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ダンジョンからの帰還

 今見ている光景が現実だと認識したくなかった。


 腕が引き抜かれるとシェリルが力なく倒れる。慌てて受けとめ声をかける。


「シェリル!」


「あはは、無駄よ。心臓が無くなったんだし。徹底的に壊したからね。こんなアイテムも無意味よ」


 そう言って守護の首飾りが捨てられた。声の主には見覚えがあった。迷宮の階層で出会った女狐だ。


 俺達は各々魔法を放つが簡単に避けられる。


「今の貴方達じゃ私に勝てないわよ。本当は全員殺したいけど、それよりもこっちの方が優先なのよね。いずれ外で会いましょう」


 そう言って女狐は消えていった。色々気になるがそれよりもシェリルだ。


「シェリル!起きろ、起きてくれ!」


 体を揺らすが起きる気配がない。


「キュキュ」


「たぬ」


 動揺している俺の代わりに、ベルが月の雫をシェリルにかけて、コタロウが聖魔法をかける。すると、目が薄っすらと開いた。


(私は)


 微かに口が開き小さな声が聞こえる。


「シェリル!大丈夫だよな。月の雫を大量に用意するからな」


(…すまない。私はここまでのようだ)


 その言葉が信じられなかった。だが涙が止まらずに流れ落ちる。ベルやコタロウ達もシェリルの体を掴んで声を殺して泣いている。


(せっかく貴様やベル達のおかげで呪いが解けたのにな。油断していた自分が情けない)


 それはむしろ俺の方だ。もっと周りを見ていたら。すぐに隠れ家に戻っていれば。そんな思いが頭の中を埋めていく。


(ジュン・ベル・コタロウ・リッカ・ムギありがとう)


 シェリルは軽く微笑む。


(出会ってからの生活は楽しかったぞ。もっと過ごしたいくらいにな)


 シェリルの言葉を聞き逃さないように黙って聞いていたが、コタロウが我慢できなくなった。


「たぬぬ!たぬぬー!」


 泣きながらシェリルにすがりつく。リッカとムギもコタロウに触発されて同じような行動をとる。ベルは声はあげていないが、涙が止まることはなかった。


(私のためにこんなにも泣いてくれるのか。何だか嬉しくなってしまうな)


 手を無理矢理動かしてシェリルはベル達を撫でる。そして俺の顔を見る。

 シェリルの手が伸びて覗き込んでいる俺の頬に触れる。その手を握ると、微笑むと同時に力が抜けた。


「シェリル!」


「キュキュ!」


「たぬたぬ!」


「ベア!」


「ピヨ!」


 声を掛けても返事がない。呼吸も感じられない。俺達の泣き声だけが響いている。


 それからどれくらいの時間が経っただろうか。数分程度かもしれないし、数時間かもしれない。俺は時間の感覚すらも分からなくなっていた。


 ただ、このままここにいても意味がないと思い立ち上がる。


「隠れ家に戻るぞ。ここにシェリルを寝かせておくわけにはいかないからな」


 俺の言葉にベル達は頷くが、すぐには動かない。

 それでもシェリルを抱き上げて隠れ家に向かう。足取りが重い。


 シェリルを部屋に運びベッドへ寝かせる。こうして見ると眠っているようにしか見えない。


 頭の中では必死に生き返らせる方法を考えてしまう。


 月の雫だけでは効果がない。エリクシルを作れればいいが、他の材料も作る方法も俺は知らない。再生の種は欠損した手足のみだ。内臓の再生や生き返らせる効果はない。


 考えても都合の良い方法が浮かばなかった。

 ベル達もシェリルの側で佇んでいる。


 …このままシェリルを放っておいたら腐敗してしまう。そ唸る前に弔うしかないのだろうか?せめて隠れ家の中に墓を作ろう。


 自分の無力感に打ちひしがれながらもベル達に声をかけようと動き出す。そんな時にムギが何かに気が付いた。


「ピヨ!ピヨヨ!」


 ムギが示すのはシェリルのポケットだった。確かに何かが動いている。

 ポケットに手を入れて取り出すとそれはお守りだった。


 これは女天狗の宝玉だったな。俺も作ったが、せっかくの宝玉だったのでお守りにしておいたのだ。

 何でこれが動いているのかは分からない。

 

