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王国の騎士団×歪んだ感情×決意の先に……6

 予想だにしない謝罪とガルボアの死を前に状況が理解できず困惑する二人。


 そんな状況下で、ドルムは部下達に指示を出していく。


 逃亡を考えていたガルボアの部下達であったが、指揮官を失った事による統率の崩壊は凄まじく、二人の副団長を敵にしてしまった事実を前に絶句する、次第に追い詰められ、抵抗する者達が無惨に葬られる現実を前に無抵抗のままに捕縛されていくガルボアの部下達、その眼には、既に絶望しか映ってはいなかった。


 第一騎士団副団長 クラウス=ドルムは、リアナ王国から特別任務を与えられていた。


 王国内で耳を疑うような噂が囁かれていた。


 内容は“文字狩り”と呼ばれる一団が魔法文字を奪い、奪われた者を“名無し”として拐い、奴隷として売り飛ばしているというものであった。


 特別輸送護衛騎士団の内部に協力者がいると言う情報がリアナ王国の調査部隊の元に入る。


 その調査を命じられていた存在がリアナ王国内部調査部隊に本来の籍を置く立場にあったクラウス=ドルムであった。


 他の複数の組織にも動揺に疑いが掛けられており、クラウス=ドルムの調査対象である特別輸送護衛騎士団 団長──ガルボア=デラムはその中心に繋がりを持つ人物として考えられていた。


 今回のガルボア=デラムの死は本来の望んだ結果ではなかった。しかし、キャトルフに必要以上に情報が漏洩(ろうえい)する事を恐れての結果であった。


 夜中に起きた惨劇は朝日と共に全ての終わりを告げる。


 キャトルフと風薙が囚われていた輸送馬車に乗せられた元団長直属部隊の団員達がリアナ王国の王都【エルドルメ】へと護送される。


 ドルムはキャトルフに尋ねる。


「奇跡的にも、破損は(まぬが)れたが魔力文字を損傷した今、既に身分を失ったも同然だ……これからどうするか考えがあるなら教えてくれないか?」


 戦場に身を置き、敵を蹴散らす荒々しい戦い方がガルボア=デラムの耳に入り、強い要望と理想を語られ、キャトルフは特別輸送護衛騎士団へと転属した。


 たが、全ては無となった……。


「わからない、だが、完全に魔法文字が失われてないなら、何とかしてならないか、旅に出ようと考えている……」


 その言葉にドルムは、うなずくと馬に跨がる。輸送馬車の後を追うようにゆっくりと馬の歩を進める。


「アルベルム=キャトルフ……貴方は、ガルボア=デラムにより、特別輸送護衛騎士団を追放された……その為、逃亡罪にならない……と、言う形で報告しておきますので」


 クラウス=ドルムは、偽りの報告を行う事でキャトルフの魔法文字の真実と軍旗違反となる逃亡罪も成立せず、全てはドルムとキャトルフのみが真実を知る事となる。


 風薙はキャトルフと行動を共にする事となる。


 遠い日の光景は夢となり、黒猫の団の団長となったキャトルフを日々苦しめていた。

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