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続々とバイトの子が入っていきます。
「い、いらっしゃいませ~!」
凍は、笑顔で接客を行い。
どこか恥じらっているように、応対する姿に店内でコーヒーを飲んでいる男性客達は、どこか満足そうにしている。
店内は、前回と違い。若い女性客の姿が増えていた。まさに、晴の思惑通りにことが進んでいる。
「やっぱり、若い子達はいいよ~。元気を貰える」
「店長、あまりお客様を見ないでください。店長のせいで、店内の空気が汚れます」
「そして、火砕の相変わらずの毒舌。でも、そんなのを感じさせない若い子達の甘い雰囲気…素晴らしいっ!」
ジロリと睨んでいる火砕の視線を感じても、晴の心は名前の如く、晴々としていた。
「あの、コーヒー二つお願いします」
「はいはーい」
棚にあるコーヒー豆を入れている密閉容器から、焙煎されたコーヒー豆を取り出す。
手動式のミルへ、豆を入れ。ゆっくりと掻き回す。
コーヒーの独特な香りが、店内に香り。今、コーヒーを作っていることを客に感じさせる。
「ほい、コーヒー二つ」
「あっ、はい!」
ヒラヒラとレースのスカートが、舞う。接客をしていた凍は、メイドの姿をしており。スカートは、かなり短くされている。
「ほい、じゃあよろしく」
トレイにコーヒーを置き、凍を見送るとタバコを吸いに裏口に向かう。
「店長、休憩ですか?」
「あぁ、一仕事を終えたタバコはうめぇんだよ」
「本当に一仕事しかしてませんけどね」
ははっ。と苦笑いを浮かべ、裏口から外に出てタバコを吸っていると。うろうろとしている高校生が見えた。
栗色の長い髪をツインテールにした、その子は店をせわしなく見つめている。
「えっと、店に何か用?」
声をかけられ、びくりと奮わせたその子は電信柱に隠れ、晴をジーと見つめている。
「あの、いきなり声をかけたのは悪かったけど。そんなに店を見てたからつい」
「み、み、店の方ですか?」
「えっ、あぁ。まぁ、店長やってるんだけど」
「て、店長!?す、すみません!わた、私今日バイトの面接に!」
「えっと…木葉風華ちゃんだったかな?でも、面接の時間はまだ1時間くらいあるんだけど……」
困った顔を晴がしていると、風華は目を潤ませ。今にも泣きだしそうにしている。
「す、すみません!わ、私。私その、遅れたら大変だと思って……」
「えっと、とりあえず。店でね。待っててくれるかな」
「は、はい!」
店に何とか導く。
「いらっしゃいま、あれ店長?」
「あぁ、はい。お客様一名ね、凍ちゃん。この子よろしく」
「よろひく…よろしくお願いします!」
「えっと、奥の席にどうぞ」
顔を伏せ、ほんのりと顔を赤くして。席に向かっていく。
晴は、また店外に出てタバコを吸い始める。
「はぁ~、やっぱり一仕事を終えたタバコはうまいな~」
晴のひとときを邪魔するかのように、携帯がなる。
「はい、俺です」
「あっ、お兄ちゃん~?」
「何だよ、今仕事中だ」
「実は、私。仕事であの人と外国に行かなきゃいけなくて。だから、お土産何がいい?」
「お土産?あぁ~、別に何だっていい。食い物なら」
「はいはい~。じゃあ、食べ物にするね。バイバイ~」
ブチッと電話を切り、またひとときに戻っていた。
閉店時間となり、店を閉め。面接を始まる。
「それで、風華ちゃんは」
「は、はい!な、な、何でしょう!」
「あまり人と触れ合わない厨房がいいのかな?それともホール?」
「えっと、お菓子作りの方で…」
「はいはい、じゃあ。高校生みたいだけど、そういう経験は?」
「な、ないです!初のバイトです」
ふむと晴は、考える。
「なるほどね、まぁ。あまり固くならないでね、じゃあ明日から入れる?」
「は、はい!大丈夫です!」
じゃあと晴は、店奥に連れていき、火砕に紹介する。
「どうしたんですか?店長」
「あぁ、紹介をね。俺の嫁です」
ドン
パンを引き延ばす時に使う麺棒で晴の顔面を突く。
「あ、あわあわ」
「冗談はやめてください、バイトの子ですか?」
「あぁ、そうだよ」
ふらふらと立ち上がると、風華は晴の背中に隠れる。
「なんです、この猫みたいな可愛らしい生き物は?」
「とりあえず、自己紹介して」
ひょこと顔を出して、挨拶する。
「は。はじ、はじめまして!木葉風華です!」
「というわけだから、お菓子作り教えてあげっくぼっ!」
「風華ちゃん、可愛いい~!可愛すぎだよ!」
「あぅあぅ!?」
火砕は、晴をはねのけ風華に抱き着く。
ほお擦りをされ、驚いて風華は、動けない。
「店長、終わり…て、店長大丈夫ですか!?」
「お、俺は大丈夫だ。奴を…奴を止めてくれ」
バタリと力無く晴は倒れる。
「て、店長!起きて、起きてください!」
ビシバシと何度も凍は、平手打ちをし。徐々に晴の顔が腫れていく。
それを無視して、火砕は風華を愛でる。
キャットティアーズは、今日も騒がしい。
コーヒーの入れかたに関して、知識不足ですので。おかしいところあるかもしれませんが、温かい目で見ていただけたら嬉しいです