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ツクモ式  作者: MRS
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プロローグ

 ───体育館らしき場所に子供達と大人が二人。




 学校の体育館内に設置された何事かの祭壇。祭壇を見た限りは厳

 かで超常的な装い。だが、祭壇の側には近代的な機械なども多数

 置かれ。機械から伸びたコードは幾重にも絡まり合いながら、祭

 壇へと伸び連ねている。

 神秘と科学が混在した不可思議極まる祭壇。

 傍らには宮司の格好をした中年男性と、質素な服装の女性が何事

 かを話し合い。そして彼らの他に興味津々な少年少女達が、その

 祭壇前へと集まっていた。やがて宮司らしき男性と話をしていた

 女性が少年少女達へと向き直り、手を数回叩いては。


「はーい皆さん注目。現在は殆ど簡略化されていますが、これが簡

 略化されていない正式な方法での『ツクモ式』。その儀式です

 よー。」

「「「おおおー。」」」


 女性の言葉に集まった少年少女は祭壇と宮司を交互に見遣って

 は、驚きの声を上げる。女性はそんな子供達を見ては

 “うんうん。”と、頭を頷かせ。


「皆さんは中学一年生に成りました。それは、小学校を卒業したと

 言う意味の他に。中学生に成った皆さんが自分のツクモを持つ。

 と言う事でもありますね。」

 女性は一度話を区切り子供達を見渡す。見渡された少年少女達は

 皆真剣な面持ちで女性を見詰め、次の言葉を待っている。

 一呼吸程の間を置いて女性が再び言葉を紡ぐ。


「物を故意にツクモ化し、それを自らに従う式と転ずる儀式。この

 儀式の事を通称『ツクモ式』と呼ばれている事は、皆さんも知っ

 ていますね? そしてこの国では十二歳。

 つまり中学生に成った者は皆、ツクモの個人所持を許されま

 す。」


 集まった子供達が一斉に息をゴクリと飲み込む。


「はい。皆さんの期待通り。これから皆さんには予め持って来ても

 らった想い入れのある物を、この儀式を利用して順番にツクモ化

 します。

 そしてそれが、皆さんが初めて手にする自分のツクモ。と言う事

 です。」


 女性が話し終えると少年少女達の興奮はより一層高まり。ざわつ

 き始める。

 ある少女は手にしたクマのヌイグルミを撫でたり、またある大柄

 な少年は自慢げに怪獣フィギュア抱え直している。子供達は皆

『今日と言う日を待っていました。』そう言わんばかりの様子。

 彼らの様子に女性は頬を少しだけ綻ばせ。後ろへ振り向き宮司に

 何事かを短く言っては、宮司が一つ頷く。


「では名前を呼ばれた子から前に来てくださいね───」


 女性はそう言うと最初の子の名前を呼ぶ。名前の呼ばれた子は緊

 張と興奮が入り混じった様子で前に出てきては、宮司へ自分がそ

 れまで掛けていた眼鏡を手渡す。

 子供から眼鏡を受け取った宮司はそれを祭壇へと運び置き。祝詞

 のような何かを呟き出す。すると祭壇に置かれた眼鏡が眩いばか

 りの光りに包まれ───


「……。」


 ───光が消え去った後には。元の眼鏡とは少しだけ色と形の違

 う眼鏡が姿を現した。あまりも変化の乏しいその様に、他の少年

 少女達から小さな笑い声が漏れる。漏れ聞こえる笑い声の中。

 子供は祭壇に置かれた眼鏡を手に取りそっと元の列へと戻って行

 く。

 眼鏡の子供が元の列へ戻るのを見届け、女性は次の子の名前を呼

 ぶ。

 次に呼ばれたのは他の子達よりも大柄な少年。彼は宮司へ自慢げ

 に抱えていた怪獣フィギュアを手渡す。フィギュアを受け取った宮

 司は祭壇へと置き、先ほどと同じ様に祝詞を捧げる。

 すると祭壇の上のフィギュアが眩い光に包まれ、暫くすると光が

 消え行き。


『GYYAAA!!!』


 大きな咆哮と共に光の中からは、青色の怪獣が姿を現し。

 光に包まれる前は脇に抱えられ程度の大きさだったそれは、大柄

 な少年の腰ほどの大きさへと変化していた。


「「スゲー!」」


 一つ前とは違い。子供達からは溢れんばかりの歓声が湧き上がっ

 ている。大柄な少年は祭壇から下りて来た怪獣を従え。

 最初よりも数段自慢げに胸を張り、元の列へと歩き戻って行く。

 少年が列へと戻ればまた次の生徒が呼ばれ、置かれた物が姿形を

 少し変えて動き出す。生み出された『ソレ』を。子供達は嬉しそ

 うに連れ歩く。

 そんな光景をこれ以上無いほど熱心に見詰める少年が一人。

 少年は胸に犬の玩具を抱え、今か今かと自分の名前が呼ばれるの

 待ち続けていた。そして。


「はいはーい!」


 少年は遂に女性にその名を呼ばれ、返事をしては祭壇前へ駆け出

 す。

 宮司へ大事そうに犬の玩具を手渡し。少年は“ジッ”と祭壇を、

 祭壇上の物を見詰める。置かれた犬の玩具が光に包まれて行く様

 を。


「───!」




 やがて光が消えた其処には少年の“夢”が現れた───

 

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