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3年目~小学4年の時に見た事

 次の年になって、路地の一番右奥にある、自治会長だったお(じい)さんが亡くなりました。


 近親の方と近所の方により、(おごそ)かにお葬式(そうしき)が行われたのですが、それによりこれまで2年間見た路地の様子が一変しました。


 最初に見た時から、3回目のお盆を迎えた時、路地に集まって来るご先祖様がだいたいどこのお家の方か分かるようになりました。


 基本的に、路地に並んでいる戸建ての家の並び順に、ご先祖様が集まっているのです。


 その中でも、若くして亡くなった方は、路地の入り口側にいました。


 路地の奥側にいる方は、(えら)い方のようでした。


 何故なら、その方々は、自治会長と副会長のご先祖様だったからです。


 自治会長のご先祖様が、右側に並んでいるご先祖様方を監視していて、副会長のご先祖様が左側に並んでいるご先祖様方を監視していました。


 今までは、2人で監視していたからか、平穏(へいおん)なお盆が続いていました。


「と、いうことは、自治会長の様な役職をこなしてしている方は、ご先祖様になっても地位が高いのか…」


 この度、右奥にある家の自治会長が亡くなった事により、その年のお盆は、路地に集まって来るご先祖様があと1人増えるのかと思っていました。


 しかし、今まで一番偉いと思われた路地の右奥にいたお爺さんが、


「わしはもう引退するから、後はよろしく」


 と、言って、副会長のご先祖様に、太い木の杖を手渡して、お盆の最終日を待たずにスッと天に昇って行ったのです。


 すると、そのすぐ後に右奥の家から、今年に亡くなったばかりの自治会長だったお爺さんが玄関から出てきたのです。


 …どうやら路地に並ぶ事の出来る方は、祖父母にあたる方迄のようでした。


 祖父母にあたる方が路地に出るには、その一代前のご先祖様が昇天しないとならないようでした。


 先程、昇天されたご先祖様は、非常に温厚な感じの方でした。


 路地の奥の3~4人位で、いつもニコニコしながらお話していました。


 しかし、路地に出てきたばかりの自治会長だったお爺さんは、何かいつもオドオドしているのです。


 近くにいるご先祖様方とお話もしないし、右側に並んでいるご先祖様方を監視する様子もありません。


「何か、今度の右奥にいる偉い方は、頼りないけど大丈夫なのかな?」


「次に、路地の仕切り役を任された、副会長さんのご先祖様はどんな方なんだろう?」


 ふと、疑問(ぎもん)に思いました。


 この年のお盆は、路地のご先祖様の世代交代を見た貴重(きちょう)な年でした。

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