表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/30

城嶋晴香は張り切っている

ここ最近、もりおの様子がおかしい。


具体的には去年の12月ころからおかしい。


さらに正確には学校が冬休みに入るちょっと前からおかしい。



学校ではたまに奇行に走ってたし、はるかたちと喋ってる最中なのにたまにスマホに夢中になったりしてたし。


冬休みに入ってからも…てか、冬休みになってからはおかしさ倍増だった。


はるかともりお、じゅんときょーこのイツメンでクリスマスパーティーしたときも、初詣に行ったときも。


もりおはずーっと心ここにあらず、って感じでぼーっとしてるし。


かと思えばたまにスマホ見て二やついてるし。


なんなのいったい?意味わかんないし。



「ねぇ、じゅんはどー思う?」


「あ?なんだよ藪から棒に」



はるかは目の前で雑誌を読みふけっているハゲ…もとい、じゅんに相談をしてみることにした。


ここはじゅんの家のじゅんの部屋で、はるかが横たわっているのはじゅんの部屋のベットの上。


じゅんははるかの幼馴染だから、はるかは昔からじゅんの部屋に入り浸っていることが多い。


家も隣同士で来やすいから高校に入った今でもしょっちゅうじゅんの部屋にはお邪魔している。


てかもうはるかの第二の部屋みたいなもんだし、お邪魔って言い方もなんだか変だね。



「おい、なんか失礼なこと考えてるな、お前」


「えー別に何も考えてないしぃ。てかてか!じゅんはどー思うって聞いてんの!」


「いやだからなんの話だよ」


「はるかがする話なんてもりおの話に決まってんじゃん!」



一瞬、じゅんのハゲ頭がぴくっと痙攣した気がしたけど、気のせいかな?


とにかく話を続けよ。



「なんかさー、去年からもりおちょっと変じゃない?」


「変って…あいつはわりといつも変だろ」


「そうなんだけどさぁ…なんか、いつもとは違う変っていうかー」


「まぁ、ハルの言ってることも分からなくもないがな。PINEの感じも変わったしな」



『PINE』っていうのはスマホアプリの一つで、今ではスマホを持ってる殆どの人がインストールしてるんじゃない?ってくらい有名なトークアプリだ。


個人での連絡のやり取りはもちろんのこと、何人かでグループを作ってトークをすることも可能である。


そんなPINEでのもりおの文章の感じは、確かに最近ちょっと変わった。


前は必ず語尾に『w』をつけていて正直鬱陶しかったけど、今はまったくつけなくなった。


はるかたちも今まで遠回しに伝えてたけど全然直らなかったのに、どんな心境の変化があったのかな。


…てか、そんなしょーもない変化はどーでもいいっての!



「それもそうだけど!そうじゃなくてぇ!」


「いや、分かるぞ。なーんか隠し事してる感じするよな」


「分かってんなら最初から言えし!てかやっぱり!?はるかもそんな感じしてたのぉ!」



じゅんがそう言ってるなら、やっぱりはるかの勘は正しかったみたい。


じゅんって昔から察しがいいところあるからなぁ。


…その察しのよさを、少しでもきょーこに向けてあげればいいのに。


まぁ、とりあえず今はもりおの話。



「じゅんはさ、もりおは何隠してるんだと思う?」


「さぁな。つーか、んなことくらい直接聞いてみりゃいいじゃねぇか」


「もぉ!それができたら最初からやってるってーの!す、好きな相手の隠し事聞こうとするとか、なんか重い女みたいに思われそうでヤじゃん?」


「…モーリーはお前が好きなこと知らないんだから別にいいんじゃねぇの?」


「そーだけどぉ…はるかの気持ちの問題でもあるの!」


「そーかい」



むぅ。なんだかじゅんが素っ気ない。


もういいもん!じゅんに相談したはるかがバカだったもん!


じゅんってば、はるかが恋愛相談できる数少ない相手の癖に、いっつも対応がテキトーなんだもん。


こういうときに頼りになるのはやっぱり、



「あ、おい。俺それまだ見てる途中なんだけど」


「うっさいハゲ!元々これはるかが買ったもんだしぃ」



じゅんが読んでいた雑誌を取り上げた。


これは、この間もりおたちとカラオケに行ったりした帰りに本屋で買った雑誌だ。


表紙には、はるかが尊敬してやまないカリスマギャル『ラブ娘』さんが映っている。


はぁ、何度見てもラブ娘さんはカッコいい。


自分で考えたっていう芸名がラブ娘ってのは、ぶっちゃけセンスなさすぎだと思うけど、それ以外は全部がはるかの理想みたいなものだ。


見た目も、結構ラブ娘ちゃんの感じパクっちゃってるし。


…それに、この雑誌の表紙を見た時のもりおも、無意識っぽかったけど、めっちゃラブ娘さんのこと凝視してたし。


やっぱりもりおはこーゆーギャルっぽい子の方が好きなんだよね。うへへぇ。



「おい、気持ち悪い笑い方がそのゆるーいお口から漏れちゃってるぞ」



…なんかゴタゴタ言いながら別の雑誌を読み始めたじゅんは無視して、はるかの持ってる雑誌のあるページを開く。


そこには『カリスマギャル、ラブ娘のマル秘コイバナコーナー♡』のタイトルと共に、記者の人がラブ娘さんにした質問と、その回答が掲載されていた。



『Q.ラブ娘ちゃんは今、付き合っている人はいるの?

A.いないよ~。彼ピ募集中♡


Q.ラブ娘ちゃんはどんな男の子が好みなの?

