ドラゴナイト 19
なーんか最近戦闘シーンばかり書いてるような気がしてなりません。
方舟が変身した姿はそれはそれは醜悪だった。
顔は巨大化したローブで隠されているが身の丈3メートル超、ローブから覗く右手には杖半分が触れるだけで切れそうなほどの切れ味を誇ってそうな巨大な漆黒の剣に変貌し、もう片方からは何でも殴り潰せそうな大木のような腕が、背中、というかお尻からは先程まで生えてなかった尻尾がローブの下からゆらゆらとゆらめいている。
その尻尾もただの尻尾ではなく分厚い鋼鉄すら貫けそうな鋭利な尻尾だ。
俺はその3メートルの長身に迫りそうな程の長さの剣を持つ右側に。
ヒロヤは何も持ってないが大木ほどもありそうな腕をしている左側に。
アキは鋭利な尻尾が生えている背後に。
それぞれが一斉に走り出した。
この場所取りはただなんとなく、じゃなくてしっかりとした意味がある。
俺が剣の方向にいったのは一番身軽だから。
俺ならあの2メートルはあろうあの黒い剣をかわしてカウンターに転じやすい。
ヒロヤはあの巨腕と一瞬だけなら拮抗できそうだから、俺とアキなら一瞬の拮抗も許されずに吹き飛ばされるだろう。
アキは四重奏をもってるから与えるダメージ量はこの中で一番多いから攻撃される心配の最も少ない背後に。
ヒロヤが前衛に行って回復使えないのは痛いけど回復薬ぐらいはストックもあるし、もたもたして相手に変なモーションさせるぐらいなら総攻撃で一気に畳み掛けるための、このフォーメーション。
先に動いたのは相手の方からだった。
巨剣を横に大きく薙ぐように奮われ、それを後ろに避けると飛ばされそうな風圧が俺とヒロヤを襲う。
それを合図に第2ラウンドが開始された。
「四重奏!」
方舟の背後に控えていたアキが四体に増え、それぞれが尻尾を弾き、がら空きの背中に微々たるものだがダメージを与えていく。
だがそれは本当に微々たるもので尻尾を相手にしている一人を除けば三人で攻撃してるにもかかわらず一割も減ってない。
俺も剣を避けながら攻撃を加えているが一撃一撃が軽いためダメージがほとんど通らない。
大技を使おうにも隙が短いから使っている最中に攻撃されるのがオチ。
一撃はでかいが大振りのヒロヤも似たような理由で攻撃すらまともに出来ない。
くっそ……「最初に的がおっきくなったぜらくしょーwww」とか思ってたけど全然そんなことないじゃん。
そんなとりとめのことを考えてる間にも必殺の一撃は繰り出されている訳で俺は必死に跳んだりしてかわす。
剣が足下を目の前を通りすぎる度恐ろしいぐらいの風圧が俺を襲う。
ただ剣で攻撃されるのは俺だけなのが幸いだ。
ヒロヤには俺の攻撃のついでに牽制程度に向かうだけで避けなくても当たらない。
そのかわりヒロヤには拳が向かってるが。
「このままだとジリ貧だ!どうするよダント!」
この状況に堪えられなくなったのか突き出される拳を避けてカウンターを喰らわせながら叫ぶ。
対する俺もこの状況は絶対的に不利だと踏んでいる。まずこちらがダメージを与えられるのは拳もしくは剣を握ってる腕をカウンターの要領で攻撃するときのみ。
懐には忍ばせては貰えない。
ローブで体が隠されていて急所の位置も何もかもがわからない。
唯一継続的にダメージを与えられるアキもローブでダメージを軽減されているのか5分でやっと一割の半分ほど体力を削った。
同時にアキの四重奏の効果がきれ、分身達が消え去った。
それを期に俺達は一旦方舟から距離をとりどうやって勝てるかを考える。
方舟はどいつを攻撃するか迷っているのかキョロキョロと辺りを見渡しているが動かない。
「さて……どうするか……」
このままだと埒があかない。
ダメージ覚悟で懐に潜るか?いや、それだと即座に回復が出来ずに終了か……
ただ一つの救いは相手が魔法を使ってこないことだけだ。
いや、魔法の源らしき石は全て破壊したし使えないのか?
ここまで考えた所で方舟は相手をヒロヤに決めたらしく俺と背後にいるアキには目もくれず耳を塞ぎたくなるような唸り声をあげて猛然と突っ込んでいく。
意識全てがヒロヤに向いている今がチャンスと思い反射的に方舟の真横に向けて走り出す。
アキも同じで俺とほぼ同時に走り出す。
「重奏!」
走っている最中にアキが二人に別れる。
四重奏は流石に限界なのか使ってない。
方舟はヒロヤを葬ろうと大きく上段に剣を構えながら肉薄していく。
当然、そんなバカでかい隙を見逃さずにすかさず攻撃をしかける。
「粘ってくれ!ヒロヤァ!」
俺の声が届いたのかヒロヤは顔をしかめながらも小さく頷いた。
「よっし、行くぞアキ!」
「あいよ!」
真横からの攻撃は出来なくなったが斜めからでも問題はない!
