デソイ・トラバイル 4
なんだか回ってくるのが早いですね
もう一周まわっちったよM1です
自分は地の分を書きたがるのでM2、3よりも若干長いですが、内容が厚くなっているとかそんなわけでは全くなかったりします
ダーメジも食らっていないのに宿に泊まり無駄に浪費した俺たちは、再びクエスト広場に戻っていた。
先の「スライム退治」の報酬を受け取るためだ。報告だけではなく、依頼主本人とも話さなければ報酬がもらえないという何とも面倒なクエストである。広場の隅で待っていたのは二十歳くらいの青年だった。スライムくらい自分で狩れやと思わないことも無いが、まあそこは仕様なので口を挟むのは野暮だろう。
「ありがとう! 君たちのおかげでもう怖がらなくてもいいよ」
で、貰った報酬が薬草×3個だ。均等に分けて1人1つずつ。実に割に合った仕事である。
「不服だな。俺に仕事をさせておいてこれだけとは」
エクスキューショナー山田もそうぼやいている。薬草の店売り価格が12Gなので確かに安いが、序盤のクエストなんてそんなものだろう。
それに、かなり早い段階で回復魔法を習得する魔法使いと違って、盗賊とガンナーには薬草1つだろうと十分実用性のあるアイテムである。
とりあえずスライム程度なら瞬殺できる事が分かったので、俺たちはもう1ランク程上のクエストを見繕う。
「あ、これとかよくね? 『コボルト狩り』。場所もさっきと同じ辺りだし」
「ふん。俺の疼きを止められるのならばなんだろうと構わない」
「そんじゃあ決定ね」
サクッとマイケルがクエストを受領し、それを示す軽快なサウンドが小さく響いた。
という訳で二度目の『木漏れ日の森』に俺たちは足を踏み入れる。このゲームはシームレスバトルなので、いつ草陰からモンスターが襲ってくるか分からない。その命を懸けた「追いかけっこ」と「かくれんぼ」がシームレスの魅力だと俺は思っている。
そして時は流れ……
「んだよ、全然いねーな」
「結構探してるんだけどな」
マイケルの呟きに、俺も同調する。
「もう10分は探してるはずなんだけど……」
コボルトが姿を見せやがらないのだ。割と奥まで来て、そろそろLv10ではイエローゾーンかと思われる地点に突入している。
そのとき、背後の草陰から突如物音がし、何かが飛び出した。振り向いて確認すれば、それは俺達が追い求めていたコボルトだった。思わず俺は指を指して叫ぶ。
「あいつがコボルトだよ。俺ソロの時に見たことある。見た目の割に早いから気を付けて」
「俺の前に姿を現したことを後悔し、己の悲運を嘆くがいい」
反応が一番早かったのはエクスキューショナー山田。ベルトに差した短剣を引き抜き、3体いるうちの真ん中に盗賊の誇る最速の一撃を叩き込む。
「遅い」
――ピアッシング・フラッシュ
短剣が閃き、高速の2連撃がコボルトの胸部に刻まれた。
ぶっちゃけ出の速さだけが取り柄の通常攻撃だが、先に当てればこちらのものだ。
「どけエクスキューショナー。ちょっと派手なの行くぜ! アクアドロップ!」
コボルト3体のそれぞれ頭上に、バスケットボールくらいの水球が生じ、落下、炸裂する。
が、真ん中はエクスキューショナー山田の攻撃もあって倒せたが、両端がかろうじて息を繋いでいる。
「ちょっと残るって割とイラつくよね」
スキル、魔法の使用後に課せられるディレイのせいで、俺とエクスキューショナー山田は即座に動く事が出来ない。
「はっはぁ! 汚名返上、名誉挽回、下克上ぉぉぉ!!」
しかし俺たちは3人パーティーだ。ここぞとばかりにマイケルが後列から飛び出し、両腕を交差させて計2度、引き金を引いた。
マズルフラッシュを引き連れて放たれた弾丸は正確にコボルトのど真ん中を貫いた。犬が直立したような見た目のコボルトにひびが入り、ポリゴンが飛散する。
「ま、最終的には俺がキめるってことだな」
自慢げに2丁の拳銃、ベレッタM92とデザートイーグルをくるくる回している。
しかし何でたかがLv10程度がそんな性能の高い銃を持っているんだろうか。疑問に思うが口にはしない。ソロの時にでも頑張ったんだろう。
「まあとりあえずこれでこのクエストも終わりだな。キーアイテムの『コボルトの爪』もゲットしたし。もう少しレベルの高いの受けてみるか?」
「おー。そうすっか。Eの上くらいいってみようぜ」
俺とマイケルがそう話しているとき、いきなりエクスキューショナー山田が俺たちを手で制し、口元で人差し指を立てた。
「……どうやら、余興に釣られて大物が出張ってきたようだ」
エクスキューショナー山田は口元に当てていた人差し指を、そのまま木々の間へと向ける。
たいした間もなく、指されたところから身の丈3mはありそうな、斧を持つ人型の牛『ミノタウロス』が現れた。
「おそらく逃げる途中で全員殺られるだろう。俺は盗賊で足が速いから逃げれるかもしれないが、お前たち二人はまず無理だな」
「おいおいそれって……」
「死ね、ってことだな」
「ふん。だれがそう言った? 倒せばいいだろう。ヒロヤは回復魔法も使えるんだ。3人いればなんとかなる」
ゲームの中だけではいつもカッコいいエクスキューショナー山田の言葉で、俺とマイケルも腹を決める。
「んじゃ、いっちょやりますか」
「MP切れたら俺一人でも全力で逃げるからな」
「相手に取って不足なしだ。我が手で断罪してくれる」
それぞれが己の武器を握りなおしてミノタウロスを見やる。奴が斧を大きく振りかぶった時、エクスキューショナー山田とマイケルがそれぞれ左右に展開した。
「アタックシフトにディフェンスシフト!」
攻撃力、防御力をそれぞれ上げる魔法を唱え、俺は2人のHPとミノタウロスの挙動に注目する。二人とも前衛職ではないので下手をすれば数撃で死んでしまうだろう。死んだところでセーブポイントに戻るだけだが、装備アイテムのランダムドロップと所持金半減がペナルティとして課されるため出来れば死にたくない。
「エクスキューショナー――執行人――の名において、対象を断罪する」
エクスキューショナー山田のセリフとともに、命を懸けた死闘が始まった。
これで自分たちのスタンスは分かってもらえたでしょうか
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M2、そしてM3
この後の展開は任せたぜ(フッ