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ゲーム同好会(仮)  作者: MMM
マジシャンズ・アカデミア
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マジシャンズ・アカデミア 6

ピクミン「ひっこぬかーれてー」


<ギャアアアアア


ピクミン2「戦ってー」


<イヤダ!シニタクナイ!ウワアアアアアアア!!!


ピクミン3「たべーられてー」


<ノロッテヤル!!ノロッテヤルゾオリマァァァァァァ!!!!


ピクミン「今日もー」


オリマー「次お前な」ガシッ


ピクミン「!?」




ヒロヤとアキと練武館で自分にあった部屋ごとに別れる時、僕は体術系統、ナックルを使って戦う通称『拳の間』へと生徒手帳をかざしていた。

龍人族を選んだ僕では魔法より近接格闘のパラメーターをしていたため自然にこうなった。

実を言えば別にもう一つあるのだがそれは……


『ゲートヲクグッテクダサイ』


少し長くその場に留まりすぎたのか女性の声を模した機械音声が僕の思考を遮り先に進めとせっついた。というかヒロヤとアキは転移したのに僕は歩きかよ。なんだよふざけんな。

渋々嫌々僕は言われるがまま門の先へと歩を進める。


少し大きく無骨な門を潜ろうとすると急に体の制御が利かなくなった。まるで頭から指先、果ては足の爪先まで鎖でキツくグルグル巻きにされているかのように体中がピクリともしなかった。


「………ッ!………フンッ!」


どれだけ力を込めようが体は前には進まずむしろ後ろに引っ張られているかのような錯覚にも陥るほどそれは不可思議な事態だった。


「(……バグか)」


そう思い始め、ログアウトしようとしたが僕は今『手足が動かない』のである。


この事実に僕は目の前が真っ暗になった。

このまま僕は誰かがログアウトするまで……いやもしかしたらこの部屋から出てこないことをヒロヤとアキが心配して様子を見に来てくれるかも……

だが、しかし。ここで嫌な考えが頭の隅の方を、隅っこだが存在感を醸し出しながらよぎった。


──ヒロヤもアキも同じ状態では?


『人は自らが自らの手で脱し得ない事態に陥った時、自らが不幸になり得るかもしれない想像だけが膨らんでいく』


何時だったか何かの本でこんな感じの事を書いてあるものをみた記憶がある。読んでいる時は新しい事を知った感覚だけだったが、今の僕の状態から察するに僕はあの本の事を地で行っている。

ネガティブな考えをネガティブに考えている。

とんだ一見に如かずもあったものだ。


けれども『まだ』大丈夫だ。

自分を客観的に見ることが出来ている今ならまだ大丈夫だ。

これがパニックを起こしているが誰もいないって状況になったと思うと……ぞっとしない話だ。

ただただ高校生がむせび泣き、叫び泣き、喚き散らす画面とか一体どこの客層なら受け入れてくれるというのだ。

僕は勿論否定派だ。

誰が好き好んで男の泣いてる姿が欲しいというのだ。

そんなの母さんにでも食わせてしまえ。だいたいあの人は……


ここで後ろへ引く力が遂に前へ進もうと踏ん張っていた僕の力を上回りガクンと大きな衝撃が僕を後ろへ引っ張った。

謎の斥力だかわけの分からない力に後ろへ弾き飛ばされたものの僕は真っ先に手足が動くことを確認した。


足、手、頭。


ここに男子高校生が寝そべりながらビクビクと中を動かす謎の光景が誕生した。

端から見れば気持ち悪い行動(自分で想像しても気持ち悪い)だっだが全てが自由に動くことを確認し終えた僕は目をつむり


「………っはあ……」


大きく安堵した。


先程までのネガティブな考えなぞ空の彼方。むしろ境界線上にまで飛んでいってしまっているかの如くネガティブな考えは出てこなかった。


だがしかし……どうしたものか……


安堵したのも束の間。

ゆっくり考える余裕が出来たら今度はどうしたらあの『拳の間』に入れるかが分からなくなった。

同じようにやってしまえばまた先程同様に弾き飛ばされてしまう。かといって他に入れるような部屋などない。

最初に生徒手帳をかざした時に他の部屋はしまってしまったのだ。

ただヒロヤとアキは普通に部屋に入って行ったので僕の部屋だけがおかしいのだろうか……


寝そべりながらもウンウンと頭と目を回しながら考えていると今までだんまりを決め込んでいた女性を模した機械音声が沈黙を破った。


『コブシノマデハソウビヲハズシテクダサイ』


てめえこのやろう。




どうやらこの『拳の間』では防具以外の一切の装備を外さなければ先に進めないようになっていて、もし外さなければ今のように入り口付近で強制的に止められるようになっているらしい。

そういうことはもっと早く言うようにプログラミングしろよ開発者とかてか最初に言わせろよ開発者とかまず部屋に書いてろよ開発者とかグチグチ文句を垂れながら空間上にウィンドウを開いて装備していた杖やらを外す。

