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キャットティアーズ  作者: 雪折小枝
バイトの子、揃えました!
6/6

5


キャットティアーズを開店して、珍しく晴が仕事をしていると一人の客が入店する。

「いらっしゃいませ」

凍が、接客を行おうと近づこうとしたその時。

ガッシャーン

コーヒーカップが割れ、晴の方を向くとそこには誰も居なくなっていた。

「あの、月島晴がここにいるって聞いたんだけど……」

ジーンズジャンパーを羽織り、黒の野球帽を被り。靴は、ブーツを履いている。

「えっと……店長のお知り合いですか?」

「……。とりあえず、バイトの面接したいんだけど」

野球帽を深く被り、表情を読ませない。

「と、とりあえず席に」

席に誘導するとドカッと席に座る。


その来客から隠れるように晴は、物陰から見ている。

「コーヒー。一つ」

「分かりました、あっでも店長が……」

唾を飲み込み、物陰から見ていると。

後ろから、蹴りを浴びせられ。カウンターに出る。

「あっ、店長!もう、どこ行ってたんですか?」

「店長……?」

帽子に隠れた視線を感じ、晴は目を逸らす。

「晴先輩……?」

「お、おう……久しぶり」

返事は返すが、目線は逸らしたまま。

来客は、カウンター席に移動する。

「今は、店長なんてやってるんだ」

「あぁ……」

コーヒーを入れ終えて、来客である彼女の前に手を出すとその手を捕まれる。

「あのお客様……。手を離していただけないですか?」

「先輩……晴先輩の手だ……」

手を取り、頬擦りをする。

晴の手に鳥肌が立つ。

「離せ、離してくれっ!」

「あぁ~…あの温かい晴先輩の手……」

彼女は、それを無視して。晴の手をがっちりと掴み離さない。

そんな二人の光景を見て、凍は慌てる。

店の奥で、バキバキと木がへし折れていく音が聞こえ。凍は、全てを察して。客を外に。店の看板をcloseに変える。

「お客様、店長とはどういう仲で?」

帽子を取り、可愛らしい眼差しで晴を見ると。視線を火砕に向ける。その目からは、とてつもない覇気を出していた。

「あんたは?」

「私は、店長の同僚よ。その生意気な目、気に入らないんだけど」

「アタシは、月島晴の……妻です」

晴の言葉より、先に火砕の拳が出ていた。

拳は、受け止められ。

女の戦いが始まる。

「アタシに喧嘩売ってくる女なんて初めて」

「私も。まさか女を殴るとはな」

二人は組み合う。

「アタシは、金羽かなはあいむ」

「私は、火砕ひでり」

二人は組み合い、犬歯をむき出しにして。組み合う二人は、女子というものではなかった。

二人を見て、怯える凍に晴は手で視界を覆う。

「君は……あんな風にならないでくれ」

「は、はい」

凍を奥に誘い、中でプルプルと震えていた風華に耳栓をする。

「頼むから、君達二人はあんな風に強くならないでくれ。これは、店長との約束だ」

「は、はい!!」

二人は、店長に固くそう誓った。

店内では、二人の……いや、二匹の獣が争いを続けていた。


キャットティアーズ、明日は休業します

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