 それでも「ドクン」と鼓動を感じた。それだけでなく暖かい。まるで心臓のような感覚だ。


 これが心臓になるのではないか?そんな考えが頭をよぎる。少しでも可能性を上げるために幸運の金貨を取り出して魔力を込める。そして、藁にもすがる思いで宝玉をシェリルの胸の上に置いた。


「うお!?」


 宝玉は輝きだしてシェリルの体に吸収されていく。俺達はその光景をただ眺めていた。


 そして、輝きが消えるとシェリルの状態を確認する。胸が上下に動いている。空気を吸ったり吐いたりする音も聞こえる。


「動いているよな。呼吸もしているよな」


「キュキュ!」


「たぬ!」


「ベア!」


「ピヨ!」


 俺達はそれを見て心底安心した。そして、シェリルが目覚めるまで交代で看病することにした。


………

……

 

 あれから三日間が過ぎた。いまだにシェリルは目覚めない。

 すぐに目覚めてくれると思っていた俺達は不安でいっぱいになる。


「何で目が覚めないんだ?」


 俺はシェリルの横で考え込む。

 呼吸はあるし心臓も動いている。生きている事は確実だ。


「寝ているだけならこれで分かると思ったんだけどな」


 俺は手にした夢喰いに視線を落とす。目が覚めないから何度か夢の中に入ろうとしたのだが入れないのだ。


「キュキュ、キュキュ」


「たぬぬ、たぬぬぬ」


「ベア、ベアベア」


「ピヨヨ」


 項垂れる俺にベル達が寄り添ってくる。不安そうな顔をしながらも俺の事を励まそうと明るい声を出していた。

 …ダメだな。ベル達も不安なのに頑張っているんだから、俺だけが下を向いていちゃいけないよな。


 しかし、何が足りないんだろうな?夢に入れないのは意識が無いからか?…もしかして魂が無いとか言わないよな。


「それならこれが効果的か?」


 俺は鎮魂を取り出した。

 シェリルの胸の上に置き魔力を込める。


「うわ!?」


 鎮魂が淡く光り出す。同時にシェリルの体から、砕かれた宝石のような欠片がいくつも飛び出してきた。そして鎮魂の先に集まっていく。


 少しずつ欠片がくっついて形が作られる。ただ、魔力の消費が激しい。おおよそだが五分の一程度の完成度で俺の魔力は半分以上吸い取られている。


「誰でもいいから、月光水か月の雫を俺に飲ませてくれ」


 魔力を回復させながら修復を続ける。そしてついに完成し、キレイに輝く球体になった。


「できた!」


 完成した球体はシェリルの体の中に戻っていく。

 そして、シェリルの目が開いた。


「…生きているのか?」


 間違いなくシェリルの声だった。

 声を聞いたベル達はシェリルにダイブする。


「おっと」


 皆を受け止めて、優しく頭を撫でていく。


「一体何があったんだ?」


 シェリルは困惑して俺に尋ねてくるが、俺も涙で答える余裕はなかった。


 俺達が落ち着くまでシェリルは戸惑っていたが、それくらいは我慢してくれ。


 そして、落ち着いたところで説明をする。俺が説明している間もベル達はシェリルの膝や肩の上に乗ったままだ。


「そうか。また迷惑をかけてしまったな」


「そんな事誰も思ってねえよ。ところで体は大丈夫か?」


「ふむ」


 体の調子を確かめるように動かし、ステータスを開いて確認する。


「大丈夫そうだ。強いて言うなら、人ではなくなったくらいだな」


「そうか。人じゃなくなったのか。…は!?」


「そんなに驚くな。魔物の力を体に取り込んだのだから当然だろう」


「いや、でも、それって」


 完全に俺のせいだよな。


「そんな顔をするな。本当は魂まで砕かれて消えるはずだったのだ。それが新たな力を得て復活できたから喜ばしい事だ。それに人が別の種族になるのは珍しい事ではない。獣人や竜人も似たようなものだしな」