「そのローブ切り裂いてやるよ!!」
言うやいなや俺の剣は淡い黄色を纏い、ローブで隠されてはいるががら空きの脇腹へ向けて剣を繰り出す。
俺の剣がローブにぶつかるのとヒロヤに杖剣が降り下ろされるのは同時だった。
降り下ろされる瞬間ヒロヤの愴斧が斜め下から振り上げられる。
「撃鉄――――重ぇぇぇぇぇぇ!!」
気合一閃。
跳ねるように振り上げられた愴斧は見事にあの巨大な杖剣とぶつかり、せめぎあった。
それを見て、俺は口角があがるのを感じながら技の有効射程域に方舟を入れた。
「はっ!」
小さく息を吐くと同時に剣を交差するように構え地面と平行移動するように飛ぶ。
剣がローブに衝突した瞬間、相手の体力ゲージはほんの僅かだけだが消滅する。
飛んだ勢いそのままで相手の後ろにまで体を捻り、方舟の背中を若干ずれてはいるものの正面に見据えるように移動する。
着地した瞬間とほぼ同時にまた強く地を蹴り相手に向かって先程と同じように飛ぶ。
「燕返し!」
切駆による高速二連撃。
これが燕返しだ。
本来、切駆は単発でしかうつことが出来ない。
理由は簡単、使い終わった後はダッシュしてないからだ。
切駆はダッシュ状態に移行して初めてうてる。
燕返しが終わるとタイミングよく、拮抗してたヒロヤ達もヒロヤの押し負けで決着がついた。
しかし拮抗に持ち込んだのは無意味ではなくそれのお陰で剣の軌道がずれ、ヒロヤはダメージを負わずにすんだ。
相手の体力ゲージを再び見てみると後一撃で四割を切るというところで止まっていた。
遅れながらもアキも攻撃に加わろうと大きくジャンプする。
分身のアキがまずローブに傷をつけるように鎌を縦に振る。
本体のアキはそこをなぞるように深くえぐりつける。
「ダブルライン!」
アキが奮った鎌はザクという肉が切り裂かれる音をローブの下から響かせた。
方舟はその巨躯をのけぞらせ耳障りな悲鳴を発する。
見ると体力ゲージは四割をきり三割へと突入していた。
更に幸運は続き、今までバリアーの役割をしていたローブが黒い靄みたいなものになって方舟の体へ吸い込まれるように消えていった。
ローブの下からは先程まで魔法使いだったとは思えないほど黒々とした真っ黒な肌を筋肉が盛り上げていた。
今のをみるにローブを消す条件はローブの下に隠された体を触ることだったのかな?
後でこの筋肉魔法師のことウィキるか。
ラストスパートをかけようと三人で一斉にかかろうとするとヒロヤが何かに気付く。
「…………嘘だろ」
その言葉には絶望や諦めといった負の感情が詰められていた。
かくいう俺もその光景に絶望の感情しかうみだせなかった。
ヒロヤの声が気になったのかアキがさりげなく方舟に一撃をおみまいして此方に向かってくるがその歩みも徐々に鈍くなっていく。
「おいおい……んなのありかよ……!?」
アキの声色にも明らかな絶望が滲んでいた。
先程まで方舟は漆黒の巨大な杖剣を一本だけ右手に装備していたが今は
――左手にも同じのものが持たれていた。
極めつけは今まで必死になって削ってきた体力ゲージが徐々に回復していき最終的に満タンになった。
そしてここまで来たら俺達は嫌がおうでもこれが負けるイベントなのだということを強制的にわからされた。
「……ふざけんなよ……」
こんだけ頑張ったのに……
誰かがぽつりと呟いた言葉を切っ掛けに全員が方舟にむけて血走った眼で切りかかった。
そこから先は全員が一時的に狂戦士に転職したんじゃないかと思うぐらい美しさも何もかもが無いただの殺し合いだった。
ハッと我に帰ったのは丁度方舟が二つの黒い杖剣を地面に突き刺して白色の硝子を叩き割ったかのように消えていく瞬間だった。
それを見送り、レベルアップ音とアイテム入手の無機質なサウンドをBGMにそれぞれの体力を首をゆっくり動かして見てみると、若干のばらつきはあるものの全員がレッドゾーンに突入していた。
アイテム欄も無感情に確認すると先程手にいれたレアアイテムとレアスキルと薬草が二個だけだった。
何かあるといけないと思って大量にストックしておいた回復薬は綺麗に無くなっており、10個程持ってきた薬草も残り二つにまで減っていた。
ヒロヤとアキも同じ作業をしており、暫くウインドウを眺めて我に帰ったように顔をあげた。
そして何分か何十分か分からないが全員黙ったままで誰も口を開こうとしなかった。
時間が分からなくなり始めた頃小さくアキが呟いた。
「……勝ったのか……?」
それに同調するかのように俺とヒロヤも口々に呟き、次第に声が大きくなっていく。
「……勝ったんだよな……俺達…あいつに……勝ったんだ」
「ああ……勝ったんだ」
数秒後、俺達は歓喜の声を全力で挙げた。
結構な時間、喜びあった俺達は今の体力をみて焦り出す。
「やべ、こんな所で魔物とエンカウントしても薬草二個しかねえやっ!ヒロヤっ回復回復!」
「MPがない」
「(・ω・`)」
「なあ、とっとと終わらせてここから出よーぜ!言っとくが今魔物と出くわしちまうと俺達は結構やべえからな?」
俺達はアキの言葉に従い急いで鉱石を採れるだけとって激闘を繰り広げた興奮で真っ赤に火照った顔をしたまま街へと走り出した。
幸いにもエンカウントしたのはフライザだけでした。
予告?え、なんのこと?
紙の余った隙間のこと?
ってそれは余白やないかーい(ベシ)
さあ、大分乗ってきた所で恒例の予告……は流石にもうしつこいか。
じゃあ次回はM3です!頑張って下さいませ!
以上、なんかよくわからないM2でございますわ!オーホッホッホッホ!




