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ゲーム同好会(仮)  作者: MMM
ドラゴナイト
37/59

ドラゴナイト 24

ダークフレアドラゴン戦――後半!

 ヒト型ぁ!?

 しかも一人称が「妾」って事は、女?

 いや、生き物な以上性別はあるのかもしれないけどさ。

 突如として形態変化をした元ドラゴンはその背に生える両翼を使って上空数mの高さに浮遊する。

 クロノを始めとしたNPCの皆さまは驚くことなく弓や魔法で攻撃しているが、俺の頭上にはハテナが踊っており行動に移ることが出来ない。

「ぼさっとすんな。いくぞ!」

 そんな俺の背中を叩いたのは何時の間にか告白イベントを終えたらしいアキだ。

「お、おう」

 竜人へと向かい走る背中に、俺はどうも気の入らない返事しかできなかった。

 などと俺が呆けている間にも、クロノと黒い剣をどこからともなく顕現させた竜人が切り結んでいた。

 風属性か何かの魔法で自らも宙に浮くクロノは、初っ端から長剣を両手持ちで戦っている。

 1合剣を合わせるごとに発生する衝撃波で近寄ることすらままならないというのに、竜人もクロノもまだまだ余裕を見せている。

 というか、竜人化したのは、

 A、重攻撃を立て続けに受けてドラゴンの姿を保てなくなったから

 B、人間風情が鬱陶しいので人のサイズまでドラゴンの力を凝縮してさっさと片付けるため

 のどっちなのか。

 Aなら希望。Bなら絶望。

 竜人化した時のセリフから、どうもその中間B寄りではないかと俺は推測する。

 だとすれば絶望の比重が高いだろう。

 さて、どうせ近寄れないのなら考察でもしてみようか。

 題して【ダーク(ryが竜人化した事によって俺たちが得たメリットとデメリット】

 メリットは、小さくなったことで相手の射程距離が落ちたということ。

 同じ理由で後列に攻撃が届きにくくなった。

 そのため回復・補助がぐっと厚くなった。

 対するデメリットは、小さくなったことで攻撃が当てにくくなる。

 同じ理由で、向こうの動きが速くなる。

 同じ理由で、一度に相手をできる人数が多くて3人。クロノのような巨大な武器を使う場合は1人になってしまう。

 考察終わり!

 …………全体的に見れば俺ら不利じゃね?