その際にログアウトボタンの有無を調べたのは当然だろう。


装備を外し終え徒手空拳になった所でもう一度門を潜る。

今度は引力も斥力も働かず扉をスッと潜れた。

潜れた達成感と共に僕はこうも思った。


「……修正してやる」


門を潜れば直ぐそこが練武場というわけではなく目と鼻の先に明かりが見えてるぐらい短いがトンネルのようなものを歩いていかなければならなかった。

開発者め。今すぐ三キロ走ってこい。僕の10倍辛い思いしろ。


明かりの元へは一分もしない内に到着した。

少し目を細めながらも先に進むと今まで細かった道だったが広いところに出た。

周りには打ちっぱなしのコンクリートで出来た背の高いドーム状の壁と土と砂出来た床が広がっていてその端っこ、自分の左斜めにある隅におそらくは模擬戦の相手を選べるであろうと思われる電子パネルが一つ設置されていた。

僕はようやくこの体を動かせるのだと意気揚々としながら電子パネルにむかって走った。


電子パネル前に到着すると少し上がった息を軽く整えて、生徒手帳をかざす。

するとそこには模擬戦の相手とは別に自分が今のレベルで習得出来るスキルの一覧が表示された。

一覧と言ってもまだレベルは1なので覚えることの出来るスキルは数個しか無かった。

僕はとりあえず一番上にあったものを選択してみた。


電子パネルを押してみると空中ウィンドウが開き、そこに技の名前らしきものが投影された。

それを確認してみると名前からしてどうやらスピードがメインみたいで先制攻撃には持って来いの技だった。


時間はあるにしても有限なのでとっとと習得可能な技を端から全部かっさらっていこうと思う。

これで全て覚えることが出来たなら僕が最初に懸念していた『僕による僕自身の身体の操作能力』は幾らか上げることが出来るだろう。


もともと僕は体が強い方ではない。

だからというわけではないが運動音痴とはいかないまでも運動には苦手意識がある。更にこれは五感丸ごと投入しているフルダイブタイプのゲームだ。

そんなゲームで体を動かすことが苦手な僕がこのやたら体しか動かしそうにない種族を完璧に動かせるとは思えない。だけど、これから先、動かせないとも思えない。


何故ならばこれは『ゲーム』の中で動くからだ。

ここは三次元ではない。


現実世界の話なら僕は側転は出来てもハンドスプリングやロンダートは出来ないだろう。

しかし、ここの世界の中ならハンドスプリングはおろかバク転すらも軽々とこなせる身体能力がある。

後は僕がこの体は『ゲームの体』で今まで動かしてきた沢山のキャラクターと似ていると思う事が出来、自分の考える通りに動かせることが出来るかどうか。

それが出来なければ僕はこのゲームでは強くなれない。

でも。

それが出来たら……僕はきっと強くなれる。

この世に生を受けてからゲームに触れなかった時期は乳児期のみ。僕は普通の人よりも二次元での体の使い方動かし方を熟知している。


「……リアルは無理だけど二次元なら」


決意を胸に、早速バク転をしようと試みる……も、やはりと言うべきか足が恐怖からか跳ぶのを拒否してしまって地面に根を張ったかの如く離れようとしない。


「……チュートリアルで挫けるなんて……ゲーマーの名が廃るぞ……ッ!」


裂帛の気合いと自分が今出来る最高のイメージと共にさっきまでの恐怖を払拭するように地面を蹴り上半身と下半身の位置を交代させるように回転しながら腕を伸ばし、地面を掴む。

そしてそこから伸ばした腕をバネに体を一気に跳ねさせて再び上半身と下半身の位置を逆転させ両足で着地する。


──所謂ハンドスプリングである。


「……出来た」


ゲーマーの血と長年ゲームをして培った才能なのか一度コツを掴むととんとん拍子に馴れはじめ、初期の頃とは比べ物にならないくらいなめらかに体を動かすことが出来るようになった。


十分程体を動かしていると五回に二回ぐらいはお尻から着地してしまって痛みのかわりに不快な痺れみたいな振動がくるがそれでもバク転が出来るようになった。

まだ凄いアクロバティックな動きは出来ないもののこのぐらい体を自由に扱えるようになれば戦力としては通じるだろう。


……戦闘能力はさておいて。


完璧と言うには程遠いまでも、この結果にそこそこ満足した僕は時間が惜しいとばかりに技の習得に精を入れることにした。



──ゲームって、やっぱり楽しいや。

今日も今日とて難産でした……死闘を繰り広げた結果あれですが……まあここまで読んでくれている人は何時も通りだと笑って殴りかかってくることでしょう!

そんなイライラしているあなたに!

手頃な壁に二重の極みをぶつけて下さい!

マヌケが見つかりますよ!


難産型のM2より。

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