廃墟×影の主×水神の巫女……4
階段を降りる四人、地下の監禁部屋を目指し進んでいく。
「うぅ……マスター、松明を持ってて貰っていい……マスクを着けたい……」
アルガノが松明を手渡し、早々にマスクを装備する。更に予備のマスクをカルミナの口に装着する。
キャトルフも同様にマスクを装備すると、予備を少女に手渡す。
「何よそれ?」
初めて見る口と鼻を全体包み込むマスクに少女は三人を見渡す。
「カヤンがマスクを着けたって事は、この先には、余り気のりしない状況が広がってる可能性があるんだよ。いいから、確り装備しろ、いいな?」
キャトルフの言葉に少女は早急にマスクを装備する。
階段を降りる度に次第に広がる悪臭、マスクをしていても、微かに感じ取れる最悪の臭いが四人の衣服に絡み、染み渡っていく。
誰も口にはしないが、悪臭の正体は理解していた。
松明に照らされた薄暗い階段をゆっくりと下へと進み、辿り着いた先には殺風景な空間が広がっていた。
鉄格子があったのだろう、錆び付いて朽ち果てた入り口の先を目指し進もうとした瞬間、キャトルフとカルミナの歩みが止まる。
幼き日の自身の幻影がキャトルフとカルミナの前を通りすぎていく。
同時に振り向く二人の視界から幻影が消える。
「今のは……」
その瞬間、少女は駆け出していた。扉を開けば、扉の先には姉がいるのだと……マスクが掻き消し、僅かに漂う悪臭の訳も理解せぬまま、閉ざされた扉を開いた。
「ッ──い、イヤァァァァ!」
少女の叫び声がキャトルフとカルミナの意識を現実へと結び直す。
慌てて、少女の元に向かったキャトルフの目に入って来た光景は行方不明になった少女の姉を含む四名が鎖に繋がれ、床に倒れた状態で放置されていた。
しかし、少女が悲鳴をあげた理由はその先に存在した。
扉から見える正面の壁、其処には、無惨に拷問された聖職者達が放置されていた。
「お前は目を瞑っていろ! カヤン、頼む」
キャトルフは少女の姉と生き残った行方不明者達を解放する。
気を失い、衰弱していた聖職者達、そんな中、微かに意識を保っていた少女の姉がキャトルフに向かって、頷いてみせる。
キャトルフ達は行方不明者の発見と、主犯の二人の内の一人を生け捕りにする事に成功したのだ。
獣人のアルガノが小さな体で意識の無い聖職者達を抱え、キャトルフは主犯の男を抱えて走り出す。
廃墟から地上に向かう最中、カルミナが、突如、震えるように蹲る。
過去にキャトルフと逃げた道程を思い出し、過去と現在の記憶が混ざり合い足を止め、身動きが出来なくなっていた。




