7年目~中学2年の時に見た事(最終章)
次の年のお盆を迎えると、もう1つの業火に焼かれた炭の塊も消え去っていました。
今後、ご先祖様の誰かが生きている人間を引き込まない限り、平穏にお盆が過ごせると思いました。
ただ、他の地区では、肉の焦げたような嫌な臭いを感じた事が何度かありました。
昨年のお盆で、お姿が消えてしまい、人型の影になってしまった末代のご先祖様は、影の姿のまま路地におられました。
「あっ、あの影は去年見た末代の方のご先祖様だ!」
昨年の事が、あまりにも衝撃的だったので、一目で分かりました。
「もしかして、子孫を残さずに末代のご先祖様になられた方は、影の姿のまま、これから先のお盆を迎えていかなくてはならないのかな?」
「今後、そういう末代の方が増えると、路地に集まるご先祖様が、人型の影だらけになるのかな?」
…と、いろいろと想像しました。
人型の影になってしまったご先祖様は、この年のお盆の最終日の夜に闇に連れ去られていきました。
その後、人型の影になってしまったご先祖様は、翌年のお盆にはお姿を見せることはありませんでした。
完全に消えてしまったのだろうか?
ただ、影と化してしまったから、なかなか認識出来ないのか?
何故、その様になったのかは分かりませんが、一族の終わりがもたらした事であるのは、確かな事ではないでしょうか?
疑問はいろいろありましたが、その数日後に引っ越してしまったので、以上が、昔、ぼくがお盆の時に見えていたものになります。
それから、30年以上経ってから、ぼくが当時住んでいた場所の近くに行く機会があったので、帰りに寄ってみました。
そこは、現在は巨大なビルが建っていて、当時あった路地ごと無くなってしまっていたのです。
時代の流れと共に、過去にあった建物や道路、そしてそこに住んでいた人々がいた事がだんだんと忘れ去られていきますね。
ぼくは、ここに書かれている路地の家には、中学3年の8月下旬迄過ごしていました。
その後に、引っ越した所では、お盆でご先祖様の集団を見ることはありませんでした。
もし、ご先祖様の集団が見えたら恐くないのか?
何て、思うかも知れませんが、見えたとしても子供の時期だけなのかもしれません。
子供の頃は、それよりは好奇心が強くていろいろと知りたいと思うのです。
それでも、衝撃的な事態を見てしまうと、やはり恐縮してしまいますが…。
人のお家に上がりこんで、仏壇の扉を開けるなんて事も、子供の頃ならではではないでしょうか?
話は変わりますが、お盆の時期にナスとキュウリに4本づつ割り箸を刺して、馬の形の様にする事がありますね。
「ご先祖様、これに乗ってお帰り下さい」
と、いうのを見たことがあるかと思いますが、ぼくが子供の頃に見た時は、
キュウリは乗りやすいのか、それに何人かで跨がって乗ってお帰りになるのは何度も見ましたが、ナスに乗ってお帰りになったのを見たのは1回だけでした。
多分、ナスは乗りにくいのかもしれませんね。
その当時、こんな事があった…あんな事があった…というのを残しておこうと思い、
小説を手掛けました。
最後まで読んで下さった皆様には、厚く御礼申し上げます。
ご拝読、どうもありがとうございました。
きつねあるき
皆様は、お盆の時はいかがお過ごしですか。
近年の夏は、猛暑が多くなりお盆の時期にお墓参りに行くのも大変ですね。
都市部では、仏壇の無い世帯も相当数あり、うちにはご先祖様がいらっしゃらないのではないか?
と、お考えの方も多いのではないかと思います。
いやいや、そんな事はないですよ。
お盆の時期、ご先祖様は、あなたの近くにいますから。
最近ですと、2019年の事なんですが、都市部のご先祖様は、お盆の時期にあなたの家のドアの前にいる事が多いです。
門構えのある家は、門の前にいます。
2019年のお盆は、翌年東京オリンピックを控え、インバウンド需要が旺盛で、多くのご先祖様を、自宅のドア前でお見かけしました。
それが、2020年のお盆になると、去年と比べてご先祖様が、自宅のドアの前に全然いない!
しかし、よ~く見ると何人かは居るのですが、とにかく薄くて見づらい…。それに、全く元気が無いのです。
2019年10月は消費増税があり、2020年はコロナ禍で多くの国民が、困窮したのは事実ですね。
それにしても、何でこんなにご先祖様の様子が変わってしまったのか?
ここからは推測ですが、あなたとご先祖様は、一心同体の要素があるのではないかと思うのですよ。
お盆でご先祖様の姿が薄くなったり、消えているのは、あなたに何かあったからに違いありません。
今年も、コロナ禍が続き、お疲れだとは思いますが、お盆の期間中1回だけでも、自宅のドアの前で優しく微笑みかけて差し上げてはいかがでしょうか。
きっと、ご先祖様は喜んでお帰りになると思います。
今も昔も、お盆にしかないご先祖様との接点が、脈々と続いている事をお伝え出来たと思いますので、この辺で終わりたいと思います。