ドラゴナイト 10
北海道23ですって
……んまぁー
緊張に緊張を重ねたような顔で俺――ダントはとある宿屋の前に身動ぎ一つせず立っていた。
その後ろにはヒロヤとアキが意地の悪い笑みを浮かべて俺をひたすら見ている。
「どうした?早く開けろよニヤニヤ」
「俺達も暇じゃ無いんだけどなーニヤニヤ」
そしてニヤニヤという効果音を自分達で奏で始める始末。
もうあっちいけよ!
気にしてたらなんだか無性に腹立たしいので気にしないように頭のなかで囃し立てるような声を無視する。
……よし、いくぞ……
意を決した俺は木製の扉を開けようと取っ手を掴もうと前へ進む。
「おお?」
「行くのか行くのか?」
……無視だ。
「早く開けろよー」
「あ、そういやあいつヘタレだったな」
……無視だ無視。
「あー……そうだったな。なら開けるのは後数時間後位だな」
「ヘタレ抜きでクエストやっとく?」
……むし……だ……む…し……
「そうだな。ヘタレを待って数時間無駄に過ごすよりよっぽど有意義だ」
「よっし!そうと決まれば早速城に行こうz」
「虐めかお前ら!?」
度重なるヘタレの連呼に挙げ句、置いていく発言をされた俺の心は最早ドアシュレッダーにかけられたドア以上にズタズタだ。
「なら早く開けろよ。何、簡単な事だろ?……左手は添えるだけ……」
「今使う台詞じゃない!」「ほらよ」
「本当に添えさせるな!」
ヒロヤとアキと軽くコントをやって流れで取っ手を掴まされてしまった手を外そうと指に力を入れた瞬間、両方から警告が入った。
ヒロヤは「次の戦闘時、お前の邪魔ばかりしてやるからな……」
アキは「受付嬢に言うからな……」
目が据わっている。
俺は戦々恐々としながら何故こんな事をするのかと二人に問い掛けた。
二人曰く「疲れた」らしい。
警告も入ってしまったので半ばやけくそ気味に俺は扉を開く。
何より受付嬢だけには言われたくない。次目の前に現れたら兵士達のようになき喚いて逃げ去るだろう。
それぐらい怖かった。
半ばやけくそ気味に押された扉は頭上についてるベルをカランカランと鳴らし人が来たことを告げる。
「いらっしゃ……ああ!?ダント様!」
奥で受付をしていたリリアが素早く席をたって俺のもとにまで駆け寄る。
「よくぞご無事で!怪我はしませんでしたか!?体に不調は!?」
駆け寄ってきてすぐさま色々な事を捲し立ててくるリリア。
「あ、ああ。体の何処にも以上はない。後……ち、近い」
興奮したのか俺とリリアの距離は今にもキス出来そうな程近かった。
言われて初めて気付いたのかリリアも慌てふためきながらも一歩後ろに下がった。
「……………」
「……………」
お互い顔を真っ赤にしながら俯いてしまう。
それを後ろからみていたアキが「うくっ……!」と笑いを堪える音がしたので俺はアキを睨む。
アキは弾かれたように横を向き虚空をみながら上手いとも下手とも言い難い口笛を鳴らしていた。
反対側のヒロヤもみてみると何時も通りの何を考えてるのかわからなさそうな顔をしている――と思ったらこいつも口元ピクピクさせてやがる。
そんな二人を恨みがましく思っていると唐突にリリアの口が開かれた。
「えっと、あの、その……お帰りなさい」
その言葉に俺は、そういやまだ言ってなかったなと思い言葉を返す。
「ああ……ただいま」
互いの顔の熱も冷めやらぬままそんな事をいっちゃったもんだから恥ずかしくなって二人ともまた顔を下に向ける。
「……………」
「……………」
顔を真っ赤にして俯いていると後ろからヒロヤ達が笑いを堪えるような音を漏らした。
このまま何もせずにただ俯きっぱなしだとリリアにも迷惑をかけてしまうのと後ヒロヤ達に馬鹿にされそうなので(ヘタレとかヘタレとかヘタレとか)思いきって俺は顔をあげ目の前で顔を赤くして俯いているリリアと会話を始める。
「い、何時もここにいるんですか?」
その瞬間二人から「ブフッ」と吹き出した音が聞こえた。
それと同時にリリアも顔をあげ会話のキャッチボールに応じる。
「はい、私は宿屋の娘なんで!」
「そ、そうですか……」
当たり前だろうが俺……っ!
