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5話

暑い時期になってきた。

剣術の稽古を終える頃には汗だくになるほどだった。


「今日はここまで!」

「ありがとうございました」

「ケイル様は実に筋がいい。兄のハイド様も少しは見習ってほしいくらい

 ですな!」

「そんな事はないです。僕なんて全然弱いです」

「ご謙遜を。ケイル様ならスライムやゴブリンにでも勝てるくらいにはお

 強いですぞ」

「スライムですか?どこにいるのですか?」

「魔物なら、この屋敷の裏手にある洞窟に住んでいますよ。ただ、外出は

 許されておりませんぞ?はっはっは」


少し期待したが、すぐに撤回した。


外出自体ができないなら、知っても意味がないのだ。


それより、言われてみればなぜ外出が許されていないのだろう?

あれだけハイド兄さんが可愛がられているのだから、他の兄弟などどうで

もいいだろうに?


むしろいない方がいいのではないか?

なら、外出だって制限する必要もないのではないか?


「先生!スライムを討伐してみたいです。どうしたらいいですか?」

「んん?それならワシと一緒に行けばいい」

「先生とですか?」

「そうだ。ワシとなら、外出許可も降りるからな!」

「ならっ…」

「じゃが、今はまだ無理じゃぞ?すぐには行けん。まずは他の部署に通

 達してから兵を配置して、それからじゃな!」


兵を配置!?

そこまでするのか?


「それはどうしてですか?僕はいらない子…ですよね?」

「何を言っているんですか?あなたはこのリアデイル王国国王の息子で

 王位継承権3位と言われるのに、要らないはずはないでしょう」

「王位継承権?それはハイド兄さんでは?」

「そうですな。じゃが、ハイド様が暗殺でもされたらいかがなさいます

 か?その為の血筋なのです」


一瞬、自分が閉じ込められている理由を知った気がした。

逃がさない為ではなくて、安全を守る為だったのだ。

自由がないのも、唯一屋敷内しか出歩けないのも。

全部が、外は危険だからだったからなのだ。


母親には嫌われているらしいが、捨てる事もできないのがこの理由だろう。

それにしても、メイドがリーさん一人だけと言うのも、酷い扱いだと思う。


先生が帰ると自分に生活魔法をかける。

汗だくだった服も、身体も綺麗になると気持ちがいい。


「ケイル様、お湯の準備が整って…」

「あぁ、大丈夫。汗かかなかったから。これからは大丈夫だから…いつも

 ありがとう。リーさん。」

「はい…」


すぐに下がっていくリーさんを見送ると書庫室へと籠る。

あれから生活魔法を覚えて、結構この部屋も綺麗になった。


蜘蛛の巣だらけの部屋が、クリーンの魔法で綺麗に掃除した様になったのだ。

今は昔の様に埃も積もっていない。


木と土の魔法はまだ試していない。

どうしたものかと考えると、アンネの庭園を思い出した。


「そうだ!あれを再現すればいいんだ!」


早速中庭に降りると殺風景なそこを花で埋め尽くせるくらいになればいい。

まずは種を探さねばと厨房を探すと何か分からない種が捨てられていた。


よいしょっと…


背が小さいせいでゴミ箱から漁るのも結構大変だった。


「あ、汚れちゃった…『クリーン』これでよしっと!」


種を握りしめると中庭へと戻ってきた。

そこに穴を掘って植えると水魔法で地面を濡らす。

そしてゆっくり大きく根を張っていくのを想像して魔力を練る。


するとぴょこぴょこと新芽が出ると、葉っぱが出てくる。

もっとと魔力を練るとそのままゆっくりと蔦が伸びてきてゆっくりとだが、

確実に横へと伸びていく。

そして丸い実をつけたのだった。


「かぼちゃ?」


実をつけた枝は枯れてしまったが、まだ他の枝が伸びて代わりの実をつけ

たのだった。


何個か収穫すると根から枯れてしまって、何もなくなってしまった。


「これは便利だけど…味はどうなんだろう?」


一つの種から5つのかぼちゃ。

しかも収穫は植えてからたったの数分だ。

抱える様に持つと調理場へと戻ってきた。


するとそこへリーさんが戻ってきていた。


「ケイル様、何をなさっているのですか?」

「あ!リーさん、ちょっといいかな?これ、調理したいんだけど、誰に言え

 ばいいの?」

「私が料理もしているので…ですが、どこからこの様なものを?毒でも入っ

 てるんじゃ…」

「まっさか〜大丈夫だよ!」


まさかさっき植えてから収穫したとは言えなかった。


4つのかぼちゃを差し出すとリーさんに任せた。

あと一個はどうしたかって?それは、種が取りたいから隠しておいたのだ。


実験結果は夕食に現れたのだった。

甘いかぼちゃのスープとかぼちゃの焼いたものと固いパンが添えられている。


最近肉がない気がする。


「いただいきます、うん、美味しい〜」

「はい、ケイル様が持ってきたものですが、甘みが強く、味も良いかと」

「それはよかった〜。そう言えば肉は最近見ないけど?」

「それは、明日取ってきます」

「うん…」


取ってきます?

あれ?それって狩猟してくるって事?

本館から持ってくるって意味だよね?


リーさん、どう言う事?

流石に聞けないまま食事を終えると寝室へと戻ったのだった。



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