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マリアンヌ様の分身。

 いや。本気で意味がわかんない。


 あたしとカウラス様が兄妹だったかもって。


「わからないです! そんな」


「まあそうだよな」


 あたしが取り乱しそう声をあげるのを、カウラス様はふっと笑みをこぼしながらそう答える。


「僕にもよくわからなかった。そんなことが有り得るなんて。でも、君の顔は夢で見たもう一人のお母様と瓜二つだったから」


 はうあう?


「もう一人のお母様って?」


「母上から御伽噺のような話を聞いたのはまだ僕が幼い頃だった。もしかしたら君も聞いてるんじゃない? この世界の混沌からの再生を」


 そう、しんみりとしたお顔でつぶやくように語るカウラス。


 やっぱり。彼のお母様、マリアンヌ様にはあたしのお母様と同じようにこの世界が再生される前の記憶があるんだろうか? に、しても。混沌からの再生って本当にかなり真実の記憶みたいだし。


「マリアンヌ様にはこの世界が再生される前のお記憶があるの、ですか?」


「うーん。記憶があるというのとはちょっと違う、のかな。正く言うと、そういう記憶がかつてあった、って言った方がいいのかな」


「え?」


「母上は、年々薄れていくその記憶を誰かに話しておきたかったみたいだった。外部記憶? に使われたのさ。僕は。きっと僕なら信じてくれるって予感もあったんだろうね」


「そんな。じゃぁ」


「今は多分、僕が聞いた話を全て忘れてしまったかもしれない。いつだったか僕がマリカの話をしても何もわからないと言った感じにキョトンとしてしまって。僕は、それが悲しくって。それ以来母上にこの話をするのは辞めてしまった」


 ああ。


 それは悲しい。よね……。


「それから、かな。僕は夢の中でもう一人のお母様の夢を見るようになった。黒髪の、異国の顔。子供のようにも見える女性のその姿を」


 もしかしてそれが?


「君を最初に見た時には驚いたよ。まさかマリカが実在するなんて思っても見なかったから」


 え?


「マリカは、母上の作り出した分身? そんな風に思っていたから」


 っと、意味、わかんない。


「えっと、それはどういう……」


「ふふ。わからないよね。僕が聞いたマリカは、母上の分身、母上がまだ公爵令嬢マリアンヌ・ヴァリエラントだった頃のもう一人の彼女の姿だったのだから」






 ☆☆☆☆☆☆☆



 夜が更けてもお母様が戻る気配がないことに、カウラスは諦めて帰ってくれた。


「女性一人の家に泊まるわけにはいかないからね」


 と、流石にそう紳士的なセリフを残し。



 だけれども。


 お母様がマリアンヌ様の分身? そんな話聞いたことなかったし。


 でも。一つだけ。


 カウラスはあたしのこの容姿を子供の頃から夢に見てたって。言ってた。


 それって、なんだか少しだけ。




 嬉しかった。

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