紀元3000年代の社会
人々は おおむね 温帯の農業生産に適した地域で暮らしていた。
地球全体が 一つの共同体となり
自然地形によって区分された「郡」が、行政単位としての社会集団を形成していた。
人口密度は 土地の食糧生産力に合わせて調整され、
エネルギーはすべて 太陽・風・潮力・波・水力など自然波動により生み出す電気エネルギー等に依存していた。
この電気エネルギー等というのは、例えば 太陽熱を利用した加熱タイプの調理道具とか 水力や風力を利用した風車・水車により直接物を動かすなど、エネルギー転換ロスの少ない動力・熱源活用が優先されていたからである。
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では、寒冷地帯や乾燥地帯など 食料生産力の低い土地はどのように扱われているの?という疑問を抱く方々も当然いるであろう。
実は このような土地で、工業生産がおこなわれていたのであった。
・砂漠、ここは 雨が少ない=雲が少ない=年中コンスタントに太陽光が得られる
というわけで、地表はすべて 太陽発電パネルで埋め尽くされ、地下で 全世界に供給する各種工業製品がつくられていた。
ちなみに 地表がすべて太陽発電パネルで覆われたので、砂嵐は発生しなくなった。
砂漠を吹き抜ける風は すべて風力発電や 一部、帆掛け走行車(太陽発電と風力走行&風力発電のハイブリッド車)のエネルギー源として利用している。
・一方の寒冷地帯、こちらは、各地から送られてきたエネルギーと資材をもとに
コンピューターネットワークの中心地として 計算機がフル稼働していた。
なにしろ 計算機は発熱する。
温帯で計算機を稼働するならば 冷房は必須。
その点 寒冷地帯ならば 外気を取り込めば冷却ok
どころか 計算機からの発熱がそのまま 部屋の暖房にも使える というわけ。
もちろん 世界の工業生産を支える砂漠地帯と寒冷地帯へは 温帯各地から十分な資源が供給され、
そこで働く人たちの生活にも十分な水と食料とエネルギーが供給されていた。
また 紀元2000年代に計画されたものの実行できなかった、宇宙ステーションや 惑星探査基地における食料合成技術も、古典的農業には向かない 寒冷地や砂漠地帯での食料生産等に活かすことができた。
いわゆる藻類の光合成を利用した ビタミン・ミネラル豊富な食料生産、
あるいは 水中に砂を通すことにより、水中のバクテリアを通して希少な鉱物資源を集めるなどの活動である。
塩湖や北極海沿岸は 海水・塩水から希少な物質をいかにとりだすかという 研究の舞台にもなった。
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先の1000年において なぜ 他の惑星への進出ができなかったか?
答えは簡単、 地球環境の悪化により 地球での生存を際優先せざるを得なかったからである。




