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ブックメーカー ~異世界では好きに生きてみたい~  作者: 北村 純
初めての異世界生活
11/92

決着と道中

「ルールを確認するぞ。勝敗は意識を失うか負けを認めた時で殺すのは厳禁だ。それと武器やアイテムの制限はなしだ。ただし今回は従魔は禁止とする。ギガンスト結界を頼む」


「おう」


 ギガンストと呼ばれた男が結界でリングを作ってくれた。これで俺達の攻撃が外に漏れることは無い。ギャラリーもいるから当然の措置か。


 俺とシャイニーは互いに武器を構える。シャイニーは剣で俺は短剣だ。

 シャイニーの剣は戦う前から光を放っている。


「始め!」


「この戦いで君に現実を教えてあげるよ」


 光で作られた剣を何本も飛ばしてきた。俺は第六感を働かせてその攻撃を避けていく。それと同時に水のボールを放っていく。


「遅いね。威力も中途半端だし、それで勝つつもりなのかい?」


 シャイニーは余裕の表情で避けている。

 そんなシャイニーの様子を見ながら“光の剣”のメンバーは何か喋っている。


「さすがシャイニーだな」


「当たり前だ。俺達のリーダーなんだからな」


「うーん。ボクも魔法だけでも肩を並べたいね」


「私達ならなれますよ。シャイニーと一緒に歩んでいきましょう」


「従魔も参戦可能でしたらすぐに決着はついていますのに」

 

 シャイニーが負けるとは少しも思っていない様子だ。

 でもシャイニーは言うだけあって強いとは思うが、アーミーベアの大群に囲まれた時の方が絶望感があったな。


「キュキュキュー!」


「たぬたぬ!」


 よく知っている声が聞こえてくる。ベル達が俺を応援してくれていた。周りの冒険者の何人かは、戦っている俺達よりもベル達を見ているのは気のせいではないだろう。


「避けてばかりだね。攻撃してこないのかい?」


 魔法が全然当たらないことにしびれを切らしたシャイニーは接近戦を仕掛けてきた。


「はっ!」


 勢いよく剣を振るうがそれも躱す。そして左手で握っていた悪臭玉を破裂させる。


「おぇっ!?」


 シャイニーはその場で崩れ落ち、嘔吐しながらその場でのたうち回る。

 俺は距離を取り清潔の指輪の力で自分を洗浄する。そして風魔法でシャイニーの四肢を拘束し、臭いも周辺に集めておく。


「負けを認めるなら手をグーパーし続けろ」


 聞こえているはずだが負けを認める様子はなく手は拳を握り続けている。正直この時点で俺の勝ちでいいと思うんだけどな。


「「「「「シャイニー(様)」」」」」


 外からシャイニーを応援する声が聞こえるが本人はそれどころではないだろう。

 本当は負けを認めてくれればよかったんだが仕方がない。


 水魔法のボールをシャイニーの顔に留める。呼吸ができずもがき苦しんでいる。そして腹には風を圧縮した玉をぶつけ続ける。

 

「おい!男らしくないぞ」


「酷い」


「この悪魔!」


 外野が文句を言っているが気にしない。俺は常に本気で戦うが正々堂々戦うとは限らない。死んだら終わりなのだから、強い相手には手段を選ぶつもりは無いんだよ。

 ただ、そんな中で結界を通り抜けてきた存在がいた。


「よくもシャイニー様を!!」


 シャイニーの従魔のアンリだった。明らかに俺に敵意を向けて魔法を放とうとしていた。

 しかしそれは不発に終わる。ベルが結界に穴をあけて侵入し、アンリに対して植物魔法を使用したからだ。草原に伸びている小さな草は、ベルの魔法で成長してアンリを締め上げている。


「な!?低級な魔物程度が私を」


 もがいたり魔法を放つが草はほどけない。そして草はアンリの魔力を吸っているようだった。

 シャイニーの動きが止まると同時に、アンリの動きも止まった。


「それまでだ」


 動きが無くなると同時に終了の合図が聞こえる。俺は拘束も水も解除した。ベルも同じように魔法を解いていた。


「「「「「シャイニー、アンリ」」」」」


 シャイニーの仲間が駆け寄っていったが、臭いのせいで直前で止まった。


「お前何をした!?」


「アイテムだよ。視覚と聴覚は警戒されているけど、嗅覚はあんまり警戒されていないから効果的なんだよな。ああ、大量の水で臭いは落ちるぞ。聖魔法でもいけるんじゃないか」