 片手の指で足る人数でいくら攻めたところで、与ダメージは微々たるものだろう。

 いまさらながらにデカい的がどれだけ有り難いかを理解する。 

「少しの間、時間を稼いでくれ!」

 俺が有意義な考察を終えた直後、クロノが全軍に届く声でそう叫んだ。

「交代準備! 3.2.1――――チェンジ!」

 クロノの掛け声に合わせて、後列に居た4人が一斉に飛び出す。クロノが何百合と切り結んだおかげで、竜人は翼を傷つけ簡単には飛べなくなっている。

 しかしあっという間に一人のHPが全損し、その場に崩れ落ちた。

 ゲームの中とはいえ、NPCとはいえ、間近で見た死は、俺の意志力を大いに削り取る。

「勝てねぇって、こんなの……」

 無意識のうちに一歩引こうとした足を、何かが止めた。

 それはたぶん、なけなしのプライド。

 ダントが切り込み隊長を全うし、アキが遊撃手として戦闘に貢献する中、俺はなにをしているのか。

 そして街に置いてきたルカの存在。

 ここで討伐隊が壊滅すれば、憂さ晴らしに竜人は街を破壊するかもしれない。

 そうなれば、非戦闘要員の彼らはひとたまりもなく理不尽で圧倒的な暴力に散っていくだろう。

「そんなことは、させない」

 まだ俺はルカとデートイベントすら起こしてないのだ。こんなところで死ぬわけにも、死なせるわけにもいかない。

「ダント、アキ! あの人たちが退いたら飛び込むぞ!」

 前で戦う人の邪魔をしない、しかし何かがあればすぐに飛び込めるギリギリの距離で構える2人に、俺は追い付く。

「やっときたかよ」

「ま、一応は同好会のトップな訳だから、このくらいは意地見せてくれないとな」

「はは、面目ない」

 なかなか辛辣なことを言うアキに言葉を返してから、俺は竜人を見据える。

 後衛から常に各種補助魔法と回復魔法が掛けられていると言っても、その心労は考えられないほど凄まじい筈だ。

 3人の強者をまるで子供と遊ぶようにあしらうその実力は、クロノ以外では拮抗すらできないだろう。

「次頼む! もう限界だ!」

 前から届いたその声を聞いてダントが俺の肩を一度叩く。

「ああ、もう大丈夫だ」

 俺がそういうと、現実のダントでは決して有り得ない高さから、彼はイケメンスマイルを見せた。

「交代準備、3.2.1――――」

 カウントダウンが進み、それぞれが突撃の構えを取る。

「チェンジ!」

 前で奮闘する内の1人が大振り攻撃を当てて有るか無いかの刹那の隙を作り、全力で後方へと退く。

「いくぜ!!」

 アキの雄叫びと共に、俺達は3人が抜けた穴へと飛び込んだ。

 初撃はダント。

 俺のような重い武器を使う場合、ある程度隙が無ければ空撃ちに終わってしまうからだ。

壊城かいじょう剣舞・五月雨(さみだれ)!」

 2本の剣を、とてつもない速度で撃ち出す、速度至上主義の大技。あまりの手数ゆえに竜人は弾くことも退くことも敵わない。

「ナイスダント!」

 先制を入れたダントと入れ替わって、五重奏クインテットを引き連れたアキが躍り出る。

「五重奏・迷い足!」

 合計6人のアキが、それぞれ異なった流れで緩急を付けて連携技を叩きこむ。

 竜人が標準を定め切る前に、次は俺が動く。

「楼閣一閃!」

 大きく振りぬかれたハルバードの一撃は、アキの分身ごと戦場に現れた楼閣に閉じ込める。

 無数の斬撃が分身もろとも竜人を襲い、その動きを僅かにせよ完全に止めさせた。

「一周回って俺の番!」

 俺の攻撃が切れる頃には、呼吸を整えたダントが2撃目を放つ。

 どうやっても勝てない相手に対して俺たちが取った作戦は「反撃させない」だった。

 手数、人数、威力でそれぞれ竜人を抑え込み、限界が来る前に次の人がバトンを受け取る。

 ダメージがあるかどうかなど二の次だ。

 俺たちはなんとか連撃が途切れないように立ち位置、技の取捨選択、踏込みのタイミングなど全神経を研ぎ澄まして連携を成り立たせていた。

 しかし綻びはやってくる。

 ダント→アキの繋ぎのところで、アキが僅かに早く踏み込んでしまった。

 結果としてダントの攻撃が最後まで決まらず、竜人に動く時間を与えてしまう。

 そして、それだけの時間があれば目の前の人間を屠る事など竜人には容易いことだった。

「煩わしい」

 一言呟き、竜人は剣をアキ目掛けて振り下ろす。

 やけにゆっくり時間が流れる中、俺は全力で走りこんだ。ダントは体勢を立て直しているから加勢には来れない。

 アキも迎撃しようとはしているが、一人では持ち堪え得ないだろう。

壊刃波斬かいじんはざん!!」

「撃鉄・重ぇぇ!!」

 俺とアキの全力が、竜人の振り下ろした漆黒の剣と衝突する。

 しかし均衡は一瞬以上は続かなかった。

 竜人の膂力に負けて、俺達2人は遥か後方へと吹き飛ばされる。2人で迎え撃ったことでなんとかHPゼロは免れたが、とても楽観できる残量ではない。

 すると飛ばされている最中の俺達を柔らかな光が包み、HPバーを全快させた。身を捻って後ろを見ると、輜重部隊とでもいうべき何人もの騎士が、一生懸命に回復・補助魔法を行使していた。

