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■ 第二話 「積む重ねたもの」

 時間の感覚は曖昧だったが、確実に言えることが一つある。


 あれから、かなり経っている。


最初は霊力を感じるだけで精一杯だった。流れを整え、滞りを崩し、

ようやく動かせるようになったのが前の段階。

そこから先は、ひたすら繰り返しだった。


 集めて、練る。


 巡らせて、整える。


 崩れて、やり直す。


 それを延々と続けてきた。


その結果、今ははっきりと分かる。身体の中心、へその下あたり。

そこに、霊力が集まりやすい場所がある。最初は偶然だと思ったが、

何度試しても同じ位置に溜まる。流れを整えれば自然とそこへ集まり、

意識を向ければ維持できる。


 ――ここが、丹田ってやつか。


前世の知識がふと浮かぶ。武道だの呼吸法だので聞いたことがある概念だが、

まさか本当にあるとは思わなかった。だが理屈としては納得できる。

散らばったままでは効率が悪い。中心にまとめた方が扱いやすい。


 実際、ここに集めた霊力は明らかに質が違う。


ただ流れているだけのものと違い、密度がある。

意識を向ければ形を保ち、崩れにくい。それをさらに圧をかけて練ると、

より濃く、より扱いやすくなる。


 だが、問題もある。


 練れば練るほど、消耗が激しい。


最初は気づかなかったが、密度を上げるということは、

それだけ霊力を圧縮しているということだ。無理にやれば、維持できずに散る。

ひどい時は、巡りそのものが乱れて元に戻るまで時間がかかる。


 だから調整が必要だった。


 どこまで練るか。


 どこで止めるか。


 どの状態が一番効率がいいのか。


 それを探る作業を、何度も何度も繰り返した。


 やがて一つの結論に辿り着く。


 練りすぎない方がいい。


限界まで圧縮するより、少し余裕を持たせた方が安定する。

多少密度は落ちるが、巡らせた時の消耗が少ない。

結果として、全体の効率はそちらの方が上だった。


 そしてもう一つ。


 巡らせるだけでも、霊力は増える。


最初は誤差だと思っていたが、何度も繰り返すうちに確信に変わった。

整えた状態で全身に巡らせると、ほんの僅かだが総量が増えている。

理由は分からないが、流れが安定することで、外から何かを取り込んでいるような感覚がある。


 逆に、雑な巡りでは増えない。


 むしろ減る。


 漏れが増え、無駄に消費するだけだ。


つまり、ただ鍛えればいいわけじゃない。

整えた状態で巡らせることに意味がある。

その理解に至ってから、やることは単純になった。


 丹田に集めて、軽く練る。


 それを全身に巡らせる。


 崩れたら整える。


 また集めて、繰り返す。


地味だが、確実に積み上がる方法だ。

そんな日々を続けていた、ある時だった。


「……やっぱり、おかしいわ」


 聞き慣れた女の声が、はっきりとした違和感を含んでいた。


「何がだ」


「この子の霊力……最初より、明らかに安定してる」


 沈黙。


 少しだけ、間が空く。


「……成長だろう」


「でも、早すぎるわ。まだこの年齢よ?」


「……神無月の血だ」


 短く答えながらも、男の声には迷いが混じっていた。


「巡りも……前はあんなに静かだったのに、今は……」


「気のせいだ」


「気のせいでここまで変わる?」


 今度は、男が答えなかった。


 代わりに、わずかに息を吐く気配だけが伝わってくる。


「……様子を見る」


 それだけ言って、会話は途切れた。


 どうやら、誤魔化しきれなくなってきているらしい。


とはいえ、まだ決定的ではない。異常だと断定されるほどでもない。

ただの「成長が早い子供」で済む範囲だ。


 なら問題はない。むしろ好都合だ。


 このまま、気づかれない範囲で積み上げていく。


丹田に霊力を集める。以前よりもスムーズにまとまる。

軽く練り、形を整える。それを崩さないように全身へ巡らせる。

流れは安定している。無駄な漏れも少ない。

少しずつだが、確実に増えている。

弱いという評価は、もう過去のものになりつつある。


 だが、まだ足りない。


この程度では、ただの「普通より少し良い」程度だ。

目指すのはそこじゃない。

もっと上だ。もっと、根本から変える。


 巡りを極める。


 練りを極める。


その先に、何があるのかはまだ分からない。

だが、進む価値はある。


 ――まだ、足りない。

最後までお読みいただきありがとうございます!


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