 エリックとクミンが聖魔法を使う。臭いは薄れているようだが時間がかかっている。見ている限りだがコタロウの方が上手に魔法を使える気がする。


「キュー♪」


「たぬ♪」


「応援ありがとうな」


 俺の側にはベルとコタロウが駆け寄ってきた。二匹を抱き上げ喜びを分かち合う。


「今の勝負は無効です。あんなの冒険者の戦い方ではありません!それに従魔の参加は禁止のはずです」


 リアネはヒステリックに叫び戦いの無効を主張する。

 周りの冒険者は冷めた目でリアネを見ていた。


「ジュンの戦い方には何の問題もない。従魔の参加も先に破ったのはシャイニー側の方だ。それに、ジュンの従魔はシャイニーには何もしていない。よって勝負は有効として、シャイニーは金貨三枚の支払いと“光の剣”とリアネは俺の決定に従うことになった」


「そんなの認められません。そもそもなぜあなたの決定に従うという条件になったのですか。もしかして貴方達は組んでいたんじゃ」


「俺とディランさんは今日初めて会話したぞ。条件にしたのは、いざという時に命令系統がいくつもあると面倒だからだよ」


「ふふ、今会話が初めてと言いましたよね。会ったことが初めてではなく」


 言葉尻を捉えて笑っているが、バカだろコイツは。


「ギルドに通っているんだから、見たことくらいあるだろ。周りがざわつくから印象に残るしな」


「それに何の関係も無い事だな。条件は守ってもらうぞ。ここにいる冒険者全てが証人なんだ。約束を破るようなら、ギルド職員であっても覚悟してもらう」


 ディランさんが睨みを利かすと大人しくなった。“光の剣”の連中も静かになっている。

 全体が静まり返っていたのだが、女性の笑い声が響いた。


「フフ、ハハ、アハハハハ」


 笑い声の主は仮面の冒険者のシェリルだった。最初は我慢していたようだが、我慢できなくなったみたいだ。


 ギルド職員も冒険者もシェリルの笑いに驚き固まっている。ディランさんも例外ではなかった。


「ジュン。貴様は面白いな。あの流れでこんな戦い方をするとはな。それにベルと言ったな。その従魔も素晴らしいな。“光の剣”とやらよりもAランクが期待できるぞ」


「何だとテメェ、魔法も使えない無能が!俺達がそいつより下だというのか!」


 その言葉にアークフットが切れて槍を持ってシェリルに襲い掛かった。

 この連中の沸点低くないか。


「つまらんな」


「は?」


 勝負は一瞬だった。シェリルは懐から扇を出すと槍を受け止めてみせた。そして茫然としているアークフットを軽々と投げ飛ばす。


「魔法が使えなくとも三下に負けるはずがないだろう」


「呪われた魔女め。どうせお前なんかもうすぐ死ぬんだろうが!」


 すて台詞を吐いたが、シェリルに響いた様子はない。もはや視界にすら入っていない

 

「とりあえず余興は終わりだ。そろそろ出発するからな。ジュンと…シェリルも別の馬車に移動してもらう。予備の小さい馬車だが我慢してくれ」

 

 俺達は別の馬車へと移動する。

 シェリルもアイツ等と同じ馬車は無理だと判断されたようだ。新しい馬車は大きくはないが二人とベル達なので十分な大きさだ。


 馬車の中ではシェリルが自然と隣に座ってきてコタロウを膝の上に乗せている。コタロウは撫でられて満更でもない様子だった。


「貴様は何時もあんな戦い方をしているのか?」


「大体はそうだな。水で窒息させると外傷が少ないんだよ」


「確かにな。ゴーレム種や水棲の魔物には効かないが効果的な戦い方だな」


「それにしてもさっきと性格が違う気がするんだが」


「私はこんな性格だ。貴様等が面白いから、もう少し話をしたくなっただけだ」


 何か知らんが機嫌が良さそうだった。仮面を着けていても笑っているのがよく分かる。


「そんなに面白いか」


「一級品の装備を持ちながら変則的な戦いをする男、光の上位精霊を圧倒する力を持ったリスの従魔、光の魔法を使う狸の従魔。力を持ちながらも野心を持たずにいるのだ、興味くらい持つだろう。ついでに食べたことのない甘いパンなども持っていたしな」