会話のキャッチボールは一往復で終了した。
この辺でヒロヤとアキは静かに宿から出ていった。勿論その背中は震えていた。
ヒロヤ達が出ていった後もしどろもどろだが徐々に会話は弾んでいった。
たっぷり十分話し込んだ所で俺はヒロヤ達が出ていったのを思い出した。
「そういや俺、外に仲間待たせてるんだった……すまないが今回はこの辺でおさらばさせてもらうよ」
そう言うとリリアは先程までの笑顔から一転少し残念そうな顔をしながらも了承してくれた。
「わかりました……お話楽しかったです!暇があればまた宿屋『クロッティ』に来て下さい!」
「ああ、絶対に行くよ!」
そうして扉を開き今度は来客を告げるためじゃなく客が出ていくのを知らせるためにベルが鳴った。
ヒロヤ達を見つけるために首をキョロキョロと動かすが何処にも居なかったので仕方なく城へと向かう。
……あいつらマジで俺をほっぽってクエスト受けに行きやがったっ!
流石にハブられるのは勘弁なので城へと猛ダッシュで駆けて行くと案外ヒロヤ達は簡単に見付かった。
ヒロヤ達は誰かと話し込んでるようで城前で止まっていた。
しめたとばかりに走るスピードーを緩めずに二人の後ろまで走っていく。
すると話し込んでいる相手の顔が段々と輪郭がはっきりしてきてヒロヤ達の10m後ろについてやっとその男の正体が分かった。
その男は足首に届くような紅いマントを羽織、輝くようなブロンドヘアーで、体をしっかりと守れるような金属製の鎧を着込み胸にバッチをつけている騎士団長その人であった。
「……なんであいつら騎士団長さんと話してんだ……?」
まさか悪さして取り締まりに来たとかそんなんじゃないだろうし、だとしたら今回出撃した兵士一人一人に労いの言葉かけてたり?
……騎士団長さんの人の善さだったら有り得るぞ。
あの人はまさに騎士の鑑で、強きを挫き弱きを助けるを信念とした人で、且つあの人は誰にたいしても分け隔てない態度で接するのだ。
たった10mぽっちの距離だったのでものの数秒で二人の後ろにつけた。
「―――ごに第一訓練施設でいいかい?」
「ええ、構いませんよ」
「そうか、ありがとう」
着いたとほぼ同時に話は終わったらしく騎士団長さんは柔和な笑みを浮かべて立ち去っていく。
俺に話しかけないところを見るに兵士一人一人に労いの言葉をかけるというのは違うらしい。
どんどん小さくなっていく騎士団長さんを眺めていると不意にヒロヤから話し掛けられた。
「なあ、明日の正午は空いてるか?」
「うん?ああ、空いてるがそれがどうかしたのか?」
視線をヒロヤ達に戻すと二人とも若干緊張した面持ちをしていた。
「明日の正午に、俺達と騎士団長プラス副団長で――」
そんな二人を見ていると俺まで何故か緊張したがそんなことはお構い無しにヒロヤは口を開く。
「模擬戦だ」
ストーリーは全く進みません(笑)
強いて言わせてもらえばサブストーリーが進みました。
さあ、次回で模擬戦は終わってしまうのか!?
それともM1さんまでバトンが繋がるのか!?
こうご期待っ!!
byM2(・ω<)ゞ