A.う~ん、わたしの話をちゃんと聞いてくれる人、とか?てか何その質問、超ハズいんだけど(笑)


Q.じゃあどんな顔がタイプ?

A.顔ww顔なんて中ぐらいがちょうどいいって(笑)大事なのはやっぱ中身っしょ!』



この後も色々と恋愛系の問答が載ってるんだけど、こんなに色々応えられるなんて、やっぱりラブ娘さんは経験豊富でめちゃくちゃモテるんだろうなぁ。


そりゃそうだよね。あんなにカッコいいギャル、他にいないもん!


はるか的に特に好きなのは、あの目。


キリっとしててちょーカッコいいんだよね!


そんな質問の中に一つ、こんなものがあった。



『Q.もし彼氏が隠し事をしてたら、ラブ娘ちゃんならどうする?

A.う~ん、わたしならすぐに聞いちゃうかも(笑)別に問い詰めたりはしないけど、もし困ってるとかだったら相談乗ったりとか話聞くだけでもしてあげたいしネ』



…なるほど、すぐに聞いちゃう、かぁ。


はるかも今、もりおにPINEで聞いてみようかな。


んーでもなぁ。イツメンのグループトークだと普通に会話できるんだけど、もりおと個チャとか、その、ちょっと恥ずかしくてなかなかできないんだよねぇ。


で、でもでもラブ娘さんも言ってるんだし、はるかも頑張んなきゃ!


スマホを開いてもりおとのトーク画面を開く。


…うぅ、どうしよう。なんて書けばいいのかな?


『おっはーノシ』から始めようか…いや今もう夜だし。てかおっはーって挨拶がそもそも古すぎだし。


『もりお今何してるのぉ?』これなら無難じゃない?…でも急にこんなこと聞くのも、なんかもりおのこと意識してるっぽさ出てない?


『明日から三学期だけど、楽しみだねぇ!』これならどう…え、待って。これをもりおに送るってことはこれ、もりおに会えるのが楽しみみたく見えない!?


あぁぁぁぁぁ!もう何送ったらいいのさぁぁぁ!?


そんな風に悩んでいたらじゅんはため息をつきながらはるかに話しかけてきた。



「なぁ、ハルよ。今度は何悩んでるんだよ」


「…もりおにPINEしようとしたんだけど、なんて送ればいいのかわかんなくてぇ…」


「はぁ?そんなのなんでもいいじゃねぇか。『今なにしてるのか気になるのー♡』とか、『明日からまた毎日会えるねー♡』とか」


「は、キモッ!?つーかそそそ、そんなの送れるわけないじゃん、バカ!ハゲ!マッチョ!」


「いたっ、ちょ、俺の頭部は防御力皆無なんだから、いてっ、そんなに叩くな!」



じゅんのバカ!やっぱりはるかの相談に真面目に乗る気ないんじゃん!


とりあえずじゅんの頭皮に直接攻撃(ダイレクトアタック)を食らわせていたら、急に真面目な顔で口を開いた。



「でもよ、正直ハルにはそういうの、向いてないと思うぜ」


「は?どーゆー意味さ」


「だからよ、PINEで上手く聞き出そうとか、そういう細々した駆け引きがだよ。お前は直接会ってアタックしてる方が性に合ってると思うぜ?今んところモーリーと一番仲良いポジションにいるのはハルなんだから、もっとガンガンぶつかってけよ」


「じゅん…」


「自信を持てよ。お前自身は十分、可愛いんだからよ」


「…そうだね、確かにはるからしくなかったかも!うん、もっと直接アプローチしてくことにするよ!ありがと、ハゲ!」


「一言余計だけど、どういたしまして」



…なぁんだ、たまにはじゅんもイイこと言うじゃん!ちょっと見直しちゃった。


なんか『やべ、余計なこと言っちまった』みたいな顔してるけど、なんでだろ?まぁいいや。


明日から新学期。


しかも春にはクラス替えもあるんだし、もしかしたらもりおと一緒のクラスでいられるのは今年だけかもしれないし。


だったら、はるかももっとグイグイ押していかなきゃね!


押してダメなら押し倒せ!…い、いや、押し倒すとか、そこまで大胆なのはまだちょっと心の準備ができてないとゆーか…。


と、とにかく!明日からもっと頑張ってもりおにアピールしていこぉ!おーーー!


…あれ?これってどうアプローチするとかそーゆー話だったっけ?


なんか肝心なことを忘れてる気がするけど、なんだっけ?…ま、いっか!



―――――



――翌朝。


はるかは通学路の途中にある電柱の陰でスマホを弄るフリをしながら、もりおが来るのを待っていた。


特に何か用事がなければ、もりおは朝のHRが始まる十分前くらいに学校に着くように家を出るはず。


そしてここはもりおの通学路でもある。


つまり、もう少ししたらもりおもここを通るはず。


――ってそんなことを考えていたら来た、もりおだ!


今日も相変わらず目立つ金髪だからすぐに分かった。


よし、声をかけに…あ、ちょっとその前に。


カバンから手鏡を取り出して、さっと前髪を確認する。


うん、これで大丈夫。あとはもりおの背後からゆっくりと近づいていって…



「も・り・おーーー!おっはよー!!」


「いったぁ!こら晴香!新学期早々人の背中を叩くんじゃない!」



こうやってもりおに怒られながら、今日も一緒に登校する。


はるかははるかなりのやり方で、絶対にもりおのことを落としてやるんだから!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