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一万年前からずっと。

 緑色のその瞳。

 光の加減で薄茶色にも見える白金の巻毛は短めに整えられて。

 うん。こうしてじっくりみても少年のようにしか見えないかも。


 あたしのことをお母様にそっくりだとそういうこのひとは、やっぱり混沌の前の記憶があるのだろうか? だとしたら今のお母様とも?

 でも、お母様のお仕事は女神に頼まれているって聞いてたし、それに。

 あたしの魔力のことは王宮には知られないように、って。

 そう話してたお母様。


 どうしよう。このまま知っていることを全部話していいものか。

 でも。でも。

 どうしよう。


「ルリア?」


 ジルベール殿下がまたこちらを心配そうに覗いて。

 ドキドキは少しおさまってきたけどそれでもこの瞳は心臓にわるい。

 美少年のお顔がここまで近くにあると、ちょっともうクラクラするし。


 あたしは恥ずかしいやら悩ましいやら頭の中がもう混乱の極み。

 誰か助けて。

 心の中でそう叫んでいた。


 そんな心の声が届いたのか、

「もう。しょうがないな」

 そんなセリフとともにふわんと空中にぽっかりとフニウが出現して。


 はっと固まるお二人。

 ザッと緊張する侍従さんに侍女さん!

 ああああだめこのままじゃ。


「ごめんなさいこの子はあたしの友達です! 悪い子じゃ無いです! だから」

 あたしはさっと立ち上がるとフニウをつかまえ抱き寄せる。

 まるでぬいぐるみのようにも見えるフニウ。そのままあたしの腕の中におさまってくれて。


 流石に剣を抜くことはなかったけど侍従さん侍女さんは殿下の護衛も務める腕前なのだろう、全員何かの襲撃に備えるような立ち位置で、あたしがもう一瞬遅かったらそのままフニウを捕らえようとしていた感じ?


「ああ、君は、ギアの上位精霊かい?」

 そう、動じず穏やかに切り出すハクアさま。


「うん。よくわかるね? っていうか君ももしかして普通の人間じゃなかったり?」

 え? フニウ?


「はは。やっぱり君にはわかるのかな? 僕はこれでもこの世界に一万年くらいは居続けているからね。普通の人間、とはちょっと違うかもね?」


 え、ええ?

 一万年って、ハクアさまって?


「それはすごい。君ってボクよりも長生きなんだ」

 えー?


「まあね? 君たちギアが生まれた時から知っているからね?」


 は、う。

 なんだか二人意気投合するように話し出して。

 っていうかこの二人って一体なんなの!?


「まあ、なんだ、悩むだけ負けだよ。ルリア」

 呆然としているあたしの肩をポンと叩いて、ジルベール殿下がそう言った。

 パクパク口を開いているだけしかできずに居たあたしのこと、気遣ってくれた、んだろうけど。


 っていうか殿下もおんなじ気持ちなのかなあ? もしかしたら。そう思うと。


 あたしはそんなジルベール殿下のお顔を眺めて、ふふっと笑みが溢れた。

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