 そんなものなのだろうか?まあ、本人が良いと言うなら気にしないようにするが。


「それとも貴様は人でなくなった私を娶る事はできんのか?」


「いや、そんなことは無いぞ。というか、あの時の話って有効なんだな」


「私は噓は言わんぞ。あんな約束を守ってくれたんだしな」


 そう言ってクスクス笑ってくるシェリルに安堵した。もちろんドキドキもしているが、まだ生き返ってくれた安心の方が強いらしい。


「それよりも今後のことだ。武器はともかく、私も貴様も防具がボロボロだ。修復にはどれくらいの期間がかかるか分かるか?」


「分からないけど、すぐじゃないことは確かだな。…よし。最後の運試しでもするか」


 どうせ一回だけ残しても使うタイミングで困るんだ。それなら今使うべきだ。俺は幸運の金貨を取り出して魔力を込める。そして、今日の分のガチャを引いた。


 名前:鹿王の角

 鹿系の魔物の素材で作られた武器や防具をパワーアップさせる。


 名前:冥竜の革鎧

 冥竜の皮で作られた鎧。並大抵の攻撃ではダメージを与えられない。身体能力・魔力を上昇させる。


 名前:魔導船

 空を飛び海中にも対応している。中は空間魔法で広くなっており色んな設備が整っている。外敵に対する攻撃手段もあるが、隠密機能の高さの方が目立つ。


 名前:隠れ家のオーブ(カスタム 医療設備)

 隠れ家の機能を増やせる。


 名前:契約の印鑑

 約束事を紙に記し、この印鑑を押すと契約が成立となる。契約を破った者には大きな罰が下される。


 名前:朧(槍)

 身体能力・魔力が向上する。また気配や姿を隠すことができ、相手に認識された後も霞がかかったようにハッキリとは見えなくなる。


名前:果樹園

 任意の場所に果樹園を設置できる。色んな果実が実り、味は極上品。手入れは不要で、樹に実っている間が腐ることは無い。収穫後は一週間程で実る。 


 名前:ミラージュハウス

 魔力を流すと自身と指定した人物たちを蜃気楼が包み込み家の中に案内される。次元の隙間に隠れているため攻撃が当たらなくなる。


 名前:宝酒(二十本)

 市場に滅多に出回らない酒。人気が高く、貴族が大枚をはたいて買っている。


 名前:安眠寝具

 この寝具で寝ると翌朝には疲れが吹き飛び最高の状態で目覚められる。


 防具は手に入ったが、他のアイテムもとんでもない物ばかりだな。ミラージュハウスと安眠寝具が被ったが、どちらも価値が高いものだし、欲しがる人も多いから困ることはないな。


 しかし、医療設備はもう少し早くほしかったな。

 

「どうだ?」


「被ったアイテムも出てきたけど、防具も手に入ったよ」


 冥竜の革鎧を取り出してシェリルに渡す。俺は昔に買ったトライデントティアの革鎧と鹿王の角を確認する。


「貴様はいつも想像以上の物を出してくるな。全てが竜の素材で作られている防具など買ったらいくらするか。単純な防御力なら不死鳥のドレスよりも上だな」

 

 呆れながらも慣れた様子だった。ちなみに、トライデントティアの革鎧はパワーアップさせると基本的な性能が上がり、体力以外にも魔力も回復するようになった。また、装備しているときは回復魔法が使用できるらしい。


「どちの防具も十二分な性能だな。ところで他にはどんなアイテムが手に入ったんだ?」


「被ったのはミラージュハウスと安眠寝具だ。武器は隠密性が高い槍。後は契約を守らせる印鑑、隠れ家の医療設備、珍しい酒、果樹園、魔導船だ」


 ついでに話ながらオーブは割っておいたので、いつでも見に行ける。


「…魔導船だと?」


「確認するか?果樹園も作りたいから外に行きたいしな」


「果樹園は構わんが、魔導船は今はいい。驚き疲れる。それにしばらくは出番もないだろうしな」


「まあな。タカミの街に戻って一段落してからにするか」


 魔導船は後日確認する事にして、皆で外へと向かう。まずは果樹園の作成だ。ベル達は果樹園と聞いてウキウキ状態だ。どんな果物かは分からないが、喜んでもらえるならありがたいことだな。


「キュキュ」


 作って欲しい場所があるのかベルが俺達を先導する。着いた場所は月光樹の側だった。


「ここに作って大丈夫なのか?」


「植物関係はベルを信じていいのではないか」

 

