巡り・冬
冬とか言っちゃって、夏について書いてるお☆
冬が過ぎ去り、春が芽吹く。日が長くなる。
冬の凍えから抜け出しながら、人々は段々と穏やかな春を経て忙しない夏を迎える。
夏は不思議な季節だ。
昼には蝉の大合唱と照りつける太陽で世界が揺らぐ。遠くに陽炎。
まとわりつく湿っぽい空気は道行く人々に汗を流させる。
だけど、オレンジの世界を通過して静寂がやってくる。
夏の夜道は、蝉の大合唱は休演して風の音が流れる。湿っぽい空気は変わらないままだけどね。
だから、不思議だ。
その夜にも静寂を破って、太鼓の音が響き、軽快なリズムを鳴らす。蝉の合唱団の続きに祭り囃子が演奏される。出店のおっちゃんも、浴衣姿の若人も、焼きそば食ってるちびっ子もみんな笑顔だ。
でも、そこから少し離れると、そこは静寂の世界だ。
遠くで花火が聴こえたら、そこからは君の世界だ。
だから、不思議だ。喧騒と静寂を兼ね備えた、そんな季節。短いようで長いような、一夏。
来年はどうかな?再来年は?
また同じ、夏は来るかな?
あの時みたいに
そして、忙しさを疎みつつも、恋しく思いながら彩られた秋を迎える。
秋の彩は、夏の喧騒への惜しみかもね。
寒い冬がやってくる。
凍える両手を握ってくれるかな
同じ季節は巡ってくるかな?
空に白く写って消えた吐息を眺めながら、まだ見ぬ夏に思いを馳せる…
オチといってはなんですが、この作品の題名は冬です。
次回の季節は未定です