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「この世で最強なのはどっちだ」
「魔法だ」
「いや剣だ」
『エイリ』にあの時の情景がよぎった。遠い遠い······本当に遠い昔のことのように思える。目の前を見る。そこにはもはや『アオミ』はいない。
「アオミ。あとでほえづらかくんじゃねえぞ。いやみや負け惜しみなんてもんはあとでいやになるくらい聞いてやる。お前の泣きっ面おがみながらな」
エイリは気合いを入れた。そのとき、つえ『クルアルトリップル』が神々しく光り輝いた。それは今まで見せたことのない初めて見せる光であった。
「くらえ。我が最大にして最強奥義······」
「これは!?」
アオミの眼が一瞬正常に戻ったかのように見えた。しかしすぐに戻った。
「『ゼンエンド』」
同時に、三つの魔法が放たれた。
「『剣の舞 活気』」
魔王は上段の構え、中段の構え、下段の構えで全ての魔法を受け止めた。
アオミの奥義である。魔王は、乗っ取った人間の技を自らの物にする。
「ふっ。笑わせる。何かと思えばこの程度か。魔法の威力があがっただけのこと」
いや違った。瞬間、魔法が三つの後方から隠れるようにしてさらにもう1発きた。動きを全て封じられている。魔王はかわせない。
「なに?!そんなバカな!」
「くらえ。魔王」
魔王に当たって、そのまま爆発した。風圧と衝撃が煙となって魔王を包み込む。