 少々心配だったが果樹園を設置してみた。すると果樹園の真ん中に月光樹があるような形で出来上がった。


「キュキュ♪」


「たぬぬー♪」


「ベアー♪」


「ピヨ♪」


 沢山の果実に喜びの声が響き渡る。名前も知らない果実だが、適当に食べてみると、冷たく口の中にほどよい甘さが広がる。


「へー、この世界の果物は初めて食べたけど結構美味しいな」


「今食べたのはコルコロという果物だ。寒い場所でしか収穫できない果物のはずなんだがな。他にも栽培が難しい物が一杯だな」


「…まあ、ベル達が幸せそうだしいいんじゃないか」


 俺は考えるのを諦めることにした。シェリルも「そうだな」と言うと、近くの果物を手に取り齧りつく。


「確かに美味いな。ところで、この後は何かするのか?」


「特に予定はないぞ」


「なら修練場を使わせてもらうぞ。戦いの勘を取り戻しておきたいからな」


 俺達もシェリルに着いていき、戦い方を見せてもらうことにした。


 シェリルの戦いは見事なものだった。今まで呪いで力を封じられていた鬱憤を晴らすような強力な技もあれば、技術で戦う上手さもある。


 一つ一つが強力な多種類の属性を同時に操り、相手の動きを操作する。ソウルイーターの鋭さも増しており、簡単には魔物を切り裂いていた。


 そして、今はキーノと戦っている。キーノの動きは相変わらずとらえどころがない。見えているのに掴まえられない感じだ。また、多彩な技や精神系の攻撃も厄介だ。


 だが、シェリルはそんなキーノに対して押し勝っている。動きは障害物を作成して制限し、多彩な技には多彩な魔法で対応している。以前受けたトラウマの攻撃も効いていない様子だ。


 キーノが焦りだした所で、シェリルは宵桜に切り替える。今度はシェリルが翻弄させる番だった。宵桜を振るだけで攻撃・移動・幻覚・分身が起こるので、キーノもついていけなくなった。


 それでもキーノは意地を見せる。凝集した魔力をシェリルに向けて放ってきた。


 シェリルは不敵に笑みを浮かべると、魔力で作られた翼を出した。直接背中から生えているわけではなく、少し離れた位置で浮いているが大きな翼だった。


 その翼がシェリルを包むように閉じる。キーノの攻撃は翼に防がれてしまう。


 悔しがるキーノをよそに、シェリルは翼で滑空してキーノに止めをさした。


「強いな」


「それでも上はいる。慢心したらすぐに後ろから追い越されるしな」


 そう言いながらも、存分に戦えた喜びからか機嫌が良い。


「なら俺も頑張らないとな。今度手合わせしてくれよ」


「ああ全力で戦ってやろう」


「キュキュ」


「たぬ」


「ベア」


「ピヨ」


 ベル達もやる気満々だった。そしてなぜか、俺・コタロウ・リッカ・ムギの四人対シェリル・ベルのペアで戦うことになった。力の差は歴然だがやるしかない。まだ日はあるから頑張ろう。


