3話
リーさんに着替えさせられると案内されたのは、中庭を通ってまだ
その先に行った事のない現状な門の向こう側だった。
久しぶりにこの門が開くのを見たきがする。
「こちらです、ケイル様」
「うん…リーさん、どこへ行くの?」
「今からお父上とお母上に会うのですよ」
「お母さんとお父さん?」
「お母様と、お父様ですよ、ケイル様」
呼び方を訂正すると素早く見だりを整えた。
「初めてお会いになりますが、ケイル様は気圧されずいつも通りで
いてください。それと兄君も、おみえになるそうなのでくれぐれ
も粗相のないように」
リーさんはそれだけ言うと、すぐ後ろを歩く様にする。
5歳の男の子にそれは酷な話だろ?
粗相しないようにって…、この世界どうなってんだ?
粗相したら処刑とか?
はははっ…まさかね…
豪華な通路を抜けると、そこはもうさっきまでいた建物とは別世界に
見えた。
たった門を一個抜けただけで、ここまで豪華絢爛と言う言葉が似合う
建物はないだろう。
どうしても視線が周りを眺める様に見てしまう。
リーさんが立ち止まると、声をかけてくる。
「こちらです、ケイル様。開けるので、一番手前の席にお座り下さい」
「分かった」
少し行き過ぎたのを恥じると戻ってきて、リーさんの前に立つ。
目の前の扉が開くとそこには、もうすでに席に着いて食事をしている
人達がいた。
(待ってるわけじゃないんだな…)
頭を下げると中に入っていく。
リーさんは扉を閉めると入り口のところで立って待機していた。
手前の席、手前に席…、これかな?
長い机の向こうに先に煌びやかな服を着た男性と女性が座っていて、その
側にはまだ幼い子供が座っている。
歳でいえば俺より上だろうが、7、8歳というところだろうか?
「ケイルだったな?座りなさい」
「はい」
手前の一番遠い席に座ると何やら笑い声が聞こえてきた。
「不細工だな…」
一瞬何を言われたのかと思ったが、明らかに自分を見て言っている事を知っ
た。
先に座っていた子供は誰なのだろう?
「ハイド、弟になにを言うの?これでもあなたの弟なのよ?」
「はい、お母様。しかし、この髪の色はなんとも…」
俺は自分の髪を見たがいつも通り透き通る様な白い色だった。
鏡で見ても、可愛いとさえ思うにだが、ここの人には白い髪も紅い瞳も異質
なものなのだと、初めて知った。
「あぁ、ケイル。私の息子よ。今、いくつになったのだ?」
「はい、お父様。5歳になります」
「おぉ、敬語もできるのか?よく躾が出来ている様だ。これからは剣術も稽古
させるとしよう」
「はい、お父様…」
礼儀正しく。
ただそれだけで人の印象とは変わってくる。
「ただ猫被ってるだけだろ?」
「ハイド、やめなさい。長男たるものもっと広い心を持つべきだろう?」
「はい…お父様。ですが…このクズに屋敷への立ち入りをお認めになるのはどう
かと思います。」
「嫌か?ケイルはまだ5歳だぞ?」
「ですが、もう5歳です。7歳になれば精霊との契約もできます。そうなれば…」
「そうだな。なら、教育係をケイルの屋敷へと送ろう」
「はい、それがいいです」
どうしてもこの兄は俺をこの屋敷へは入れたくないらしい。
と言うことはさっきの門で仕切られたこっち側がケイルの屋敷で、こちら側が、
本邸という事らしい。
「それにしても、髪の色はなんとかならないのかしら?わたくし、こんな髪の
子供を産んだつもりはないわ」
「イリーナ、そう言うな。ケイルも私と君の子供なんだ。」
「ですが…」
母親が会いに来なかったわけは、自分の子供だと認めたくなかったからという
事らしい。
実に分かりやすい。
母にも、兄弟にも嫌われているらしい。
目の前に差し出された食事を食べるとデザートが出てくる。
いつも食べているのが質素だったせいか、どれを食べても美味しかった。
最近ではずっと書庫に閉じこもっていたせいか、見るもの全てが新鮮だった。