「そうか。それなら俺も一つ聞いて良いか」


「何だ?」


「呪われた魔女って何だ?」


 デリカシーが無いのは理解しているが、それでも気になってしまったのだ。

 だが俺の心配をよそにシェリルはあっさりと答えてくれた。


「何だそんな事か。私は元々はAランクの冒険者で王都のクランに入って危険な依頼をこなしていたんだ。一年ほど前に、依頼でとある村に滞在していたんだ。その時に邪竜が襲来したんだよ。退治には成功したんだがその時に邪竜に呪われてしまってな、魔法が一切使えなくなってしまったのだ。そして、この呪いは全身に痣が広がると死ぬと言われている。これがその証だ」


 そう言って仮面を取って見せてくれた。顔の三分の一が黒い瘴気の様な痣で覆われていた。

 それでも美人だと思って見惚れてしまった。痣が無ければかなりモテていただろうな。


「今は体の大部分にも痣が侵食している。魔法が使えなくなった時点でクランは追放。持っている装備や金品も没収された。おかげで苦労したぞ。今の装備も安売りの品だしな」


「呪いは解けないのか?」


「色々なアイテムを試している。“聖者のロザリオ”“女神の涙”“天使の魔法陣”“清めの聖水”などの高位のマジックアイテムだな。その他にも教会の上の者による祈祷や儀式を行ったが進行を一時的に止めたり遅らせるくらいだったな。まあ、使っていなければ今頃死んでいるがな。後はダンジョンにでも潜って奇跡的な確率で解呪アイテムを探すしかないな」


 笑いながら話しているがどこか悲しそうな雰囲気を漂わせていた。


「言いにくい事を聞いて悪かったな」


 俺はシュークリームを取り出して全員に渡した。


「む。これも甘くて美味いな」


「キュ♪」


「たぬ♪」


 これも好評だった。少しでも気分転換になってくれればいいけど。


「ふむ。酒もいいがこのような甘い物も良い物だな」


「酒が好きなのか?」


「ああ、酒は何でも好きだぞ。エール・ワイン・蜂蜜酒・果実酒とな。つまみがあれば尚更だな」


 酒好きか。機会があれば一緒に飲みたいな。ロマネコンティも消費したいしな。


「それと分かっているとは思うが“光の剣”には気をつけろよ」


「勿論。しかし何であんなに突っかかってくるのかな」


「アイツ等は耳触りの良い言葉を使っているが、結局は自己顕示欲が強いだけだ。言っていることとやる事は違うからな。だから街で評判になっている貴様が気に食わなかったんだろう」


