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断章2D.海賊対子供船長

 断章2Cの続きです。

 ゼロ・ブラックドッグ視点です。

 俺様は、信頼できる5人の魔法使いを連れてサウスパースの街に入った。

 5人の魔法使いと言っても、魔法が使えるのは3人だけだがな。




 この町で大漁祭りの後、船員の募集に応募すれば良いんだな。

 とりあえず、大漁祭りの間は出店を出すとかして過ごした。


 祭りが終わると、フリントの言った通り船員の募集があった。


 『伝承の妖精が死んだ島』

 これが、ミッド・ジュニアのやつがお宝を隠した島だな。

 応募人員は6名だったので、俺様と5人の魔法使いでピッタリだ。


 当然、俺様たちは採用された。

 他の応募者が来ないように、ちゃんと妨害もしておいたしな。






 しかし、船長は13才だ。

 コックも子供だし、船医は逆に俺様よりも年上ときたもんだ。

 そしてなんといっても驚いたのが、戦闘用の機械人形オートマタスージーがいたことだ。


 アルセのやつも、スージーを見て口をあんぐり開けて驚いてやがった。


 航海を始めて、しばらくしてから俺様はスージーに話しかけてみた。

「お前。キャプテン・ミッド・ジュニアの所にいた機械人形オートマタだよな?」


「ああ。そうだ」


「俺様も昔、奴のもとで働いていたことがあるんだ。

 俺様のことを覚えているか?」


「いや、貴様の顔は初めて見る顔だ。

 片足で海賊は無理だろう」


 どうやらこいつは、人が年を取って変わっていくという事が分かっていないようだ。


「それで、昔みたいに冷酷無比に人を殺したり、他の船を沈めたりするのかい?」

 冗談ぽく聞いてみる。


「今度のマスターは、私にそういう命令は出さない。

 私は、マスターの命令に従うだけだ」


「あの子供船長が、俺様を殺せと命令すれば殺すわけだな?」


「子供船長とは、トモヤのことか。

 彼は、私のマスターでは無い」


「じゃあ、誰がマスターなんだ?

 あの、ハゲの医者か?」


「それは言えない。

 マスターから口止めされている」


 あの子供船長がマスターじゃねえってことは、医者かコックしかいねえってことだ。

 こいつの戦闘能力が高いことは、よーく知っている。

 あの二人の動向に気を付けないといけねえな。


 俺様は、念のためにこいつの立ち位置を聞いておく。

「それで、子供船長、トモヤだったっけ。

 奴とは、どんな関係なんだ?」


「トモヤと私は、仲間だ」


「仲間? どういう関係だ?」


「私も良くは分からない。

 だが、トモヤは私を何度も助けてくれた。

 今まで私に何かしてくれる者は、必ず対価を要求してきた。

 だが、トモヤは何も求めてこない。

 私を支配下に置くことが出来るマスターの権限にも、あまり興味を示さない。

 それが、仲間という事らしい」


 スージーが、こんなに言葉をしゃべるのを初めて聞いた。

 一つだけ分かった。

 トモヤってやつは、ただのガキじゃねえ。


 小さいが本格的な航海のできる船を持って、キャプテン・ミッド・ジュニアの財宝に一番近い位置にいる。

 そして、あの冷酷無比な機械人形オートマタを手懐けてやがる。

 だが、所詮はガキだし、この機械人形オートマタも人形だ。


「スージーさんよお。

 俺様も一緒に航海する以上、俺様たちも仲間だ。

 トモヤ達と俺様たちは、今後やり合う可能性もある訳だが、どちらか一方に付いたりはしねえよな」


「ああ。マスターの命令が無い限りはな」


 やはり、マスターか。

 どいつがマスターなのか、知っておかねえと危ないな。




 数日後の夜、フリントが俺の夢の中に現れた。

 俺様は、まず最大の疑問点をぶつけた。

「おい、フリントさんよ。

 スージーは危険だ。奴のマスターは誰なんだ?」


「あのリンプーというネコだ」


「なにい? ネコだと?

 つまり、あのネコを何とかすりゃあ、スージーは戦闘に参加してこないってことだな?」


「そうだ。さすがに何十年も前に隠した財宝の場所を、ワシもハッキリとは覚えていない。

 あのトモヤの持っている地図を奪うんだ」






 俺様たちは、フリントの指示通りギリギリまで油断させて、まんまと宝の地図を手に入れた。

 ついでに、子供のコックと大量の酒も手に入れた。


 俺様たちの船に戻ると、みんなもう財宝を手に入れた気分になって、手に入れた酒を飲みに飲みまくった。

 トモヤとネコのリンプーは海に沈めてやったし、残った爺さんとスージーでは船を動かすことは出来ないだろう。

 俺様も、久しぶりに羽を伸ばした気分で酒をカッ食らった。


 だが、それがいけなかった。

 トモヤの野郎、あの状態から生き残りやがったようだ。

 そして、コックを取り返しに来やがった。


 気付いたら、俺様の船は主マストを折られて、長い航海が無理な状態にされちまった。

 とにかく、島に着いたら財宝を手に入れるだけじゃなく、かなりの量の水と食料を手に入れないといけねえ。

 主マスト無しだと、速度は半分も出ねえし、帰りは2倍以上の時間がかかるだろう。




 そして、その考えすらも甘かったと思う事態が起こった。

 『伝承の妖精が死んだ島』に上陸して、夜が明けると、俺様たちの船が海上から姿を消していたんだ。

 やつら、一体何をしやがったんだ?

 こんな時に限って、フリントのやつも夢に出てきやがらねえ。

 全く、何だってんだ。


次回から、またトモヤ視点に戻ります。

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