7話
物ならなんでも鑑定出来る。
その言葉を聞いた日から、あらゆる物を鑑定する様にした。
もちろん、いつも使っている机や、本に始まってバスタブや、食器に
至るまで、全部鑑定をかけていたら、途中で倒れてしまった。
魔力不足だろう。
リーさんには多大な迷惑をかけてしまった。
きっと、俺が倒れた事で、本館の方から何か言われたのだろうか?
その日以来、よく様子を見にくる様になった。
「リーさん、大丈夫だよ?」
「そうですね。今は…大丈夫そうですね」
そう言って掃除の途中なのか手には道具を持ったまま覗きに来ていた。
これからは頭痛がしてきたら、そこで止める様にする事を誓おう。
それからは平穏な日々が続いた。
そんなある日。
剣術の先生から外出の許しが出たという知らせがあった。
「外出…出来る?」
「そうだ、この前言っていただろ?魔物討伐に連れて行く事になった
んだ。まぁ〜ワシがついてるから何もやる事はないんだがなっ!」
結局は先生に着いて行って眺めるだけの様だ。
だが、外に出れると言うのは大きな事でもあった。
まだ生まれてからこの屋敷の外を見た事がないのだ。
確かに大きな屋敷ではあるが、全く出られないと言うのも、なんだか
味気ないもので、いつかは外に出れる日を夢見ていた。
それが、数日後に行けるのだ。
楽しみでないはずはない。
夜寝る前も、ワクワクして眠れなかったせいか、魔法の練習をしなが
ら、魔力が尽きて気絶する様に眠った。
翌日に迫った外出にリーさんが大きな鳥を捕まえてきた。
綺麗な羽根のついた鳥で、大きさは今のケイルと同じくらいの大きさ
でもあった。
「こんな大きな鳥がいるんですね」
「はい、すばしっこくて危険な鳥です。お肉はタンパクで美味しいで
すよ?」
リーさんは味の方ばかりを詳しく説明してくれた。
できれば狩りの方を詳しく説明して欲しかったと思う。
いつしか、肉も潤沢に並ぶようになった。
そして何より、屋敷の隅っこの方に野菜畑が出来た。
もちろん簡単な柵に囲われただけの物だが、そこはケイルの自家栽培
の野菜達がひしめきあって居る。
もちろん、今まで食べた事のある野菜、いわゆる種が取れるものしか
ないのだが、これにはレパートリーを増やしたいとも思っていた。
「いつもリーさんのご飯は美味しいです」
「そう言ってもらえると作りがいがあります」
「野菜も、お肉も柔らか〜い」
実に美味しそうに食べるとリーさんも嬉しそうだった。
「リーさんは一緒に食べないの?」
いつも思っていた事だったが、メイドと言っても一人きりなので、いっ
そ一緒に食べた方が効率が良く片付けられるのでは?と思ってしまう。
「おそれ多い事です。主人とメイドが一緒の席に着くなどあってはいけ
ません」
「そうなの?僕は一人きりで食べるより、一緒に食べた方がきっと美味
しいと思うよ?だめ?」
うるうるとしながら見上げると、言葉に詰まったリーさんが珍しく折れ
たのだった。
「だ、誰もいない時だけですよ?」
「やった〜、これからは一緒に食べれるね!」
「ケイル様、他の方には決してこの様な事は言ってはなりませよ?」
「分かってるって!リーさんだけだよ?」
可愛く言うと、リーさんはそれ以上何も言ってこなかった。
子供って意外と上手く騙せるもんだと腹の中で思ってしまっていた。