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悪魔

上がった士気は頂点に達し、日が昇り始める頃には、兵士の先頭はイーベル街道の半分ほどまでに来ていた。

イーベル街道は真ん中に行くほど高度が下がる。

故に、落石は真ん中に溜まりやすい。

断崖絶壁の下に位置しているため、落石も少なくはない。

では、誰がその落石を処理しているのか。


サスガル国の兵士たちはちょうど半分を超えたところだあった。

サスガル国の兵士たちの前から、大量の岩石が転がってくる。

それに巻き込まれれば、ひとたまりもない、それを狙ったのであろう。

しかしながら、サスガル国の兵士たちもそんなに、バカではない。

先頭には、『岩魔法(ロックマジック)』の使える魔法兵を多く、配置している。

大量の岩石は魔法兵によって多くが破壊される。

いくつかの、大きな岩石は破壊されずに兵士に当たる。

グシャと潰れる音がする。

仲間が、倒れても逃げることは出来ない。

仲間の屍を乗り越えなければならない。

進むしかないのだから。


サスガル国の兵士たちは順調に進んでいく。

先頭はイーベル街道の三分の二に差し掛かっていた。

不意に、イーベル街道の真ん中のあたりから、轟音が聞こえる。

先頭の者からだと、後ろから。

後方にいた者からだと、前から。

体を一突きされた兵士が大量に飛んでくる。

突風が吹いて、体が飛ばされそうになる。

急に、真ん中に現れたそれは、近くにいた者を爪で一突きしたあと吹き飛ばし、状況を理解する。

黒い体色に、赤い瞳、長く鋭い爪、人間のような体躯、獣のような表面。

『悪魔』である。

悪魔は普通の魔物と違い、召喚され等価交換で役目を果たす。

普通の魔物とは違い、人間程度の知能を持ち、その頑丈な体で劫殺を主な役目とする。

悪魔の召喚は、魔法陣と魔力、そして人の負の感情が必要となる。

いわば、人の業が生み出した人工の魔物、負のバケモノ。

召喚された悪魔は吹き飛ばした者の僅かに残っていた生気を吸い取り、殲滅すべき相手を見極める。

吹っ切れたように悪魔は目の前の兵士たちを殲滅していく。

サスガル国の兵士たちの列を遡るように進んでいく。

生き残った先頭の者たちは、後ろからの断末魔を聞こえないかのように、無我夢中でイーベル街道の先を目指す。

しかし、そちらにも希望はなかった。

反撃の隙も与えられず、なにかに首を切り裂かれる。

それは、ノスガル国の暗殺部隊であった。

まるで忍者のような黒装束を身にまとっていた。

手には短刀、それが五名。

兵士にとってイーベル街道に送られた時点で詰んでいたのだ。

一方その頃、後方で暴れていた悪魔は、自分が吸い取れる生気と得られる負の感情が減った、と感じていた。

すると、悪魔は殲滅の手を止め、瞬時に暗殺部隊の真後ろに移動し、五人の首を刎ねた。

悪魔はゲラゲラと笑っている。

刎ねられた暗部の目が恐れと驚きに見開かれている。

それを見ていっそうゲラゲラと笑い転げている。

一通り笑ったあと、何事もなかったかのように兵士の列に戻り、全員を殲滅させていく。


ひときわ目立つ馬車、その中には指揮官が乗っていた。

悪魔は指揮官だけを残し、他を殺した。

「いノちごイヲシろ」

悪魔が拙い言葉を発した。

指揮官は命乞いをするしかなかった。

「わ、私を助けてはくれないか。私には娘も息子も妻もいる。みな、国に残してきている。無論、私の兵士たちにも、家族はいた。無理も承知だ。私を助けてくれ!」

いつの間にか指揮官は土下座をしていた。

「・・・」

悪魔はニヤァと笑う。

「ダめ」

その場には絶望の底に達しそうな空気と凄惨な光景が赤い目に反射していた。

「たスケてクれ!」

悪魔はゲラゲラと腹を抱えて笑っていた。


第二次ガルド戦争、イーベル街道の蹂躙

約二日で決着、、、。

生存者、零人。

勝者、無し。

こっっっっっっっっっっっっっっっっっわ

悪魔こっっっっっっわ

今回はちょっと他とは違う感じになっちゃったかな?

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