表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/30

1 籠り

初投稿です、続くかは未定。


※この物語はフィクションであり、実在の人物・団体とは一切関係ありません。


心臓がヤバイ。

めっちゃ、ドキドキしてるし呼吸が苦しい。

マジで死ぬんじゃないのかと思うほど、バクバク鳴ってる。耳か頭か分からんが、血管がドクドクしてウザすぎる。


「ハァハァッハァックソッ」

まずは落ち着くこと、落ち着け落ち着け落ち着け落ち着け。


「すぅーはぁー、すぅーはぁー」

深呼吸して落ち着け。

冷静に慣れ、どんな時でも焦りは禁物だと学んだはずだ。もう失敗はしたくない、俺は成功したいんだろ、そう成功したい。失敗は許されない失敗すれば終わるだけだ。


自分に言い聞かせろ、思い込め、思い込むんだ。俺ならやれる、自分を信じろ、必ず成功して最後まで......と。




小声で呟く

「ふぅーよし」

だいぶ肉体の方は落ち着いてきたな。思考はなぜか頭がフル回転しているし、そこまでパニックや恐慌状態には陥っていない。


まぁ普段運動してない奴が、300mほど一気に走ったらこうなるわな。というか駅からこのトイレまで、走れたのって結構凄くねと思うんだが。火事場の馬鹿力?アドレナリン?


まぁそんなことはどうでもいい。今は状況を把握し整理する事。



この公衆トイレに逃げ込んだのは別に良い、すぐに逃げ込めそうな所は他に無かったはずだ。

いや、正確に言えばあった。今自分の位置からして11時の方向だな、民家が4、5件ある。多分誰かいる。

勝手に入って問題になるのは避けたい。例え緊急事態だとしても、面倒事が発生する前提で動くべきだ。


まだ警察は機能しているはず、そう、機能しているはずだ。通報されたらお母さんに迷惑かかるからまだ、『良い子』でいよう。


警察や自衛隊が、組織的機能を喪失するまでは、大人しくしていよう。まぁ自分が法律を遵守すれば良いだけの話なんだがな。もう誰も守らんよ。



...しかし臭いな。

周りを見渡すと、そこそこ年季の入った壁が見える。パッと見、1990年代後半に建築されたって感じか?地方都市の田舎だし、予算無いのかな、などと適当な考察をしつつドアロックを見る。


そこには、高齢者にでもタックルされれば余裕で壊れそうな貧弱なロックがあった。


「どう考えてもこれ破られるだろ」

立て籠るとかマジで論外。

後ろを振り向くと20cm程の窓があるが、小さすぎて出入りは不可能。

確か自分が今いる場所は、一番奥から2番目の個室だったと思う。


しかし、外からは悲鳴も何も聞こえないな。

電車の中では、あれだけ女子高生の悲鳴やおっさんの雄叫び?がうるさかったのに。

警察や消防のサイレンすら聞こえないってのはどういうことなんだ?電車に乗ってる時は、80人くらいの人達がいたから、誰か通報してもおかしくないんだが。


まぁ脱出できた奴は20人もいないだろう。あんな状況で、冷静に行動できる奴は極少数だと思う。窓側に座っててマジで良かった。


憶測だが、他の場所でも異常事態が起きていると考えよう。何か起こったら人はまずどうするか?

まずは逃げたり、家族の安否を確かめ......そうだ!スマホ!スマホ!現代人のマストアイテム!

いつも後ろズボンの右ポケットにいれてたが......やっぱないか。

クソッ


「はぁー」


俺のゲームデータが、俺の資産が、俺の人生が。


......マジでやってらんないわ。サブが家にあるとはいえ、メイン運用のスマホ落とすとかマジで無いから。

窓から出るときにぶつかったクソ野郎を四股切断してやろうか...。




まぁ待て待て、ちょっと冷静になれ。誰に誰がぶつかったなんて、自分でも覚えていない。電車内はカオスな状況だったしな。


問題はいつ落としたのか、恐らく電車の窓から脱出した時に落ちた、その可能性が高いだろう。あとはどこか走ってるときに落としたか。


電車で落としたと仮定しても、回収しに戻るのは無しだ。またあんなグロい現場に戻るのは絶対に無しだ。

何せまだ、【乗客を喰った奴】がまだいるからな。




俺は、ゾ○ビ映画とかバ○オハ○ードとか少しプレイする方だがあれはヤバイ。やっぱね、実際に生で体験すると足が震えるわ。武者震い(笑)ってやつよ。


見た目がもうね、特殊メイクしているんじゃないかってほど目のクマが黒い。というかあいつら目が充血しすぎだと思うんだが。

見た目だけで言えば、目のクマや充血、あとはふらふら歩行する、奇声、唸り声をあげるといった感じか。


パッと見体調の悪い人にしか見えないだろうから、判別をつけるのは難しい。俺はまだ直接触れたりしていないから、見た目でしか判断できない。


しかし、脳のリミッターが外れて力強い、嗅覚が優れている、噛まれたら【感染】する、全速力で走ってくるとか、海外のメディアで報じていたな。


まぁこれもお約束の展開だな。何で日本のメディアは詳しく報道しないんだろう?まぁ理由は大体予想できるが。

しかし、自分で言うのも何だが俺は人のことをよく見ているな。逃げる時の数分程度の短い時間でよく...。





少し、何が起きたのか思い出してみよう。

電車内で、悲鳴が聞こえたと思えば、いきなりスーツ姿の女性が男子高校生の首に食らいついて、血が噴水のようにプシャァって......うげっ思い出しただけで吐きそう。


やめようやめよう、トイレの臭いとブレンドされて最悪だわ、吐かないけどね。嘔吐したら体力を消耗するから吐かないようにしよう。回復に時間がかかるし。


ともかく血液に接触しなくて良かった、良かった。

恐らくあれが世界で有名な【感染者】という奴なんだろう。日本でもついに来たかって感動するよりは、2ヶ月ほど前からチラホラ全国で小規模な暴動が発生、とニュースでやっていたからそこまで衝撃的ではない。



