24話
ナンダ コノ ニンゲンハ
オカシイヤツ ハヤク コロセ
ナカニハ イレルナ!
テニイレタ タカラ ワタスナ オウノ ミツギモノ
マモレ ゼンインデ カカレ
モウスグ オウガ クル ソレマデタエル
聞きづらいが、言語理解が働いているのか、聞き取れる。
「なぁ〜王が来るってどう言うことだ?」
「王?あぁ〜ゴブリンの王が来るってことかぁ〜、って事は奥に人質い
たりして?」
「あぁ、いるっぽいな〜」
イリアがその言葉を聞くとすぐに、ケイルを引かせた。
「こっち、戻ってきて!早く!」
「はいはい。今度はなんだよ?」
ケイルを引き寄せ、抱きしめると目の前に大きな炎が上がった。
一気に奥まで燃え上がると勝手に炎だけが進んでいく。
通り過ぎた箇所にはゴブリンの無惨な焼け跡が残っていた。
「おい。これって人質助ける気ないだろ?」
「当たり前じゃん?どーせ、ゴブリンの子を孕ってるのよ?なら手っ取り
早く死んだ方がいいでしょ?それに王が生まれる前に全員始末しないと」
「王ってなんなんだ?」
「それはね…」
ここの様にゴブリンが一定数集まって、しかも供物…いわゆる人質が何人
もいると、そこには王が誕生するらしい。
ゴブリンの王は初めはまだ幼いが、数日で人を喰らって成長し、身体も5倍
まで大きくなって力もそれ相応に強くなるらしい。
そうなると、ゴブリンの統制も取れて、倒しにくくなるらしい。
一番厄介なのはゴブリンに魔法が使える個体が出て来ると言う。
「マジか〜それ、最悪じゃん」
「だから、さっさと燃やすのが一番なのよ」
「それは分かるが…これは…」
奥まで行くが、誰も生きてはいなかった。
肉の焼けた臭いで鼻がおかしくなりそうだった。
「人が焼けてもこんな臭いするのか?」
「あぁ、慣れてないときついよね?もう出よっか?」
「まだ、ゴブリンの討伐依頼達成って持って帰るのがいるんじゃないのか?」
「あぁ、それなら…」
イリアはそう言うと、小さな麻の袋を見せた。
「ん?袋?」
「そう、この中にさっきケイルちゃんが倒した分の死体がいっぱい詰まってる
よん?」
「げっ…マジか…」
言われてみれば、山の様に積み上がった死体がいつのまにか消えていたとは思
っていたが、こんな小さな袋の中に入っているとは、さすが異世界仕様。
イリアから受け取ったが中は空っぽのままだった。
「あれ?」
「それはね、使用者以外は取り出せない様になってるのよ」
そう言ってイリアが持つと中に手を入れるとゴブリン足が顔を出した。
「ほらっ、ね?」
「いや、見せなくていい…」
にっこり微笑むと、当たり前の様に手を繋いで出ていく。
まだ、この現実に慣れそうになかった。
外に出たが、吐き気がおさまらずその場に吐き出してしまった。
「オエッ…気持ち悪い…」
「大丈夫?さっきまで戦っていた時は平気そうだったのにな〜」
「あれは、必死だったし…それにこれは最後の焼けた時の臭いのせいだよ!」
文句を言いつつも、少し落ち着くと水を含んでゆっくりと嚥下した。
日が沈みかかっていて、そろそろギルドへ報告に言って食事にしたい頃合いだ
った。
「この後はギルドか?」
「そうだね〜。でも、ケイルちゃんはちょっと待っててね〜」
「どうして?」
「それは…秘密〜」
そう言って、ギルド前で待機したままイリアだけが入っていく。
何か中で大きな声で怒られている気がするが、これは聞かなかった事にしてお
こう。
静かになると、やっとイリアが出てきた。
「どうだった?」
「うん、まぁまぁかな〜」
嬉しそうに笑うと、手を差し出された。
もう慣れてきたので、そのまま差し出すと当たり前の様にぎゅっと握って歩き
出す。
「これって恥ずかしくないか?」
「どうして?私は嬉しいけどな〜、お兄ちゃ…ケイルちゃんと一緒にこうして
手を繋いで歩くのって〜ドキドキしない?」
「それは…まぁ…」
妹の言っているドキドキとは違う気がするけど、言っている事は分からんでも
ない。
今のケイルの外見は可愛らしい子供で、髪の色は変わってもくりっとした目や
華奢な、まるで女の子の様な外見は見るものをほんわかさせる。
自分で鏡を見ていても思うのだから、他人からみれば尚更だろう。
今日は別の店に入ったが、やっぱこの街の店の料理は美味しかった。




