やれやれー」
そう言うと、腕を優雅に動かし始めた。
(いかんっ!!皆、結界をはるのだ!!)
ガバスの念話が、終わるか終わらないうちに…
「ぎゃぁぁ!!!!!」
「ひぃぃぃぃぃ!!!!」
ガバスを除く十二人の魔術師は、雑巾をしぼるがごとく、全身を捻られ、おびただしい血を吹き出しながら一瞬で絶命した。




