3/3
始まり始まり
「もう出発するのか?レイン。」
「うん。そろそろ行かなきゃ。お師匠様が待ってるし。」
「……そうか。」
「お父様、そんな悲しい顔しないでよー。」
レインは困ったように笑ってみせた。
「今生の別れになるかもしれないって思うとつい……な。」
「ちょっと!失礼ですー。必ず生きて帰りますー。」
そう言って、レインはふてくされる。
「すまん、少し弱気になった。ソータさえも敵わなかった魔王を倒しに行くんだからな……。」
「大丈夫だよ。私たち、強くなったもん。」
くるりと身をひるがえす。
「じゃあ、行ってきます!」
「ああ、いってらっしゃい。」
駆けていく背中は小さくとも、大きなように見えた。
*
「お師匠様すいません!父が別れを惜しんでいて……。」
「大丈夫、そこまで待ってないよ。ったくもう…あの親バカは……。」
顔に手を当て、ため息をつく。
「じゃあ、いこっか。魔王討伐の旅へ!」
ここからが物語の始まりだ。