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魔力のコントロール。

「ルリアさん。よくできました」


 そうにっこり微笑んでくれるマギルア先生。


「うーん。他のみなさんはまだですね。普段みなさん魔法マギアを行使する時は無意識にギアに頼っている証拠ですね」


 そういうと先生、黒板にさらさらっと四つの文字、紋章を書き出して。


「普段、みなさんは、火をおこす時にはアーク。水はバアル。風の魔法はアウラ。土の魔法はオプス。そんな四大元素のギアにマナを渡すことで自然にマギアを行使しているわけです。自身でそう認識している方はあまりいないかもしれませんけれど、この世界にあまたに存在するギア《天使》たちは、常にわたくしたちに力を貸してくれているのですよ」


「え、でもマギルア先生。わたくしはそれが魔法の使い方だと家庭教師に習いましたわ」


 クラスの中でも勝ち気な令嬢、エーリカ・マフガイアがそう立ち上がって反論する。

 ああ、まあ、そうだよね。

 普通にはそう考えてもおかしくはないけど、でも。


「もちろんギアを介すことでより高度な魔法マギアを行使することが可能になります。ギアとの同調率を上げるための魔力特性値マギアスキルをあげていくことも大事なことです。しかし、それもこれもまず自分自身でマナを変換し魔法マギアを行使することができた上での話です。そういったマナのコントロールを学ぶことはそんな魔力特性値マギアスキルを高めるための第一歩なのですよ」


 マギルア先生、そう言うとクラスのみんなをさっと見渡して。


「低学年の間は本当に初歩の初歩、ほんの少しの魔法マギアの使い方しかみなさんには教えてきませんでした。魔法マギアは危険もありますしそもそもマナをコントロールするためには心を鍛えないと難しいからという理由もありました。この授業で一番大事なことは、いかに大きな魔法マギアを行使できるかではありません。いかに繊細な魔力操作ができるか、まずはそれを学んでいきましょうね」


 そう言うと再び皆に水晶球に集中するよう促すマギルア先生。


 そうするうちに何人か、あたしと同じように水晶球に魔力を流し込むことができるようになっていった。



 そう。


 たぶん、この水晶球はマナそのものを入れることはできないんだ、と。

 それに気がつくかどうかがこの授業の趣旨だったみたい。


 マナを自分の指から放出し、それを魔力エネルギーに変換する。

 マナを魔力に変換し、その力で世界に変革をおこす。その方法が魔法。

 ギアの力を、ギアの権能を借りれば確かに簡単に魔法が行使できる。

 今までは皆がほんの少しの炎、ほんの少しの水、ほんの少しの風、ほんの少しの土ぼこの魔法を使うのだって、ギアに頼っていた、って。そういうことなんだろう。


 まだたぶん、自分の魔力を使ったとしてもほんの少しの魔法の域を出ることは難しいかもだけど、こうした魔力のコントロールを学ぶことは、きっと魔力の暴走を抑えるためにも必要なことなんだろうなって、あたしはマギルア先生の話を聞きながらそんな風にも感じていた。

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