「俺そんなに評判なのか?」


「店の手伝いだと思うが、店先で従魔に大道芸をさせる冒険者など初めて見たぞ。そのリスと大食い対決もさせていたよな」


 俺はシェリルから視線を逸らす。思い当たる事ばかりだ。客引きのためにコタロウに大道芸を教えたら上手だったし、ベルも大食い対決は積極的だったからな。


「…最初は冗談半分だったけど、思った以上に人気がでたんだよ」


「分からんでもないがな。だが形はどうあれ貴様の人気は高い。素材の品質の高さも少しは有名だがな」


「それって、俺よりベルとコタロウが人気だよな。…ああ、だから手放せとか言ってきたのか」


「だろうな」


 そのまま馬車は出発する。会話が続くわけではないが、先程までの馬車より圧倒的に居心地が良い。長い時間馬車に揺られることになったが問題が無かった。

 そして夕方になる。


「今日はここで夜営となる。各自テントを張って夕食にしろ。寝ずの番は既に声をかけているから、声をがかかっていない者は気にせず睡眠をとるように」


 馬車は止まり野営をすることになった。

 さすがに隠れ家には入れないので、俺はワンタッチ式のテントを購入して広げてみる。


「結構中は広く感じる物なんだな。一回り小さいサイズでも良かったかもな」


 それから布団一式を購入してテントの中に敷いておく。

 初めは寝袋にしようと思ったが、寝袋だとすぐに動けないので普通の布団にした。


「さてと、メリルさんには挨拶をしておくか」


 準備ができたところで、俺はメリルさんの所に行くことにした。庇ってくれたお礼くらいは言っておかないとな。


「あれ?ジュンさん。それにベルちゃんとコタロウちゃんも」


 ギルド職員のいる場所に向かうとすぐにメリルさんは見つかった。

 リアネという職員は丁度良くいないようだった。


「休憩の時はありがとうございました。せっかく忠告してもらったのにあんなことになって申し訳ないです」


「気にしないで下さい。むしろ謝るのはこちらの方です。本来は中立の立場のギルドが片方の肩を持つ形になってしまって申し訳ありません」


 互いが謝るような形になってしまった。

 二人ともおかしくなり笑ってしまう。その後はベル達も交えて他愛のない話で時間を潰した。


「それじゃあ俺は戻りますね」


「ええ気を付けて下さいね」


「おーい、ジュンじゃないか」


 よく知っている声が聞こえたので振り向くとガンツさんがいた。


「ガンツさん。どうしてここに?」


「俺はCランクの冒険者だから選ばれたんだよ。それに昼の戦いでお前がいる事を知ってたからな。夕飯でも一緒に食おうと思って探してたんだよ」


「おう、俺達も一緒にいいか」


 今度は三人組もいた。彼らもCランクの冒険者らしい。結局、俺達は一緒に夕飯を食べる事にした。四人は何も気にしなかったので、シェリルも誘ってみたのだが断られてしまった。

 

 少々残念だったがガンツさんのテントに行くと良い匂いがしていた。ガンツさんが用意してくれたビーフシチューのような料理で、肉や野菜がゴロゴロしており美味しく食べながら雑談していた。

 