 負けられない。

 アキもそう思ったのか、なんとか空中で体勢を整えて着地する。

「動けるか?」

「大丈夫だ、問題ない」

 例の名言をにやりとした笑顔と共に放ち、アキは鎌を持ち直す。

「もっかい行くぜ!」

「おう!」

 とは言ったものの、俺達が前線から落ちたことでダントも一旦退いており、今は別の騎士たちが相手をしていた。

「お、戻ってきたか」

「悪い悪、い――――!!」

 二人がダントに追いついたとき、背後から目の前の竜人すらもかすむほどの威圧感が放たれた。

「ここまで時間を稼いでくれてありがとう。本当に助かったよ」

 クロノだ。

「ここからは、僕も騎士団長としての意地を見せないとね。

 ――――秘技『零の果て』…………」

 直後、月壊の数倍に相当する閃光と衝撃が、暴力的に戦場を支配した。

 立っていることすらままならない中、なんとか俺はハルバードを支えに体を起こして状況を確認する。

 そこには、あの竜人を圧倒的な戦力差で翻弄するクロノの姿があった。

「……なん、だよ。アレ」

 呟くしかできない。

 それほどまでに、クロノの戦闘力は高すぎた。

 どれだけレベル上げればあそこまで行くんだよ。

 すでに竜人はクロノの攻撃を受けることに全力を注ぎ、反撃することなど不可能な状態になっていた。

 しかし頂点の意地なのか、クロノが大きく剣を後ろへ捻ったその瞬間に、竜人はクロノに蹴りを入れて後方へと凄まじい速度で下がる。

 その行く先は、後衛の魔法部隊。

 直接の戦闘力など無きに等しい彼らをどうするのか。人質にとるのかあるいは最後のあがきとして纏めて葬るのか。

「許さん! 人間ごときが妾を、妾を!!!」

 竜人は漆黒にかげる剣を引き絞り、大量惨殺の準備を終える。

「させると思うか?」

 しかし不意に現れた人影に斬撃を見舞われて、攻撃は失敗に終わる。

 竜人の前に立つは、先ほどまで最優先で手当てを受けていたガデスだ。

「邪魔だ人間!」

 空間を引き裂いて駆け抜ける刃は、しかしガデスの朧を揺らがせるだけに留まった。

 ガデス本人は切っ先の届かない位置に余裕を持って立っている。

「俺を捉えきれん奴が、あいつを捉える事など出来るはずがないだろう」

「何をふざけたことを! 妾が人間に後れを取るなど有り得んわ!」

 挑発的なガデスの構えに、まんまと竜人は乗せられる。

「いい加減に死ね!」

 振り上げられた剣を見て、ガデスが獰猛に笑う。

「もう少し周りを気にした方がいい。貴様が戦っているのは俺一人ではないはずだ」

 その言葉が竜人に届いた瞬間。

「ご苦労だった、ガデス」

 クロノの黄金の輝きを纏った長剣が、竜人を切り裂いた。

 光が広がり、俺達の体力が全快になる。イベント終了後のご褒美と言った所だろうか。

 勝鬨を上げる者。その場にへたり込むもの。それぞれがそれぞれの方法で生を実感する中、俺達三人はひたすら笑っていた。

 …………だって裏ボスってクロノさんだぜ?

 絶対勝てねぇよ!


 俺は戦勝祝いの席もそこそこに城を抜けて、とある建物の前まで来ていた。

 親方は祝いに呼ばれていたが一人だった。ということは俺の目的の人物はこの中に居ることになる。

「…………はぁ」

 もしかするとダークフレアドラゴン戦に匹敵するかもしれない程の緊張感が俺を包む。

 しかしうだうだしていても仕方がない。

「よし!」

 俺は意を決して鍛冶屋の扉を開いた。

 待っていたのは、俺がこのゲームで最初に体験したイベントで出会った少女。

「生きてたね」

「死んだと思ったけどな」

「死んだらダメよ」

「まあな」

 2人して応接室へ行き、ソファーに並んで腰を下ろす。

「あのさ、ヒロヤ」

「なに?」

 ランプの光が柔らかく世界を映し出す中、ルカは前触れなく話し始めた。

「私はまだまだ見習いだけど、いつか親方も抜いて、世界一の鍛冶師になるわ」

「うん」

「だからその時は……ね」

 ルカが、俺の肩に頭を乗せる。

「私がヒロヤのコト貰ってあげる」

「はは、逆だろ」

 肩に乗る頭に注意しながら、俺はルカに向き直る。

 何かを期待するような、それでいてどこか不安そうなルカの瞳がまっすぐ俺を見据えた。

 呼吸を整える。

 いまさら怖気づくことなんて有りはしない。とっくに心は決まっている。

「俺が、ルカを貰うんだ」

「うん。絶対だよ」

「絶対だ」

 俺がそう返すと、ルカは俺に勢いよく抱き着いてきた。

「ヒロヤ、大好き」

 ルカの背中に手を回して、俺も少々気恥ずかしいが気持ちを伝える。

「俺もだよ。大好きだ、ルカ」



 ゲーム同好会部室。

 俺は、祝杯が退屈で手持ち無沙汰になった二人が俺の画面を覗いて囃しまくったのを二度と忘れることはないだろう。

 お前ら何が何でも仕返しするから覚えてろよ。



クロノさんTUEEEEEEEEEE!!!!!

な内容でしたね

仕方ないじゃん

主人公たちじゃ勝てなさそうだったし


一応『ゲームとしてのドラゴナイト』はここで終わりです。

後日談はあります

ありますよね? M2さん


この後は取り敢えずM2さんが今回のレポートを書いて、次のゲームの前振りをする。

で、M3さんが3本目のゲームを本格的に始める。

という流れを予定しています。


3本目のゲームが終わってゲーム同好会がどうなるかはまだ未定ですが、もし続けることが出来そうなら続けたいなぁとM1は思っております



それでは次ゲーム&M2さんのレポートに乞うご期待!

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