34.閑話(オーラント)
仲良しお二人、書くの楽しいです。
注:下なお話ありますよ
「おい、リオン、リオン!起きろ、しっかりしろよ」
俺はソファでなく、その床に転がる親友を揺さぶった。
「うん?オーラントか」
「どこで寝てるんだ、そしてやりすぎだ」
見渡せば酒のカラ瓶が転がり、珍しく靴下や靴、上着が床に散乱していた。親友は雑にズボンを履き、シャツははだけて、男の俺からしても色気ある姿だった。
わずかに、甘い香りが鼻をくすぐり顔をしかめた。
「お前……」
「ふん、情けないよな」
床に座り込んだリオンはまたもグラスを取る。
「おい、やめとけって」
「これが飲まずにやってられるか?お前だったら女を抱かずにやってられるか?」
「何があった」
「ジェシカ様から贈り物はもう良いとこれを渡された。きっと、俺のことを考えてそうしてくれたことは分かっている。俺が彼女に近づけば、エイドリアン殿下が許さないことを分かって、そうしてくれたことも」
リオンの手には金で縁取られたエメラルドの宝石が埋め込まれた懐中時計があった。
「でも、俺は俺のことなんかどうでもいいのに。彼女の側にいたいのに、それさえも出来ないんだ。ジェシカ様が決めたことだから、尊重したい。けど、それ以上に側で彼女を支えたい……俺はおかしいか?」
「……飲むな」
「いや飲む。飲ませてくれ」
「それで、女を買ったのか?」
俺は後ろの乱れたベッドを見て言った。
「あぁ、そうだ。好きな人さえ触れられないなら、他の女を抱けば、この欲求が満たされる、そう思ったんだ」
それでアンナが連絡をよこしたってわけか。兄貴がとち狂ったってな。
「でもさ、全然だめ」
「何が?」
ちょっと聞きたいような聞きたくないような、思春期男子の気持ちだった。親友の事情、気になるよな。
「女性に触れられても何も感じない、むしろ不愉快だった。口付けなんて以ての外。けど、相手が彼女だと思うと、たちまち元気になるんだ……頭おかしいよな?」
「それで、お前。ジェシカだと思ってやったのか?」
「ふん、まさか。申し訳ないが帰ってもらった」
「勿体無いな、相手も不憫すぎる」
俺が揶揄えば、「好きじゃない奴抱くより1人での方がましだ」なんて珍しく赤裸々に語るから、不謹慎だけど、俺は楽しくなってしまった。
もう、こんなに一途で純粋なやついるか?
まぁ、今日くらい、飲め飲め。
こぽぽぽ、と俺はリオンのと自分のグラスに注ぐ。
「そんで、1人で満足したか?」
「……いや、ふいに彼女の去る前の顔を思い出してしまって、萎えた」
ちっ、なんだ終わりか。もっと、語ってほしいのに。男はそういうの大好きだぜ。
「はぁぁぁ、ジェシカ様、好きです」
「やめてくれ、それは聞きたくない、さすがに兄貴の前で言わないでくれ」
「お前も知っているだろうが、俺はだいぶ変態なんだ、さっき実感した、だから構わない」
「まぁ変態なのは知っている」
「はぁ、好きだ、愛してる、触りたい……」
なんでこんなにも拗らせちゃったんだか。ぶつぶつ呟く親友が不憫で、その日は満足するまで酒に付き合ってやった。
次の日、リオンから物凄い目で睨まれた時は、俺も不憫すぎるって思ったけどな。
神様、どうか、このいたいけな俺の親友を救ってください。
それまでは、なんとか俺が面倒見ますんで。
フロント子爵が救われる日が来ることを願って……
酔ったセンチメンタルな彼を書くのが楽しくて、それは果たして来るのかどうか。
お読み頂きありがとうございます。