 そのまま少しの間俺達も特訓することにした。


………

……


「さて、いい時間だし温泉にでも入るか」


「そうだな。久しぶりにさっぱりしたいな」


 そんな訳で俺達は温泉へと向かう。色んな物から解放された気分だから今日は気持ちよく入れるだろうな。


「あー、いい湯だ」


 体を洗い露天風呂にゆったりと浸かる。


「キュキュキュキュ♪」


「たぬぬぬぬ♪」


「ベアベア―♪」


「ピヨヨ、ピヨ―♪」


 ベル達は互いに水を掛け合って遊んでいる。

 お風呂で遊ぶ光景も久しぶりに見た気がする。


「まだダンジョンの中にいるが、日常が戻ってきた感じだな」


 隣に座るシェリルがベル達を見ながらそう呟く。


「本当だよ。シェリルが倒れている間は、風呂に入っても皆静かだったからな」


 今の光景からは考えられないけど。シェリルが心配で体を洗ったらすぐに上がっていたな。


「そうか。心配をかけたみたいだな」


「まあ、今は元気なようだしいいけどな」


 タイミングよくリッカが俺達の側を泳いでいた。シェリルはリッカを抱き上げて撫で始める。


 するとベル達も寄ってきて、さらに賑やかになった。


 風呂から上がると食事を済ませて、ベッドへと向かう。食事は宴会でもしたかったが、結局はダンジョンを出てからということになった。


 ベッドに入るとベル達も側に寄ってくる。久しぶりの全員での睡眠はとても心地が良かった。


―翌日


 俺達はダンジョンから出るために八十階の攻略を開始することにした。途中で邪竜のドロップアイテムを回収して八十階に向かう。


「案外普通のドロップアイテムだったな」


「だがどれもオークションレベルだぞ。皮は防具に、爪と牙は武器になるだろうからな。今までの邪竜の分体達は消えていたから、初の素材だしな」


「何か騒ぎになりそうだな」


「最高到達階を更新した時点で騒ぎになるから今さらだな」


 話をしているうちに八十階の扉にたどり着いた。八十階は久し振りに全員参加だ。基本は俺とシェリルが前に出て、ベル達は後ろから戦う形になる。


 竜喰らいが無くなったのはいたいが、集束の短剣を活かして戦うつもりだ。コタロウ達も邪竜との戦いを経験しているから、竜に怯えることもないだろう。


 不安はあるが俺は意を決して扉を開ける。

 扉の先はには平原が広がっていた。


 出てくる竜達は複数の属性持ちだった。水・風・雷を操る嵐竜。火・地を操る火山竜。火・氷を操る氷炎竜など様々な竜達がいた。


 どの竜も簡単ではなかったが、シェリルも全力を出せ、邪竜に勝った自信と全員が揃った安心感からか、士気が高く順調に進んで行く。


 数日程時間がかかったが、俺達は試練の部屋の扉までたどり着いた。

 中に入ると予想通り竜がでてきた。名前はエレメントドラゴン。複数の属性を持つ竜だ。火・水・風・土の四大元素以外にも雷・氷・光・闇も持っているようだった。


 エレメントドラゴンの攻撃はシェリルが属性を見極めて有利な属性で迎撃している。後はこちらが数やその他の属性の魔法を駆使して勝利を得た。ドロップアイテムは盾で宝箱からは杖が出てきた。


 名前:エレメンタルシールド

 八属性の攻撃に対して強い効果を持つ盾。見かけよりも軽く使い勝手が良い。


 名前:死霊の魔杖

 魔力を強化しアンデッドを操る能力を待つ。


「盾か。もう一つあるけどあんまり使えないんだよな」


「売買・交換・ポイント。使わなくても利用手段は多いのだから収納しておけばいい」


「そうだな」


 盾と杖を収納して俺達は扉の前に立つ。ここが最下層ならこの先にダンジョンコアがあるらしい。


「それじゃあ開けるぞ」


 ゆっくりと扉を開けると、そこにはさらに下へと続く階段があった。

 少し残念な気分だ。ダンジョンコアもそうだが、竜以上の魔物か環境が待っているという事だからな。


「竜の巣が最下層では無かったのだな。この先の魔物の予想がつかんな」


「天使や悪魔か?」


 竜以上となるとそれくらいしか思いつかないな。

 俺達は警戒しながら慎重に扉を開けていく。


「…」


 初めに見た時は、のどかな草原で色んな鳥が飛び回っていると思った。しかしよく見るとそれは違う。普通の大きさの鳥もいるが、竜並みの大きさの鳥もそこら中にいる。しかも集団でだ。…可愛らしい雛鳥もいたが、その周りにはバチバチと帯電している鳥や七色の炎をまき散らしている鳥などもいる。


 俺達はそっと引き返して扉を閉めた。


「さあ、魔法陣から帰ろうぜ。この先に用は無いしな」


「賛成だ。竜と変わらない危険度の魔物が多すぎる。竜は単独行動や少数行動だが、奴らは集団行動だ。私達でも厳しいだろうな」


「本音を言えば少し残念だけどな。まあダンジョン制覇が目標じゃないし、無理することも無いもんな」


 俺達はもと来た道を引き返して魔方陣から地上へと戻った。

 あー、ようやく終わった気がする。

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