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38.到着 宝島

 夜が明けて、また太陽が昇った。

 俺たちは、また島に上陸した。


 今度は、俺とリンプーの二人だけで山の上に陣取った。

 残りの3人、セリカちゃんとスージーとリブジーさんは、船で待機している。

 山の上から、オペラグラスで海賊たちのキャンプを偵察する。


「案の定、奴ら船が無くなって、もめてるニャー。

 ゼロのやつ、苦しい言い訳してるニャ」


「苦しい言い訳って。

 リンプー。お前、読唇術でも使えるのか?」


「読唇術じゃニャイけど、魔力の揺らぎを見ることで何を話しているかは分かるニャ。

 どうやら、偵察隊を出すみたいだニャン」


 そうか。魔力の振動で心が読めるんだから、話の内容なんか楽勝か。



 見ていると、4隻の小型船の内2隻に4人ずつ乗り込んで、左右に分かれて漕ぎだした。

 島の回りを、ぐるりと調べるようだ。


「船を奪われているかも知れないと考えたかな?

 実際には、流されてしまってるんだけどな」


「こちらは5人しかいないから、船を奪っても維持できないニャ。

 それよりも、こちらの船の位置を知られたら面倒だニャ」


「確かにその通りだな。

 しかも、戦えるのはリンプーとスージーだけだし」


 俺の答えに、リンプーが呆れるように言う。

「トモヤも戦って欲しいニャ」


「とにかく、やつらは数で押せる。

 2隻で挟む様に偵察されたら、逃げおおせるのも難しそうだし、考えているな」


 俺の分析は、リンプーにダメ出しされる。

「全然考えてないニャン。

 戦力を分割しちゃダメだニャ。

 アタイ達も船に戻って、迎え撃つニャ」



 海賊たちは、島の北側に位置している。

 俺たちの船は、島の南の山にさえぎられて奴らからは見えない。

 島の外周は10キロって所か。




 俺たちは船に戻ると、船の位置を若干西寄りに変えた。

 数時間後、西周りの小型船がマストの上から見える。


「マスター。沈めますか?」

 スージーが聞いてくる。


「ああ、頼む」


 ドーン


 スージーの腕から発射された魔法弾は、見事に小型船に命中する。

 水柱を上げて、船は海上から姿を消した。



 俺たちの船は位置取りを東寄りに少し変えて、東周りの小型船も沈めた。


「これで、敵は残り12名だニャ。

 後数時間は、偵察隊の帰りを待つはずニャ。

 暗くなるまでに、敵情をしっかり集めるニャ」

 リンプーに言われて、船の錨を降ろして全員で上陸した。



「おお、一ヵ月ぶりの陸地だ。

 何だか、まだ体が揺れとるわい」

 リブジーさんは、上陸できてうれしそうだ。


「本当です。やっぱり、陸地の上は嬉しいですね」

 セリカちゃんも大喜びだ。


 俺は正直言って、海賊との命のやり取りのことを考えると、そんな余裕が無かった。

 でも言われてみると、陸地は久しぶりだったんだ。

 命のやり取りをする海賊たちが、ほんの数キロメートル先にいると考えると、居ても立っても居られない。

 目を離したすきに何人かが、こちらに忍び寄っているとか考えるだけで寒気がする。



 俺が不安そうなのを見てか、リンプーが木に登ってオペラグラスで敵の陣地をのぞき見している。

「やつらは、大人しく待ってるニャー。

 ちゃんと12人いるし。

 スージーの砲撃の音が少しは聞こえたと思うンニャけど、動けないんだニャ」


 リンプーの言葉を聞いて思う。

 俺たちも怖いけど、向こうも怖いんだ。

 いや、やつらはこちらが見えない分、より怖いかも知れない。


 戦力差は激しいんだけどな。

 ただ、やつらからしたら俺たちの戦力は分からないだろう。

 自分達だって、隠した別の船から戦力を投入したわけだし。




 暗くなる前に少し山のふもと側に移動して、火を起こして食事の準備をした。

 木を燃やした煙が上がるので、注意してみれば俺たちの位置が分かってしまう。


 夕食を食べたら、山を登って反対側から降りた。

 俺とリンプーだけ島に残って、他の皆は船で寝てもらう。


「陸地で寝たい気持ちもあるがなあ」

 リブジーさんが残念そうだ。


「すみませんが、海賊も襲ってくるかも知れませんし、火を使わないので野生動物も襲ってくるかも知れません。

 島に残った場合は、寝ることは出来ません」

 俺は、説明する。


「いや、分かっているよ。

 明日、出来るだけ朝早くスージーさんと一緒に交代に来るから、ここは頼むよ」

 リブジーさん達は、ボートに乗って引き上げていった。


 リンプーとスージーは、どちらかがいないと海賊に対抗できない。

 その二人と残り3人が、交代で休憩を取るしかない。


 最初は、俺とリンプーが見張りをすることにしたんだ。

 大きな岩の上に腰を降ろして、交代でオペラグラスを覗いて海賊を監視した。

 敵に動きはない。


 空は、満天の星だ。


「キレイな星空だ。

 これで、海賊がいなけりゃ最高のシチュエーションなんだけどな」


「まあ、仕方ないニャー。

 海賊の残した財宝を手に入れようとしているんニャから、命がけになるのは仕方ないニャ」

 リンプーが、オペラグラスを覗きながら言う。


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