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79.どうする?


 「アマンダの幼馴染?もう1人?」

 「そう、私達の幼馴染ね、正確に言えば」


 知らなかった。小さい頃から私に仕えてくれていたアマンダの事を知らずにいた事に恥じた。


 「……私、あなたの事も何知らなかったわ」

 「私が言わなかっただけですから」

 「でも……」

 「さぁ、ジェシカ様。そんな事はいいのです、急がないといけないのでしょう?」


 私の戸惑いを振り切るようにアマンダはびしっと言った。


「この後どうするおつもりだったのでしょうか」


 そうだ、今はやるべき事をしないと。私はずっと考えていた事を言葉にした。


 「……もう逃げてはいけないと思うの。離婚の事もだけどエイドリアン様とちゃんと話す必要がある。このままでは国自体が傾いてしまう」


 なぜそう思ったのか。

 未だに私に執着するエイドリアン様に禁術の魔法を使うミーシャ様、そして謎ばかりのイリス王妃。ミーシャ様が来たからというもの、悪い方に転がっている。そして、それを仕向けたのがイリス王妃であるのだから、意図的に争い事が起こるように仕向けている気がしてならなかった。

 私の発言にアマンダが慎重に頷く。


 「そうですね。王太子殿下はジェシカ様を取り戻すことに執着されて執務の滞りが顕著に出ています。それに王妃様や陛下も我関せずで諌める様子もないのです。貴族達の一部は王太子殿下への不信感を募らせる一方で、フロント子爵へ匙変更をなさろうとする方々も見受けられました」

 

 私は溜息をつく。

 やっぱりそこも避けては通れない……

 本人はそのつもりがないとはいえ、王家の血を引くのであれば、リオンを次期王へと企む貴族が出てくるのは分かっていた。

 現にもう既に巻き込まれて……アンナが命を落としている。


 「アマンダ……あの、言わないといけないことが……」


 喉がカラカラになって声が掠れた。

 言いたくない。けどこれだけは事実を伝えないといけない。


 「アンナは……」

 

 私の声の震えに気付いたのかアマンダは私を優しく抱きしめてくれた。


 「言わなくて大丈夫です。私達は覚悟の上でしたから」


 彼女の手も震えている気がした。


 「ジェシカ様のために尽くす、そう約束していたのです」


 涙が流れて苦しくなる。こんな私のために命をかけてくれる人がいる事に。

 申し訳なさと感謝の気持ちが押し寄せて私は頷くのが精一杯だった。

 アマンダがポンポンと背中を優しく触れた。顔を見られないように涙を拭いて顔を上げる。

 泣くのは終わってからにしよう。


 「ごめんなさい……話を戻すわね。それで、考えていたのだけれど、私はイリス王妃を調べたいの」

 「王妃様を?」

 「ええ」


 私は例のアンナが見た事を、確かな情報源として2人に話した。


 「まさか、ウォルス伯爵と王妃様が……」

 「何か王妃様達の間で問題があったと思うの。全てはそこから始まっている気がするのよね」


 決して親子関係が良好だとはいえなかったエイドリアン様。これまで私は自分のことばかりだったが、それについて彼を知ろうとした事はなかった。

 もしかすると、愛を知らずに、その寂しさを求めた結果だったのかもしれない。


 私の場合は、兄妹の中での劣等感を埋めるために他者からの承認欲求が強くなり、エイドリアン様へも同じように承認欲を求めたのだと思う。私を認めてくれる相手がいて、それが心地よかったから。それがいつしか恋へ変わって、依存に変わった。

 だから、辛かった。求めることしかしなかったから。


 じゃあエイドリアン様は?

 もし、ご両親からの愛情を感じずにいれば、変わりの物を求めたのではないのか。それが、私のエイドリアン様を求める気持ちと合致して、私への独占欲が生まれた。

 より自分を求めて欲しいと、私が乞うほどそれは満たされた。それが私が離れるといつしか暴力的な押さえつけに変わった。

 

 「エイドリアン様との事を解決するために、イリス王妃とウォルス伯爵の事を調べて、問題を明らかにするべきだと思うの」

 「ケイト、イリス王妃とウォルス伯爵との関係はメイド中で何か情報はないの?」

 「うーん、これというのは……あ、一つだけ。でもただふわっと聞いた事ですけど」

 「何?」

 「王妃様は毎月決まって西の塔へ向かうらしいのです。これは、私のメイド仲間の情報ですが……侍女長と護衛だけの少人数で行くみたいで」

 「怪しいわね」

 「とっても」

 「そこでまさか逢瀬を?」

 「秘密の通路があるとか?」

 

 私達は頭を捻るが考えても情報がないから全く見当もつかない。


 「やっぱり情報が必要ね」

 「そこを調べてみますか?」

 

 ふと私は思いついた事を言ってみた。


 「そうだわ、私が変装してイリス王妃の部屋に入り込めばいいのよ。そして、アマンダが西の塔を調べる」

 「まさかっ」

 「そんな無謀な事無理です」


 2人がぎょっとした顔で私を見た。正気じゃない、そう顔が物語っていた。


 「王妃様は警戒心が強いです。入れるメイドも侍女も限られてます。そこに変装したからといって入る事はできないでしょう」

 「まぁ、そうよね……じゃあ、こうしましょう」

 「?」

 

 私は2人に自分の考えている事を話した。


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