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違和感。

「あら、ルリアったらアンジェリカに会ったのね」


 久々におうちに帰ってきたお母様、あたしが王宮に連れて行かれた話をしたらそう笑って言った。


「素敵な方だった〜。でも、なんだかアーサー様に似てて」


「ふふ。まあそれはそうでしょうね」


「はう? どう言うこと?」


「ふふ。なーいしょ。きっとそのうちわかるわ」


「もう、お母様ったらひどい」


「だって。母さんが教えたって知ったらきっとアンジェリカが拗ねるもの。そういう子だから」


 そういうとちょっと悪戯っぽくウインクしてみせる。


 こういう顔をするとほんとまだ少女のようにも見えるお母様。あたしと並んでも姉妹に見えるからどうしようもない。


「お母様がもっとお母様ってお歳に見えてたらあたしもこんな苦労はしなかったのかな」

 なんてこっそり呟いたあたし。


「ばかねルリアったら。考えすぎなのよあなたは。もっとお気軽に考えたらいいの。いいじゃないいつまでも若くみられるって。色々お得なことも多いのよ?」


 耳ざとくあたしのつぶやきを拾ったお母様、あたしの頭をくしゃくしゃってしてそう笑って答える。


 でもそんなにお気楽に考えられないよ……。

 最後のそんな愚痴は声にはならなかった。


 ⭐︎⭐︎⭐︎



 翌日はいつものように学校に行った。

 特に混沌の靄が現れる兆候も見せず、そのまま普通に授業を受けていたあたし。

 時々ジルベール殿下がチラッとこちらを気にする素振りをすることにめざとい周りのお嬢様たちがざわめいていたけどとりあえず授業中は何事もおこらずに。


 お昼休みになった途端にあたしは廊下に駆け出し、校庭を抜け裏山の教会へと足を向けていた。

 あのまま皆の視線に耐えながらお昼ご飯を食べるのも辛かったし、変に絡まれるのも避けたかった。

 何よりも、昨日のアンジェリカ様のこと、アーサー様に尋ねてみたかったのもあって。


 午後の授業は確か魔法実技、特別教室への移動だ。

 あんまりたくさん時間はないから会えなかったらしょうがない、お弁当だけ食べたら帰ろうと入り口をくぐったあたし。ふわんと空気が変わるのを感じ。

 あれ?

 前に来たときはこんな感じしたっけ?

 そんな違和感を覚えながら中に進む。


 正面の壁画のそばまで来たところで、違和感が最高潮となって。


 ああ、だめ。


 次元が、時空が歪むようなそんな不思議な感覚に包まれながら、あたしは不覚にも意識を失ってしまったのだった。

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