1話
薄暗い中で目を覚ますと、だだっ広い遺跡が広がっていた。
遼馬は起き上がると辺りを見回してみる。
誰もおらず、ただ広い空間が続いていた。
「どこだよ…ここは…」
何もない、ただ広い空間でポツンと一人取り残された気分だった。
さっきまで自分は刺されていたはずなのだが、身体には傷一つなかった。
「良く来たのう。わしはここの主じゃ。頭が高いぞ〜」
子供の様な声が聞こえて来ると上からゆっくりとふわふわと降りてきていた。
「誰だ？俺は死んだはずだ…よな？」
「そうじゃ…主はもう死んでおる。じゃがな、わしの力にかかればもう一度やり
直す事ができるぞ？嬉しいじゃろう？魔法の世界で生きてみぬか？」
「いや…もういいかな。」
「よくないわい！わしが直々に転生させてやると言っておるんじゃ。そこは嬉し
がるところじゃろ！」
「いや、なんか変だろ？あんたは何もんだよ？神とでもいうのか？」
遼馬が聞くと、その幼女は無い胸を張ってみる。
「そうじゃ、わしは異世界の神じゃ！お主をわしの世界に招待してやるのじゃ！
ありがたく思うがいい！」
「前の世界の俺は…死んだんだよな？」
「そうじゃな〜じゃから生き返らせてやると言っておるじゃろ？何が不服なんじゃ」
「圭子…妹は、どうなったのかも分からないままだったなって…」
幼女は遼馬をジィ〜〜〜っと眺めるとポンっと手を叩いた。
「なるほどの！圭子とやらの行方を探しとるのか？なら、尚更わしの世界に来るが
よい！向こうで会えるかもしれのぞ？」
「…！？それはどう言う事だよ！圭子は…死んだって言うのか？お前が転生させた
のか？」
「少し違うのう。その者は転移させたのじゃ！転生では無い。なぜなら、まだ死ん
でおらぬからのう」
遼馬は予想外の言葉を聞いた気がした。
妹は生きている！
死んでいなかった。そして、異世界に転移させられていたと言うのだ。
「どうして！」
「それは、わしの口からは言えんのう。どうじゃ、来るか？異世界へ」
「行ってやるよ！圭子に逢えるなら行かないわけには行かないだろ！」
「よーし、ではお主には特別ボーナスをやろう。どの種族でも分かる言語理解を授
ける。では、行って来るがいい！わしの異世界へ」
「…？おい、待て！それだけかよ！」
空間がぐにゃりと曲がって地面が消える。
一気に浮遊感に襲われると一気に急降下していった。
雲の上の様な空間を一気に下降していく。
「嘘だろぉぉぉっぉーーーーーー！！あの、クソ幼女〜〜〜〜！」
叫んでみても、もう遅い。
次第に意識が途切れると、身体が思う様には動かなくなる。
おぎゃぁぁーーおぎゃぁぁーーおぎゃぁぁぁーーー！
赤子の鳴き声がけたたましく聞こえてきて自分の耳を塞ぎたくなった。