 しかし強面達に囲まれての食事。周りからは凄い光景に見えるよな。


「いやー、お前の戦い面白かったぜ。水で窒息させるとはな。あのやり方なら獲物に傷はつかないよな。俺も水魔法が使えれば料理の素材の質が上がるんだがな」


「確かにあれは面白かったな。だが俺はやっぱり作った悪臭玉の活用が印象的だったな」


「あれは地獄だっただろうな。俺とバーンは被害を受けた事があるからよく分かるぜ」


「そうだな。あの時はパッチを殺してやろうかと本気で思ったぜ」


「…悪かったよ」


 話は盛り上がっていく。ベルとコタロウも四人に構ってもらいながら料理を美味しくいただいている。


「しかしジュン、この依頼中は気を付けておけよ」


「何をですかクロスさん?」


「“光の剣”の連中だ。プライドの高そうな奴だったから何かしてくるかもしれんぞ」


「一応警戒はしていますよ。まだまだ悪臭玉は残っていますし」


「そうだ。お前に言おうと思っていたんだが、今後悪臭玉は売らないことにした」


「え!?」


 俺の切り札の一つに考えていたのに。


「あれな。悪用されるとヤバいことになるんだよ。お前が一番わかるだろう」


 ああ、確かに実力があっても直撃すると戦闘不能になるもんな。残り香も凄いし。


「ただ、その代わりになる物は作った」


 パッチさんは十個ほどの玉を渡してきた。


「これは?」


「刺激臭を発生するようにしてみたんだ。これなら、臭いを落とす必要は無いからよ。それからこれが最後の悪臭玉だ」


 プラスで悪臭玉を二十個ほど貰った。

 …節約して使わないとな。


「ありがとうございます」


 残念だが仕方がない。だけど刺激玉も十分使えそうだから試してみよう。


「そろそろ時間だな。名残惜しいがお開きにするか」


 楽しい時間はあっという間に過ぎるものだ。俺達は良い気分で自分たちのテントに戻る。

 テントの中ではベルとコタロウと少しトランプで遊ぶ。不謹慎ながらキャンプ気分でちょっと楽しくなってしまった。


―緊急依頼二日目


「今日は何が出るかな?」


 テントの中で恒例のガチャを引く。すると今日は十連ガチャの表示があった。


「!?」


 思わず叫びそうになった口を無理やり押えた。そして、自分の心臓の鼓動が早くなっていくのがよく分かる。

 一度深呼吸をしてから再び画面を見つめる。演出は終わっていたようで、ゲットしたアイテムが表示されていた。


 名前:シャドーダガー

 魔力を込めることで短剣を創造できる。創造した短剣は自らの意思で操る事ができる。


 名前:雷獣槍

 身体能力の向上に加え雷の魔法の威力が上がる。また、雷で動物を作ることができ作られた動物は主人の命令に従って動く。


 名前:グレートアックス

 身体能力が上昇する。一日に一回だけ防御不可能の一撃を放てる。


 名前:ミラーシールド

 高い防御性能を持っている。確率で魔法を反射させる。


 名前:プロテクショングローブ

 物理・魔法耐性を高める。魔力を込めることで結界を発生させる。


 名前:魔獣の手甲

 物理・魔法耐性を高める。魔力を込めることで鉤爪が伸びる。攻撃力も高い。


 名前:アサシンブーツ(男性用)

 気配が察知されにくくなり足音が出なくなる。また、移動速度が上昇し魔力を込めることで水の上や壁なども走る事ができる。


 名前:神獣の靴(女性用)

 走る速さと魔力が上昇する。また、身に着けていると魔力が少しずつ回復していく。

 

 名前:武具箱

 箱を開けると武器が入っている。中の武器の種類は選択可能。


 名前:宝石箱

 中には色んな種類の宝石が詰まっている。入っている宝石は魔力を増幅させたりため込む効果がある。


 当たり外れが激しすぎる。十連ガチャの当たり感が半端ない。普段はすぐに買える物がほとんどだが、十連になるとすぐには買えなさそうな物がほとんどだ。


「でも使わない物があるのはもったいないんだよな」


 雷獣槍・グレートアックス・ミラーシールド・神獣の靴・ソウルイーター・不死鳥のドレスだ。効果はかなりいいから持っておきたいけど使えないからな。


「まあ、仕舞っておくしかないか。使ってやりたいけどな」


 とりあえず俺は新しく魔獣の手甲とアサシンブーツを着用した。プロテクショングローブも悩んだが、鉤爪が出てくる所に惹かれて手甲の方にした。それにしても特殊効果付きの装備は自然とサイズが変わるのだろうか?問題無く体にフィットする。


「キュキュー♪」


「たぬたぬ♪」


 手甲とブーツを履いた俺をベル達が褒めてくれる。

 照れるが嬉しいものだ。俺は上機嫌で朝食を準備して、テントの中で頂いた。


 朝食終えると移動の準備になる。テントを仕舞ってから馬車へと乗り込み出発するのを待つ。しばらくするとシェリルも乗り込み馬車は動き出した。


「貴様、昨日より装備が充実していないか?」


「…“光の剣”に奇襲をかけられてもどうにかできるように気合を入れたんです」


「まあ追求する気はないがな」


………

……


 馬車移動二日目は何事もなく無事に終わった。本来はこれが普通で初日がおかしいんだよな。何事も無ければ、明日は目的地の近くに到着するはずだ。


―緊急依頼三日目


 馬車に乗っていると昼でも夕方でもないのに止まりだした。

 周りの馬車から人が降りているようなので俺達も馬車を降りる。

 森から少し離れた場所に止まったようだった。


「全員集まれ」


 降りるとすぐに集合がかかる。前にはディランさん達が立っていた。


「先行した偵察部隊からの情報が入っている。住処は洞窟ではなく森を切り開き、周りに土魔法で壁を作り村のようにしている。やはりキングの存在は確認された。それとジェネラルが十体以上。ソルジャー・ナイト・ウィザードなども多数確認という事だ。それから確認はできなかったが、村を作っていることからセージもいる可能性が高い」


 結構ヤバい集団になっているな。どんな作戦で行くんだろうか?


「今回は想像以上の規模の討伐になる。念のために他の街のギルドにも救援依頼は送っているが、到着までは三日以上かかるだろう。可能な限り俺達で討伐を行う。捕まっている人がいない今がチャンスでもある。それぞれに役割を振り分けるから、指令を確認してから行動してくれ」


 それじゃあ少し待っていればいいか。

 他の人と同じように一度馬車へと戻る。


「ベル、コタロウ。ここからは強い魔物が沢山出てくるから無理だけはするなよ」


 俺はベル達に声をかけて、指令が来るのを待つことにした。

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