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異世界なんてクソくらえ  作者: 寝返り子猫
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 煙が薄れていく。エイリの思考。

(そ、そんな!)

 そこには立っている魔王の姿がある。

「うれしい、うれしいぞエイリ」

「ばかな。おれの魔法をまともにくらったはず」

「だがな、むなしいかな、しょせんは人間。お前も気づくことになるだろう。上には上がいるということを」

 魔王を包み込む煙が完全に消えた。そこには不敵に笑うアオミの顔の魔王。

「アオミ。目を覚ませ!まだわからないのか」

 そう声をかけるエイリを、あざわらうかのように、アオミの姿がみるみる変わっていく。

 頭に角が生え、髪の色が赤色に変わる。背中から羽が生えた。両手足に、まんじのタトゥーが現れた。さらに体毛が獣のそれのように濃くなっていく。

 バサバサと、音をたてて宙を舞うそれは、もはや人間の姿をなしていない。

 ガクガクと、震える自身の身体を押さえることができない。エイリの思考。

(とまれ。おれの身体とまれ)

 武者震いとは違うこれは、確実についてまわるもの······恐怖。

「人間とはあわれだな。愛したおなごを殺すことはできぬ。たとえ魔王とわかっていても」

「くそがっ」

「うてなかったか。上級魔法を。この器を案じて。先程の4発目。本来ならば、そのはず。しかし初級魔法にしてしまった。殺したくないという、その必死のくだらない想いからな」

「だまれ」

「あわれだのう。人間とはそのくだらぬ感情が、最後のチャンスをなくし身を滅ぼすのじゃ。人が人を想う気持ち······自己犠牲の精神がな」

「アオミをアオミを返せ」

「滅びよ。救世主。我が最大の技をもってお前をほうむってしんぜよう」

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