いつかは来ると思っていたが、タイミングが悪すぎる。

なぜ眼科に行く途中で発生するのか、せめて帰宅途中にしてくれと叫びたい。

「クソガッ」


これでは定期検診が出来ないじゃないか。しかし、今から病院に行きます!なんて.....冗談じゃない、行く訳がない。


今行けば、100%の確率であの【感染者】にエンカウトするだろう。病院には【感染者】が原因で、ケガをした人が搬送されているはずだ。わざわざ自分からアリの巣に飛び込むようなマネなんてしない。


さて、どうするか?現実的な思考をしよう。

まずは持ち物チェック、腕時計、財布と現金約8千円、診察券等のカード類、家の鍵以上。全てポケットの中に入っているアイテムだな。


バック類はもともと持参して来なかったし、無くしたのはスマホだけか......まぁいい。


服装は、灰色のTシャツの上に黒色のジャージを着用、下は青色ジーンズに黒色のスニーカー。

このジーンズ、ダメージ加工のところがそこまで目立ってなかったのに今では少し目立つ印象がある。気のせいか?

まぁただ古いだけなんだけどね。3年くらい着てればこうなるか。何はともあれ動きやすい服装で良かった。


他には...天井の照明に照らされて腕時計の画面が反射している。顔に反射しそう...でしない、地味に気になる。



......。



そろそろ行動しても良いと思うんだが、どうだろうか?と自分に問いかけてみる。確かに、この公衆トイレに閉じ籠ってから40分経過した。もう少しで11時だな、と思うがどうしよう。



......。



よしっ主目的を決めよう。



目的をシンプルにする、これにつきる。


つまり問題を解決するには、シンプルな作戦が成功率を上げる、逆に複雑であれこれ詰め込むのは後手に周り死を意味する、とかどこかで聞いたことがある。

まぁシンプルイズベストとも言うし、分かりやすいやり方で行こう。



数分思考した結果、


主目的、自宅に帰宅すること。

副次目的、可能ならば自動車、銃火器を入手すること。

(目的を達成するのであれば手段は問わない)


以上だな。



俺が【俺】であるために、自分のために【銃】は絶対に必要だ。銃銃銃銃銃銃、銃こそが力の源。


銃火器を早い段階で入手しておきたいが、まぁ無理だろうな。入手するにしても、自宅近くに自衛隊駐屯地があるから、一度は自宅方面に向かわなければ行けない。こちらは期待薄で後回しだ。


それと、家に帰るまでは自動車は入手しておきたい。今は没収されて家には無いからな。あれば行動する選択肢が増えるし、物資の運搬にも便利だ。正直に言うと歩くのが面倒。


出来れば警察等の行政組織に見つからないように...いや、絶対に見つかってはならない、生存率が下がる。理想は死んだ他人の車を拝借するのが望ましい。


今いる現在地から家のアパートまでの距離は3.5km弱、道のりは学生の頃近くのア○トレットに友達と何度も遊びに行ったから「大通り」は覚えている。

ふっ私からしたらこの地形は網羅しているのだ。言わば庭と言ったものよ...。

ただ事故車両や道路工事をしていたら少し面倒だな。


便座カバーから立ち上がり、靴ヒモを結び直す。アイテム類はポケットの中、服やベルトにも異常はない。

確認よし。

「ふぅーよしっ帰るか」


ドアロックを外す前に外の状況を把握、聴覚をフルに活用、......何も音がしない...いや鳩か何かの鳴き声がする。鳥だから大丈夫だろう。

この公衆トイレの横に結構でかい木があるから、そこから聞こえるのだろう。

腕時計で時間を確認、10時51分か、行こう。



ゆっくりと、ドアロックをスライドして、扉を少し引いて外を窺う。

左右確認、出入り口敵影無し、壁に張り付くように通路に出て、音を立てないようにドアを戻す、忍者のように忍び足で、出入り口に向かう。


おっと、その前に洗面台で手洗いうがいをしたい。本音を言うと喉がカラカラだがまだ、飲みたくない。今ここで飲んでしまえば走れなくなるからだ。


手洗い、うがいの前に出入り口のクリアリングを実行。もし異常があればすぐにトイレに退避できるように警戒。左右確認、敵影無し。


ゆっくりと音をたてないように、洗面台の蛇口を捻る。ギィッギィッと意外と大きな音がして体がビクッとなったがさっさと手洗い、うがいをすませて手の水を切る。


エアータオルなんか備え付けてないし、あっても今の状況では危険すぎる。あのヴォッーっていう機械音がデカすぎ。今回はあまり衛生的ではないがTシャツで拭うことをお許しください。




出入り口付近を警戒しゆっくりと外に向かう。 



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